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示す国連推計によれば、1950−55年間1.78%となり、1965−70年間の2.04%まで増加する。世界を先進地域と途上地域に分けると、1965−70年当時の年間人口増加率は途上地域(アフリカ、日本を除いたアジア、ラテンアメリカ、オーストラリア・ニュージーランドを除いたオセアニア)において2.52%であった。ちなみに先進地域(ヨーロッパ、北部アメリカ、日本、オーストラリアとニュージーランド)では0.82%である。もし2.5%で世界人口がかりに将来増加し続け850年経過すると、全人類の体重と地球の質量が同じになるとコール(Ansley J. Coale)は計算しているが、当時の途上地域の増加率はそのような凄じさを秘めていた。世界人口増加率が2.04%までに増加した理由は、当時世界人口の2/3を占める途上地域において、一般に戦前高かった死亡率が戦後欧米で起きた医療革命の余波をうけて大幅に低下したものの、一方の出生率はいぜん高い水準を続け、その差である自然増加率が拡大したからである。
しかし、1965−70年代を過ぎると世界の人口増加率は低下し始めた。もっとも1975−80年間には一旦1.73%にまで下がったが、1975−90年の15年間はこの水準で横這いとなっている。詳しい要因を説明する余裕はないが、これは、一方では出生率低下が途上地域・先進地域ともに見られるものの、他方途上地域の死亡率低下の効果がいまだ大きかった結果である。しかし1990−95年間からふたたび増加率の低下がみられ、表2に示されるように、2020−25年間には1.00%にまで下落するものと予測される。
しかし、最近世界の人口増加率が低下しても、人口増加数は減少を示していない。表2で明らかであるように、1965−70年から1985−90年にかけて人口増加数はむしろ拡大し、今後2010−2015年まで年間8700万人前後の人口増加が続くと予想される。これは現在のメキシコを少し下回る人口が毎年追加される状勢である。これは「人口モメンタム」といわれる効果であって、途上地域の出生率が低下し増加率が減少しても、人口の総量が前より大きくなっており、しかも人口構成がいぜん富士山型で、子供を生む年齢の女性の数が大きくなっているからである。しかしさすがに、2015年を過ぎると、人口モメンタムの効果も弱まり始め、21世紀の半ばともなると、毎年の増加数は現在の半分近くになる見込みである。

 

 

 

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