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第2章 世界の人口

 

麗澤大学国際経済学部
教授 河野稠果

 

1 本章の目的

 

与えられた章の題は「世界の人口」である。本書のタイトルが『食糧と人口』であるので、その狙いは過去において世界人口と食糧の供給との関係はどうであったのか、将来世界人口はどのくらい増えるのか、あるいは増える余地があるのか、といった問題が焦点の一つになるであろうと考える。そこで本章は、世界人口の過去から現在を経て将来に至る動向、そして現在直面している主要な問題点を述べ、地球の扶養力について論じ、最後に人口学のサイドから我々人類はどこに行くのかという世界人口のゆくえについて考えることにする。

 

2 世界人口の動向

 

国連人口部の最新の推計(1994年版)によれば、1996年7月の世界人口は58億420万人である。世界人口が20億人になったのは大体1930年であった(表1参照)。人類が発祥して何年経っているのか厳密にはもちろん分からないが、現在の人類ホモ・サピエンスが地上に出現したのは約15万年前であるとされるので、15万年かかって世界人口は最初の20億に到達したわけである。しかし世界人口が40億人に達したのは1975年であるので、1930年以後わずか45年で次の20億人が加算されたことになる。しかし、さらに次の20億人が追加され世界人口が60億人になるのは、前述の国連推計によれば1999年であり、わずか24年しかかからないことになる。ともあれ、西暦2000年前後に世界人口が60億を突破するのは確実と思われる。さらに国連推計によれば、2050年には98億にも達することが予想されている(表1)。
デュラン(John D. Durand)の推計によれば、世界人口の年平均増加率は1900−1950年の50年間はわずか0.8%であった。しかし、1950年以後増加率は急上昇する。表2に

 

 

 

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