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■事業の内容

国連海洋法条約は、海上保安業務に係る権限及び責務に関する事項が多数盛り込まれており、その国内受け入れに当たっては、現行法で対応可能か、業務執行は現体制で可能かなど、基本的かつ重要な検討が必要となっている。同条約の規定する範囲は非常に広範囲に及んでおり、さらに同条約に関し主要な海洋国は、条約の発効を待つまでもなく、二国間協定の締結、国際慣習とみなすことによる国内法化等という形で条約の関係規定を先取りしつつある状況のなかで、海洋法条約の受入れに対し的確に対応していくため、海上保安業務を遂行するうえでの具体的重要事項についてこれまでの検討も踏まえ、当協会に設置した学識経験者、海上保安関係者等よりなる海洋法条約検討委員会において、海洋法条約の各条項のうち海上保安業務に密接な関連を有する事項に範囲をしぼり、具体的に調査研究を行うとともに、外国における法制度等に関して具体的かつ詳細な調査研究を行い、国内法整備の方向付等に関して具体的な提言を行うための各論的な検討を実施し、報告書にまとめた。
第1回海洋法条約検討委員会
平成6年度討議検討の総括
平成7年度における検討委員会の進め方等
第2回海洋法条約検討委員会
警察法上の即時強制理論とこれをめぐる判例、学説の変遷等
(庁法第17条等の検討の前提として)
第3回海洋法条約検討委員会
刑事訴訟法の域外適用について判例、学説の変遷等
(ボント制度の構築の前提として)
第4回海洋法条約検討委員会
庁法第17条等と海洋法条約について
(公海警察権行使問題を含む)
第5回海洋法条約検討委員会
ボンド制度について
海上保安庁法第17条の立入り検査と停船命令について
第6回海洋法条約検討委員会
海洋法条約批准に伴う国内関係法令の整備状況について
第7回海洋法条約検討委員会
海上保安法制について:改正法案の概要
■事業の成果

[1] 海上保安協会内に設置した学識経験者、海上保安関係者等よりなる海洋法条約検討委員会において、海洋法条約の各条項のうち海上保安業務に密接な関係を有する事項に範囲をしぼり、具体的な調査研究を行った。また、外国における法制度に関して具体的かつ詳細な調査研究を行った結果明らかになった関連規定の解釈・運用及び現行の国内法制度の問題点を踏まえ、海上保安法制度を整備するための基本方針を策定するとともに、関連規定ごとに関連国内法令の改正整備についての討議、検討を行い具体的な提言がなされた。海洋法条約は平成6年に発効し、現在、我が国では、現通常国会において、同条約の国内批准及び関連国内法制の整傭を図るべく、検討及び調整が行われているところであるが、海上保安庁においても、上記提言を指針とし、具体的成案を得るべく、策定・検討・調整等の諸作業が行われた。
   平成7年度をもって完了した本調査研究は、大きく変化しつつある海洋秩序に対応するため、わが国の公益に資するところ大であると思われる。





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