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■事業の内容

我が国の沿岸海域においては、プレジャーボートを中心に飲酒運航による事故事例が増加しているといわれているが、その状況は必ずしも明確に把握されておらず、また、飲酒運航に関しては、法的に明確に禁止されているわけではなく、その規制のあり方、防止方策について検討することが求められている。
 平成6年6月の通常国会でも問題点が指摘されたところであり、実態の解明が必要である。
 このため、プレジャーボートや一般船舶等により輻輳海域となっている沿岸域等における飲酒運航の実態調査、飲酒運航に起因する海難実態調査、飲酒運航に関する法的規制の現状等について調査するとともに、飲酒運航に起因する事故防止策のあり方を検討した。
(1)調査の方法
 日本海難防止協会に学識経験者、海事関係者、関係官庁職員等で構成される委員会及び作業部会を設置し、調査検討を行った。
(2)調査項目及び内容
[1] 飲酒が人間に与える影響
 飲酒が人間の能力に与える影響について、既存の資料、文献により調査した。
[2] 船内における飲酒の実態
 海上旅客事業者、海上貨物事業者、小型船舶免許保持者、プレジャーボート等関係者、漁業関係者等にアンケート・ヒアリング調査等を行った。
[3] 海難事故における飲酒運航起因の現状
 沿岸域における人為的要因による海難事故について飲酒運航の有無等をヒアリグ調査、文献調査を行った。
[4] 陸海空における法的規制の現状
 陸海空における飲酒運航に関する国内外の法的規制の現状、経緯等について調査した。
[5] 飲酒運航に起因する事故防止策
 海上における飲酒運航に起因する事故防止策のあり方を検討した。
(3)報告書の作成
 調査研究結果をとりまとめ、報告書を作成した。
[1] 部 数  50部(コピー)
[2] 配布先  委員、関係官庁、その他
(4)委員会の開催
 飲酒運航による海難事故の実態調査及びその防止に関する調査研究委員会  4回
■事業の成果

我が国の、自動車・鉄道の陸上交通または航空機などにおいては、酒に酔った状態での運転・操縦を法的に規制しているが、船舶の海上における分野では明確に規制されておらず、自主規制あるいは自己管理によっている状況である。
 本調査研究では、諸外国等の海上交通における規制の状況、船内における飲酒の実態、飲酒に起因すると思われる海難の発生状況、飲酒が人間の能力に与える影響について、資料収集、調査研究を行い、飲酒運航に係る事故防止策のあり方を提言した。
 自主規制、自己管理あるいは指導・啓蒙の資料として、また将来の制度面での対応・検討に資するものと思われる。





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