日本財団 図書館


■事業の内容

(1)現図作業省力化システム調査研究
 委員会を開催し、小型船造船所のニーズ、199G/T、499G/T、749G/Tタイプシップ計算結果の検証、システムの機能等の検討を行い、(株)大沢技術設計事務所に現図システムの構築に係る業務を委託して、小型船造船所に適したパソコンによる線図・現図、展開及び型紙作成並びにNC切断機能システムの構築を実施し、「現図システム構築概要書」として作成した。
[1] 開発業務委託先 (株)大沢技術設計事務所
[2] 機能設定及びシステム構築
[3] 基本設計
[4] 現図システム構築概要書(操作マニュアル)の作成
a.規 格 A4判82頁
b.数 量 100部
c.配布先 委員、導入企業等
(2)溶接作業の省力化・改善指導講習会
 溶接作業の省力化、コスト低減を図るため、講習会用テキストとして「溶接作業コスト低減のための指導書」を作成し、下記6地区において講習会を開催した。
[1] 講習会実施地区
実施日      地 区  受講者    講師
平成7年 7月13日 気仙沼  12名  森本 晋・増田 喜彦
(木戸浦造船・会議室)
 9月28日 西伊豆   9名  森本 晋・増田 喜彦
(松崎町環境改善センター・会議室)
10月26日 名古屋  12名  森本 晋・脇山 淳二
(飛島村役場支所・会議室)
12月 1日  広島  28名  森本 晋・脇山 淳二
(尾道商工会議所・会議室)
平成8年 2月 9日 北九州  16名  森本 晋・脇山 淳二
(門司港湾合同庁舎・会議室)
2月23日 長崎   30名  森本 晋・脇山淳二
(渡辺造船所・会議室)
合 計 6地区 107名
[2] 講習内容
a.片側板継ぎ溶接システムの実用化
b.CO2化/半自動化の拡大
c.一人多台持ちの推進等
[3] 溶接作業コスト低減のための指導書の作成
a.原稿執筆  森本 晋
b.規  格  A4判 68頁
c.数  量  200部
d.配布先   受講者等
(3)委員会の開催
 省力化技術調査研究委員会(4回開催)
開催日            場   所
第1回委員会  平成7年  5月 9日 広島市・広島ガーデンパレス会議室
第2回委員会        7月 4日 広島市・広島ガーデンパレス会議室
第3回委員会       11月 9日 広島市・広島ガーデンパレス会議室
第4回委員会  平成8年  2月15日 広島市・広島ガーデンパレス会議室
■事業の成果

近年若者の製造業離れが進行する中、長期にわたる不況の間の設備投資停滞により、労働条件、就労環境の改善が遅れている小型船造船業界においては、労働力不足は極めて深刻な問題となっており、今後、小型船造船業がこうした問題を克服し、魅力ある産業として引き続き良質な船舶の安定供給を続けていくためには、省力化技術の導入を通じて、生産性の向上と3K作業の排除を図ることが緊急の課題となっており、その中でも船舶建造分野でのコンピュータ化は、好むと好まざるとに拘らず避けては通ることのできない重要課題である。
 この解決策として、初期設計から線図、現図の作成、展開及び切断までの工程を電算化・NC化することが考えられるが、小型船造船業の資金力では、従来の高価で広いスペースを必要とする大型コンピュータ、ソフトウェア、NC切断機等の導入は困難である。
 そこで、本事業は技術的あるいは資金的にこれまでコンピュータの導入に踏み切れずにいた小型船造船所が、不安なく導入できる小型船造船業に適した現図システムの開発を目途として、省力化技術調査研究委員会を組織し、現図作業の現状の問題点の検討、199G/T・499GT・749G/Tタイプシップ計算結果検証等を行い、小型船造船業の建造工程に即したパソコンによる線図・現図の作成、展開及び型紙作成並びにNC切断機能システムの構築を実施し、その成果を取り纏め「現図システム構築概要書(操作マニュアル)」として印刷作成、配布し、システムの導入を促進した。
 この開発したシステムは、大型コンピュータのかわりに最近高性能化、低価格化が著しいパソコンを用いて型紙を自動作成することにより、これまで導入が困難であった零細な造船所においてもCAD化が可能となり、また、将来のNC切断機導入の基礎となるものと期待する。
 さらに、この開発システムの活用により設計及び部材加工工数の大幅な短縮並びに精度が安定・向上するため生産コストの管理が容易になり、省力化のみならずコストの削減に多大の効果をもたらし、3K作業のひとつであった現図作業は、デスクワークで精度良く処理され、従来の広大な現図場の必要がなくなり、多くの小型船造船所が等しく望んでいる作業エリアの拡大にも寄与できるものと確信する。
 その他、溶接作業の省力化、コスト低減のため、講習会用テキストとして「溶接作業コスト低減のための指導書」を作成のうえ、6地区において指導講習会を開催し、溶接作業改善の促進を図った。





日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION