近年に発生している大型タンカーの油流出事故は、いずれも一国で事故による流出油を処理することができず近隣の複数国との協力によって対応しているのが現状である。アセアン海域においてはアセアン6か国の地域国際協力体制の構築がOSPAR計画のもとに平成5年5月に合意に至り、民間の支援等により実施されたことはIMOの場においても高く評価されている。アジアにおける先駆的な立場にあるわが国が主要な海上交通路を中心とする極東海域の海洋環境保護のために積極的に取り組んでいくことが地球環境保全のためにも重要であると思われる。 こうした情勢を踏まえ、極東海域における関係国の海洋汚染防止に関する流出油防除能力について調査するとともに関連の国際プロジェクトに関する調査を行い、地域内当時国間の国際協力体制を促進することを目的として実施した。 (1) 調査の方法 [1] 現地調査 a. インドネシア、フィリピン両国へ調査員2名を派遣して、スラウェジ海域及びマカッサル海峡における地域流出油防除能力の調査を行った。 b. 上記関連プロジェクトであるOSPAR計画により、両国に供与された油防除資機材及び情報ネットワークシステムに関して、その後の状況を把握することにポイントを置いた調査を行った。 c. アンダマン海峡及びマラッカ海峡における地域流出油防除能力の調査を実施した。 [2] 関係プロジェクト調査 政府が推進する「極東ブルーマリン計画」、IMO/UNEPが計画中の「北西太平洋海域流出油防除対応計画」に関する調査及び資料の収集を行った。