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■事業の内容

[1] 整備認定事業場の調査指導
a. 膨張式救命いかだ整備情報の集中管理
(a) インプットデータの収集
 インプットデータの基礎となる各いかだの整備記録を毎月各整備事業場より収集した。
 (平成5年1月〜同3月及び平成5年4月〜同12月)
(b) アウトプットの作成
 収集した整備記録は当協会でチェック後委託したコンピュータ会社に送付し、コンピュータ会社は、整備記録より入力データを作製し、下記資料をアウトプットして納品している。当協会はこれらの整備統計を各整備事業場の指導用基礎資料としている。
イ. 一般統計
 月報及び年報(地区別、事業場別、メーカー別、型式別、経年別及びこれらの組み合わせによる各種整備統計)
ロ. 特別統計
 月報及び年報(各試験別不合格いかだのメーカー別、型式別、経年別等解析)
(c) プログラム追加作成
 いかだ種類増加のため解析・集計プログラムを追加作成した。
b. 巡回調査指導
 全国の膨張式救命いかだ整備認定事業場、SOSサービスステーション及びGMDSSサービスステーションを巡回し、管理面、技術面及び施設の維持状況について指導を行った。
 膨張式救命いかだ整備認定事業場及びSOSサービスステーションは4年で1巡するように、また、GMDSSサービスステーションは、事業場の開設状況に併せていかだ等に準じて巡回することとした。
(a) 調査対象事業場
イ. 膨張式救命いかだ整備認定事業場  24事業場
ロ. SOSサービスステーション      26事業場
ハ. GMDSSサービスステーション     16事業場
(b) 調査指導内容
 対象事業場について次の内容の調査及び指導を行った。
イ. いかだ整備事業場
(イ) 管理状況の調査
・ 作業場等の整備、整理状況
・ 図書、書類の整備状況
・ 整備用器具の管理状況
・ 計器、試験用器具の較正状況
(ロ)整備技術の指導
・ 記録用紙の使用状況
・ コンテナの外観検査
・ 格納状況の点検
・ 展張時の点検
・ 天幕の点検
・ ガス充気装置の点検
・ 格納袋及び艤製品の点検
・ 膨張状態の点検
・ ガス充気装置の組立、取付作業
・ いかだの折りたたみ、格納作業
・ 自動離脱装置の点検試験
ロ. SOS発信器整備事業場
(イ) 管理状況の調査
・ シールド・ルームの管理、保守状況
・ 測定器の較正整備状況
・ 図書及び書類の管理状況
(ロ) 整備技術の指導
・ 外観点検、収納袋の点検
・ 各部の点検
・ シールド・ルーム内の準備状況、使用状況等
・ 計測器類の取扱い要領
・ ダミーの操作方法
・ バッテリーの電圧測定方法
・ 送信出力及び送信速度の測定方法
・ 整備記録の作成方法
ハ. GMDSS整備事業場
(イ) 管理状況
・ 整備場等の整理状況
・ 図書及び書類の管理状況
. 整備用治工具の管理状況
(ロ) 整備技術の指導
・ 測定時の注意事項等
・ 自動離脱装置の整備要領
・ 充・放電上の留意事項
・ 整備記録作成上の留意事項
(ハ) 施設の維持状況
・ 施設の管理状況
・ シールドボックス及びシールドルームの電波遮蔽効果の測定
・ シールドルームの接地状況
c. GMDSS救命設備整備認定事業場の要件に関する調査
(a) 概要
 1992年2月から“全世界的な海上遭難安全システム(GMDSS)”が導入されたことによって、救命関係の無線設備も従来の遭難信号自動発信器に比較し、大きく変わることとなった。
 これら新システムを整備するためには、従来の遭難信号自動発信器のための施設のみで点検・整備を行うことは各種の制約から不可能であり、新たな技能及びマニュアル並びに施設及び測定機器が必要となってくる。
 これらに対応するため、当会で整備要員の育成のための講習等を行うとともに、GMDSSのための施設及び測定機器を整備し、管海官庁の証明を得てGMDSS設備サービス・ステーションとして関係設備の整備に従事している。
 本調査は、GMDSS設備サービス・ステーションを船舶安全法に基づく事業場の認定に関する規則(昭和48年、運輸省令第49号)に定める「整備事業場」としての認定を受けられるように、整備規定の内容、施設及び設備等について、所要の事項を調査するものである。
(b) 現地調査(平成5年度実施)
第1回現地調査:株式会社釧路内燃機製作所の整備事業場
第2回現地調査:静船株式会社の整備事業場
ロ. 調査期日
第1回現地調査:平成5年9月28日(火)〜9月30日(水)
第2回現地調査:平成5年12月1日(水)〜12月3日(金)
(c) 規程等
 物件別の整備規程案及び整備事業場社内規則案を作成することとし、平成5年度は、これらの内容について検討して概要を作成し、平成6年度は、極軌道衛星利用非常用位置指示無線標識装置、レーダー・トランスポンダー及び双方向無線電話装置についての整備規定の標準案を作成するとともに、社内規則の標準となるものを作成した。
[2] 認定事業場(監督者)の品質管理講習
a. 製造認定事業場の監督者の品質管理講習
(a) 指導書の増補改訂を実施した。
イ. 名称  品質管理指導書
ロ. 規格  B5版オフセット印刷  389頁(表、体系図、管理表を含む)
ハ. 部数  100部
ニ. 内容  (イ) 認定事業場制度の沿革
(ロ) 認定事業場と経営
(ハ) 認定事業場の組織
(ニ) 認定事業場の品質保証
(ホ) 品質保証活動
(へ) 船舶安全法関係法規
ホ. 配布先 講習会、委員会等
(b) 舶用機器製造工事管理者品質管理講習会を開催した。
イ. 開催場所  神戸市
ロ. 日時    平成6年11月15日〜18日(4日間)
ハ. 参加人員  受講者  75名
ニ. 講習項目
第1日 ○ 船舶の安全に関する法規体系及び法規検査
○ 認定事業場の品質保証
○ 品質保証活動、設計管理
○ 生産管理
第2日 ○ 検査管理
○ 品質情報の管理
○ 教育訓練と創意工夫
第3日 ○ 認定事業場と経営、認定事業場の組織
○ 認定事業場制度(沿革を含む。)
○ 認定事業場に関する規定
○ 船舶検査の施行実施に関する規定
○ 機関及び電気機器に関する規定
第4日 ○ 筆記試験及び口述試験
ホ. 検定試験  合格者48名
b. 修繕事業場の監督者の品質管理研修
 舶用機器修繕工事管理者に資格を付与された修繕事業場の監督者に対し、品質管理研修会を開催した。(開催地広島市、新潟市)
(a) 研修指導書の改訂版の作成
イ. 名称  舶用機器修繕研修会指導書
ロ. 規格  B5版オフセット印刷
研修会用  148頁
ハ. 部数  120部
ニ. 内容先 (イ) 修繕事業場における品質管理
(ロ) 修繕に関する安全法規
ホ. 配布先 研修会、講師等
(b) 舶用機器修繕工事管理者品質管理研修会を開催した。
イ. 開催場所 (イ) 神戸市 兵庫県農業会館
(ロ) 福岡市 博多港湾労働者センター
ロ. 日時
(イ) 神戸市 平成6年9月9日〜9月10日(土) 2日間
(ロ) 福岡市 平成6年10月1日〜1O月8日(月) 2日間
ハ. 受講者  神戸会場 21名  福岡会場 35名
ニ. 研修会科目
第1日 ○ 修繕に関する安全法規
○ 工事管理、作業管理、作業場管理の方向
○ 設備技術情報の管理
第2日 ○ 品質の維持のと保証
○ 筆記試験
c. 整備事業場の監督者の品質管理講習及び研修
 舶用品の整備認定事業場の監督者の資格取得のため、無線工学の基礎講習会・基礎試験、膨張式救命いかだ講習会及びGMDSS関連機器講習会を開催し、また、有資格者(GMDSS関連機器及びSOS発信器)のための整備技術研修会を開催した。
(a) 基礎講習会及び基礎試験
イ. テキストの作成
(イ) 名称  無線工学の基礎テキスト
(ロ) 規格  A4版オフセット印刷 78頁
(ハ) 部数  70部
(ニ) 内容  電気の基礎
電子回路の基礎
超高周派、マイクロ波、レーダー技術
電気、電子、高周波計測
宇宙通信、人工衛星システム、COSPAS/SARSAT、ドプラー
ロ. 無線工学のための基礎講習会及び基礎試験を開催した。
(イ) 開催場所 東京都
(ロ) 期間   平成6年6月21日〜6月23日(3日間)
(ハ) 受講者  48名
(ニ) 講師   5名
(ホ) 職員   2名
(へ) 試験立会 1名 職員 2名
(ト) 講習項目
第1日○ 電気の基礎、符号理論
○ 超高周波、マイクロ波、レーダー技術
第2日 ○ 宇宙通信、人工衛星システム
COSPAS/SARSAT、ドプラー
○ 電子回路の基礎
第3日 ○ 電気、電子、高周波計測
○ 試験
ハ. 合格者 31名
(b) 膨張式救命いかだ整備技術講習会
イ. 指導書の改訂
(イ) 名称  膨張式救命いかだ整備技術指導書及び同付図
(ロ) 規格  A4版オフセット印刷    150頁
及びB4版オフセット印刷  80頁
(ハ) 部数  60部
(ニ) 内容  a. いかだとその整備体制の沿革
b. いかだの基礎知識
c. いかだの点検と整備
d. 認定事業場の業務管理
e. 関係法規
f. 各型式いかだ関係説明図
(ホ) 配布先 受講者34部及び担当講師等15部、当会11部、計60部
ロ. 膨張式救命いかだ整備技術講習会を開催した。
(イ) 開催場所 東京都
(ロ) 期間   平成6年8月29日〜9月2日(5日間)
(ハ) 受講者  34名
(ニ) 講師   6名他職員1名、本省1名
(ホ) 職員   2名
(へ) 補助講師 2名
(ト) 試験立会 4名他職員4名
(チ) 講習項目
第1日 ○ 船舶安全法及び関係規則
○ いかだの種類、構造、材料、艤装品、付属品
○ いかだの沿革等
第2日 ○ いかだの整備作業の一般的注意事項
○ 外観点検
○ 索類、艤装品の点検、ガス充気装置の点検
第3日 ○ 自動離脱装置の点検及び試験
○ 運搬作業・架台への積み付け
○ 修理作業基準・整備記録の作成
第4日 ○ いかだの艤装品・付属部品
○ 膨張状態での点検及び試験
○ ガス充気装置の組立、取り付け
○ 折り畳み、格納
ハ. 検定試験 合格者 25名
(c) GMDSS関連機器整備技術講習会
イ. 指導書の改訂
(イ) 名称  GMDSS関連機器整備技術指導書
(ロ) 規格  A4判オフセット印刷
第1部  250頁
第2部  170頁
(ハ) 部数  70部
(ニ) 内容  第1部
{1} GMDSS関連機器の総説
{2} GMDSS関連機器の基礎知識
{3} 点検整備の方法
{4} 整備設備及び整備機器の管理
{5} 関係法規
第2部
{6} 各機種別説明図面
{7}各機種別点検要領
(ホ) 配布先 受講者、担当講師等
ロ. GMDSS関連機器整備校衡講習会を開催した。
(イ) 開催場所 東京都
(ロ) 期間   平成6年9月26日〜9/30日(5日間)
(ハ) 受講者  48名
(ニ) 講師   14名 運輸省1名
(ホ) 職員   3名
(へ) 試験立会 9名 職員3名
(ト) 講習項目
第1日 ○ GMDSSの概要
○ 406EPIRBの基礎知識及び機器の概要
○ レーダー、トランスポンダーの基礎知識及び機器の概要
○ 121.5EPIRBの基礎知識及び機器の概要
○ 測定器の基礎及び各種測定器の概要
○ 双方向無線電話装置の基礎知識
○ 実技(406EPIRB及びSARTの整備方法並びに121.5E
PIRBの整備及び測定方法)
第2日 ○ 121.5EPIRB機器の概要
○ 測定器の基礎及び各種測定器の概要
○ 406EPIRB機器の概要
○ 双方向無線電話装置の基礎知識
○ 実技(406EPIRB及びSARTの整備方法並びに121.5EPIRBの整備及び測定方法)
第3日 ○ 持運び式双方向無線機の概要
○ 実技(双方向無線機及び121.5EPIRB機器の整備及び測定方法並びに406EPIRB及びSARTの測定方法)
第4日 ○ 電波法及び同関係法令
○ 船舶安全法及び同関係法令
○ 質疑応答
ハ. 検定試験合格者
406EPIRB          46名
レーダー・トランスポンダー  47名
121.5EPIRB         48名
双方向無線電話装置      42名
(b) GMDSS関連機器整備技術講習会
イ. 指導書の作成
 GMDSS講習会用として作成したGMDSS関連機器の整備指導書を増刷し、配布した。
(イ) 規格 A4版オフセット印刷
(ロ) 部数 40部
ロ. 研修の開催
(イ) 開催場所 東京都
(ロ) 期間   平成6年10月3日〜10月4日(2日間)
(ハ) 受講者  27名
(ニ) 研修項目
第1日 ○ 船舶安全法及び関係法令
○ シールドボックス(シールドルーム)の条件と取扱い
○ 406EPIRBの整備法
○ 実技
(406EPIRB及び121.5EPIRBの整備及び測定器使用法)
第2日 ○ 電波法及び関係法令
○ レーダー・トランスポンダーの整備法
○ 実技
(SART・双方向無線及び121.5EPIRBの整備及び測定器使用法)
○ GMDSS整備上の留意事項等
○ 質疑応答
(c) SOS発信器研修会
イ. 第1回
(イ) 開催場所 東京都
(ロ) 期間   平成6年10月25日(火)9:00〜17:00
(ハ) 受講者  22名
(ニ) 研修項目
○ 船舶救命設備規則及び電波法関係法令
○ 共用ダミーの較正及び電界強度の測定
○ SOS発信器の不具合事象
○ シールド効果の測定
○ ブイ式発信器実技指導
○ 電界強度測定及び共用ダミー較正の実技指導
○ 質疑応答
ロ. 第2回
(イ) 開催場所 大阪府
(ロ) 期間   平成6年10月28日(金) 9:00〜17:00
(ハ) 受講者  33名
(ニ) 研修項目 (第1回と同じ)
■事業の成果

認定事業場は認定物件の製造、改造・修理又は整備について国の安全検査の一部を代行する任務を有している。従ってこれら事業場は諸設備及び管理の在り方、整備の方法等について、常に国の基準に適合していなければならない。
 また、これらの事業場は品質保証体制の確立のためには、品質管理担当者を養成するとともに、これ等要員の研修によって人的要素の確保とその知識水準の維持向上を図ることが極めて重要である。
 このため、本事業では、これら事業場のうち、中小企業が主体である膨張式救命いかだ整備事業場、SOS発信器整備事業場及び平成4年2月GMDSSのSOLAS条約発効に伴い、当該関連機器整備のために承認されたGMDSS救命設備整備事業場について定期的な巡回調査指導を行うとともに、これに必要な資料を作成し、また製造、修繕、整備各事業場の品質管理担当者の養成又は研修を実施した。これにより、認定事業場制度の円滑な運用に貢献するものと思料される。





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