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■事業の内容

(1) 貿易手続におけるEDI標準協定書に関する調査研究
 国連ECE/WP.4(欧州経済委員会/貿易手続簡易化作業部会)が開発・普及に努めているUN/EDIFACTによる貿易関係取引をわが国の実情に即した形で導入するため、貿易関係手続きのEDI化に関する法律上の問題点について調査・研究を行い、EDIによるデータ交換を行う場合に必要となる「EDI標準協定書」について調査・研究を行った。
 具体的には、国連ECE/WP.4の法律問題ラポーターから提示された「DRAFT INTERCHANGE AGREEMENT」及び「THE DRAFT UN/ECE INTERNATIONAL AGREEMENT COMMENTARY」について、わが国貿易関係業界における業務処理の現状等からみてどのような意見を反映させていくべきかについて検討を行い、これらの「DRAFT」に係る意見、疑問点等を「COMMENTS」の形に整理したうえで、法律問題ラポーターに提出した。

(2) 諸外国におけるEDI化の動向に関する調査・研究
 諸外国においては、コンピュータ利用の進展に伴い、貿易関係諸手続きを従来の書類中心のものからEDI(電子データ交換)に切替え、事務処理の簡素化、合理化を図ろうとする取り組みが鋭意進められ、EDI化に適合させるための環境整備・標準化の検討が行われている。
 わが国としても、諸外国におけるEDI化の動向、貿易手続きの簡易化・標準化への検討・取り組みの結果等を参考にし、わが国の実務に即した形でEDI化を進め、貿易手続きに係る事務処理の簡易化・標準化を図る必要があるので、諸外国におけるEDI化の動向に関する調査・研究を進めた。
 貿易関係手続きのEDI化への取り組みは、APEC(アジア太平洋経済協力会議)参加国の中でも、東アジアにおいて顕著な進展が見受けられるので、その拠点と考えられるところ【ソウル(韓国)及び台北(台湾)】を重点調査対象地域として選定し、当該国(地域)におけるEDI化の現況等について調査・研究を進めた。
■事業の成果

本事業により、ECE/WP. 4に於いて進められている「モデルEDI協定書」作成検討作業に対して、わが国から意見具申・問題点の指摘等を行うことにより、具体的な貢献をすることができた。また、調査・研究の結果、わが国貿易関係業界が必要としている貿易手続面におけるEDI化の法的諸問題について内外の最新情報を提供するとともに、貿易関係業界がグローバルな業務展開を推進するに当たり必要となるEDIによる貿易関係手続の法的側面を支援することができた。
 また、調査・研究の結果、重点調査対象地域としてとりあげた国(地域)において共通に見られた特徴は、[1]EDIの推進が政府機関主導で行われている、[2]EDIネットワークの構築が開放型システムを目標としている、[3]標準化の実施に際してはUN/EDIFACTを採用しているということであった。
 これらの国(地域)における取り組みの現況に関する情報を集大成して、貿易関係業界の実務担当者に提供することにより、今後わが国においてEDI化を推進する場合の参考資料としてもらうことができると考えられる。特に、法制面での整備やEDIソフトウェアの標準化など、この調査・研究で明らかになった諸点は、わが国における今後のEDIの推進や、これらの国(地域)とのEDIによる取引、国際的なEDIの実施に際して、非常に参考になるものと思料される。





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