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■事業の内容

(1) コンテナヘの収納と固定に関する研究
[1] 危険物評価委員会及び同部会の開催
[2] 模型実験の実施
a. ドラム缶を収納したコンテナの動揺試験
 模型コンテナに小型ドラム缶を収納し、収納形態及び固縛方法を変えて動揺に対する各固縛方法の有効性を検討した。
b. 形状の異なる貨物の混載と空間のある積載コンテナの模型試験
 ドラム缶と木箱を混載し、振動、急停止、落下及び動揺試験を実施し、有効な積載方法と固縛方法を検討する。又、一定の空間を設けたときの積載についても検討した。
[3] 危険物容器のコンテナヘの収納に関する知見を集大成した「危険物コンテナ収納マニュアル」を作成し、合理的な固縛・固定方法等について周知徹底を図った。
(2) 貨物の液状化特性に関する研究
[1] 委員会及び同部会の開催
[2] 研究内容
a. 運送許容水分値の計測
 代表的な貨物(液状化物質のうち告示別表に定める物質及びその類似物質)約20種類について運送許容水分値を計測した。
b. 運送方法及び船積み水分値の調査
 上記物質の通常の運送における船積み水分値を調査した。また、運送方法、商取引の形態等さらには、航海中に水分値が増加する可能性についても検討した。
c. 船積み水分値の計測等を必要としない貨物のクライテリアの研究
 試験法から見た運送許容水分値の精度、計測方法から見た船積み水分値の精度、荷役中及び航海中における水分値の増加の可能性を考慮して、船積み水分値計測等の義務を免除するためのクライテリアを明らかにした。
d. 粒径分布からみた液状化物質の範囲の研究
 石炭及び類似物質1種について、粒度構成を変えて液状化試験を行い、液状化が発生しない粒度構成の条件を明らかにした。
e. 貨物の液状化基準のまとめ
 上記の結果に基づき、船積み水分値の計測等の義務を免除できる物質及びそのための条件をまとめた。
f. 液状化物質の運送要件の研究
 船積み水分値が運送許容水分値を超える物質を運送する際に船舶が備えるべき要件、積み付け方法等に関する基礎資料を収集し、まとめた。
■事業の成果

コンテナヘの収納と固定に関する研究では、2カ年にわたる危険物の運送に最も多く用いられている鋼製ドラムを中心とした模型コンテナ実験結果に基づき、危険物コンテナの複合一貫輸送時の外力を想定した有効な収納・固縛方法の基準策定のための検討を行った。これらの検討結果により、従来から経験的に実施してきた危険物コンテナヘの代表的収納・固練方法の有効性を確認するとともに、危険物の収納に関するマニュアル(和文・英文)を作成することができた。
 また、貨物の液状化特性に関する研究では、平成6年1月1日より改正された特殊貨物船舶運送規則の「航海中液状化する恐れのある微細な粒状物質」(液状化物質)の解釈に関する非液状化のクライテリアとして、本年度の試験結果により精鉱等については「D10=1mm」、石炭については、「D10=2mm」が、設定できる可能性が示唆された。
 本事業の実施により、液状化貨物の運送の安全性の向上が図られるものと思料される。





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