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■事業の内容

(1) 盲ろう児に対する教育マニュアル作成のための調査研究
 先天盲ろう児に対する教育システムは我が国においては未確立であるため、コミュニケーションをはじめ、盲ろうという障害が必要とする様々な教育的配慮が充分にされていないのが現状である。
 このため、言語教育に関する教育マニュアルの策定をめざして平成6年度も引き続き、基礎的な調査・研究を行い、従来の成果を集約したパンフレット型式の教育マニュアル「目と耳の両方が不自由な子どもたちのために」を発行した。また、調査・研究結果を、本年度も「研究紀要-3」にまとめて発行した。
[1] 内容 :教育カリキュラム策定
[2] 方法 :盲ろう児教育に知識、経験を有する教育者を中心メンバーとする教育委員会を引き続き開催し、検討会を行った。また、目と耳の両方に障害をもつ児童と教師関係者による盲ろう児教育研修会を開催したほか、盲ろう児への訪問面接調査を実施した。
[3] 期間 :委員会   …平成6年5月/平成7年3月 12回
教育研修会 …平成6年12月2/3日(於 岐阜)
訪問面接調査…[1] 平成6年7月17/23日
(於 福岡、愛媛、徳島、奈良)
[2] 平成6年12月2/3日(於 岐阜)
[4] 印刷物:[1] 教育研究紀要3 (A4 800部)
[2] 教育マニュアル「目と耳の両方が不自由な子どもたちのために」
(A4パンフレット 5,000部)
(2) 盲ろう者用機器開発
 盲ろう者は、単独で外出したり、電話を使って外部との行進を行うことが極めて困難である。このような盲ろう者にとって、振動や触覚で感知できる送受信機の開発は、他者とのコミュニケーション促進に欠かせない要素であり、平成6年度は既に開発した点字電話機(試作機)を基に、会話録を保存できるようにソフトの改良を行った。
[1] 整備機器:点字電話
[2] 方法  :委員会を引き続き開催し、ソフト改良を(株)アメデイアに委託した。今回のソフト改良により、盲ろう者が点字電話を使用し、電話が終了した後、会話の内容を確認できるようになった。
[3] 使用目的:点字を使用できる盲ろう者が、他者(通訳・介助者)を介在せずに一人で電話を使用することによって、外部との交信を容易に行い、社会参加の促進に寄与する。
■事業の成果

(1) 盲ろう児に対する教育マニュアル作成のための調査研究
 過去4年間の教育委員会、盲ろう児教育研修会、訪問面接調査などを通じて、既存の障害児教育機関や教育システムで散発的に行われている先天盲ろう児に対する教育の取り組みをとりまとめ、併せて、既にシステム化されている諸外国の先天盲ろう児に対する教育プログラムの研究を行うことにより、我が国における先天盲ろう児に対する教育システムを確立するための大きな手がかりを得た。
(2) 盲ろう者用機器開発
 既存の福祉機器では、視覚と聴覚に障害を併せ持つ盲ろう者が、単独で使用することは非常な困難を伴い、一般社会からの孤立を助長する向きさえあったが、本事業による点字電話の開発は、本年度のソフト改良と相まって、あらゆる意味での「情報障害者」たる盲ろう者のコミュニケーションを促進し、その社会参加の可能性が高まることが期待される。





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