■事業の内容
聴覚の不自由な方たちにも演劇の愉しみを提供することを目的のひとつとする劇団昴による「クリスマス・キャロル」の公演が平成6年12月8日から同23日迄の間、計19回の上演を続け、好評裡に幕を閉じた。 舞台両袖のスクリーンに投影される台詞をすばやく読み取り芝居の進行を理解するこの設備が考案されるまで、聴覚に難点のある人は劇場へ芝居を愉しみに行く習慣は従来少なかったのだが、「クリスマス・キャロル」公演が回を重ねること4回、徐々に聾唖者の為の演劇があることが世の中に知られ始め、静かな反響を呼んでいる。 (1) 上演演目 『クリスマス・キャロル』(原作チャールズ・ディケンズ) (2) キャスト 劇団昴 (3) スタッフ 演出/菊池 准 翻訳/松本永実子 美術/濱名樹義 照明/渡辺省吾 衣裳/加納豊美 音響/山北史郎 (4) 上演場所と日程 松戸市森のホール21小ホール 12月8日・9日・10日 横浜ラポール 12月11日 東京三百人劇場 12月13日〜同23日 (5) 上演回数 総計19回 松戸市森のホール21 3回、横浜ラポール 1回、 東京三百人劇場 15回 (6) 観客総数 6,264名 その内聴覚障害のある人806名(13%)
■事業の成果
本事業は回を重ね、今回で第4次目を迎えた長期継続プログラムである。長期を計画する理由は、身体障害者の人々への援護キャンペーンに属する本計画は広告等で押し付けがましい結果を招くのは上策とは言えず、静かな賛同者や共鳴してくれる人を根気よく説得してゆかねばならない息の長い草の根運動であると考える故である。本年は、回を重ねてきた効果がでてきたと思われる。 松戸市の観劇団体は、障害者に気配りをというこの公演の趣旨を理解して3回の公演を引き受けてくれ、横浜のリハビリテーション事業団は、スーパータイトル字幕の効用を知って自分たちの施設の子供たちに演劇を見る楽しみを体験させようと積極的に我々の運動に御協力してくれた経緯がある。今回の公演で動員した観客の総員6,264名の内、聴覚障害者の関係者は13%であった。回答アンケートの調査から推測すると、字幕による手法が障害者のなかにゆっくりではあるが確実に浸透しはじめ、ハンディキャップのある人達でも健聴者同様舞台作品を楽しめる実証を重ねていることは、この分野の社会福祉に少なからず寄与したものと思われる。
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