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■事業の内容

(1) 中東産原油の風化特性の調査研究
中東産原油の風化試験
 中東産原油の風化状況を把握するために、下記試験条件を組み合わせて4ケースの試験を実施した。
・ 実施場所  シップ・アンド・オーシャン財団 筑波研究所
・ 試供原油  オマーン原油
・ 試験条件  環境温度  15℃
風速    3、 5、7m/s
波     浪周期 0.72秒
波長  0.8m
・ 調査項目  風化原油の蒸発量、含水量、粘度、密度
・ 実施期間  11月7日〜12月16日
第1ケース試験  期間 平成6年11月13日〜18日
第2ケース試験  期間 平成6年11月20日〜25日
第3ケース試験  期間 平成6年12月 4日〜 9日
第4ケース試験  期間 平成6年12月11日〜16日
■事業の成果

平成5年度に当筑波研究所に設置された原油風化試験風洞水槽を用いて、中東産のオマーン原油について環境条件を種々変えて風化試験を行い、原油が風化する過程における原油の蒸発率、含水率、粘度及び密度を測定した。
[1] 原油蒸発についは、試験開始後6時間の間に急激に蒸発し、およそ20%が失われ、その後は緩慢な蒸発となっている。蒸発率30%の原油では、原油組成の中のC13までのノルマルパラフィン相当の成分が蒸発している。蒸発率は風速の増加とともに大きくなり、波がある場合の方が大きい値を示した。
[2] 含水率は、風速7m/sの場合試験開始30時間後から急激に上昇し、72時間後に46.7%のピークを示した。さらに風速5m/sに波を加えた場合、試験開始とともに含水率は上昇傾向を示し、96時間後に53.3%の最大含水率を記録した。
[3] 粘度は、風速増加並びに経過時間とともに大きくなる傾向を示し、蒸発率、含水率に伴って変化することが明らかになった。
[4] 密度は、風速の増加とともに大きな値を示す傾向にあり、試験開始後6時間までは急激に変化し、その後は緩やかな変化を示すが、風・波が加わると6時間経過後も上昇傾向を示す。
 上記原油の物性値の経時変化を明らかにすることにより、海上流出油事故防除対応に有効な資料を得ることができたと思料される。





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