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■事業の内容

(1) 各地域における自主的防犯活動
 全国の51地区を「地域防犯活動促進モデル地区」として指定し、その各地区に防犯活動推進指導員2人及び防犯活動推進員13人を選定、この指導員、推進員を核に、防犯協会員、地域ボランティアなどの協力や自治体職員等をまきこんでの推進協議会を組織して地域の自主的防犯活動を推進し、安全で住みよい地域づくりを促進した。
(2) 自主的防犯活動の具体的方策
[1] 犯罪等発生抑止のための活動
 事故等の危険箇所等の把握、防犯灯の設置、危険箇所の見回りや防犯指道、防犯座談会、防犯広報誌の発行や防犯広報を実施した。
[2] 犯罪等に遭いやすい者の連絡活動
 児童のみの在宅家庭、独居老人、高齢者の家庭等に対する訪問と連絡を実施した。
[3] 困りごと相談ネットワーク活動
 犯罪被害、少年非行、迷惑行為など地域住民の困りごとに対する、相談ネットワーク作りのため、着信専用の電話を警察署の窓口に設置するなど連絡体制を充実し実施した。
[4] 犯罪等に遭わないための居住環境整備活動
 暗がり、工事現場、廃屋、空家等の危険の高い箇所、事故等の危険箇所などの情報収集と住民への情報提供やパトロール等を実施した。
■事業の成果

モデル地区では、選定した15人の推進員を中核として、防犯協会員、地域ボランティアなどの協力や自治体職員・町内会役員・PTA役員等をまきこんでの推進協議会を組織し、活動の基盤をきずいた。
 活動事例としては、各都道府県に及んでいる防犯灯設置促進活動では、推進指導員等や交番勤務員が緊密に連携して、地区内の暗がりなどを点検・調査を実施し、その結果に基づいて各町内会長から行政機関に働きかけるなどして、防犯灯の新増設がされる効果があった。
 各都道府県に共通する事例の二つめとしては、自転車の盗難防止のための防犯診断・防犯登録や放置自転車の整備を徹底して実施している。
 特に、駅前等の広場においては、防犯広報車による自転車の盗難防止と防犯登録についての広報を実施している。
 これらの結果、愛知県のモデル地区においては、自転車盗が平成5年は、682件の発生に対し、平成6年は、499件と27パーセントの減少をしている。
 このほか、地域の特性に合わせた活動として、水難事故現場にあっては現場の巡回と施設管理者に対し、施設の安全管理、施設の補修改善等を働きかけて、この地区の水難事故がなくなったり、ひったくり事案については、事案が連続的に発生した道路を「ひったくり防止重点道路」と定め、ひったくり防止看板の大量設置、地域住民と一体となった夜間パトロールを実施した結果、この地区からは以後、ひったくり事犯の発生がなくなったことから犯罪発生の抑止効果が現われるとともに、犯罪発生を未然に防止する成果が顕著である。
 全国の各地区においても同様に、犯罪、事故、災害などの危険箇所の巡回等を実施して犯罪等の未然防止に努めている。
 犯罪被害弱者対策においては、独居老人、母子家庭、身体障害者などの犯罪被害弱者に対する訪問・連絡と防犯(安全)対策として、緊急時の連絡先を記入したカードを配布するなどの対策を実施した。
 各地区における反響は、モデル地区に指定したことを市の広報紙を通して、広く市民に紹介したことや揃いのブレザーを着用してパレードに参加したり街頭活動を実施したこと等により市民の間には地域防犯活動に対する認識の高まりがあり、今回の事業活動への、期待と信頼が寄せられている。
 また、地域防犯活動が浸透することによって、各交番単位の後援組織も生まれようとしているし、民間ボランティアの協力体制が強まってきつつあるほか、その他の地区がこの活動に刺激を受けて、自主活動を開始する気運も高まりつつあるように思慮される。
 その結果、各都道府県のモデル地区とも犯罪発生件数が減少するなど、大なる成果が上っている。
 また、住民との連携から窃盗犯などの早期届け出により犯人の検挙等に結び付きができるなどの副次的効果も上りつつある。





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