日本財団 図書館


■事業の内容

我が国は、近年国際社会における責任を果たすため、開発途上国に対する経済・技術協力の拡充が図られているが、海上保安分野においても海難救助、水路、航路標識関係でも逐次実績を積み重ねてきているが、今後更に充実を図るためには、事前に開発途上国の現状を把握し、基礎資料の充実を図る必要がある。
 また、新海洋秩序の形成、SAR条約の発効等海上保安の分野における国際協力のフレームワーク造りが活発化してきており、隣接国をはじめ関係諸国との情報交換、相互協力の重要性が高まっている。したがってこれらに適確に対応するためには、我が国の海上保安業務を広く海外に周知するとともに、国内的にも理解を得る必要がある。このため、次の諸事実を実施した。
[1] 海上保安関係経済協力基礎調査
a. 調査対象国及び調査日程
セネガル(ダカール地区)    H5.11.22〜11.25
モロッコ(カサブランカ地区)  H5.11.26〜12. 1
b. 調査内容  海上交通及び港湾の状況、その他海上保安に関する施設の現状調査ならびに関係文献資料の収集
c. 訪問先   ダカール地区    海上輸送省海上保安局
浮標基地、港湾施設視察
カサブランカ地区  漁業海運省、商船学校
d. 調査員   1名
e. 調査報告書 B5判  88頁  200部
f. 配布    海上保安関係機関その他関係機関に配布
[2] 海上保安に関する国内外の情報提供
a. 規格    B5判  70頁
b. 部数    年2回  各500部
c. 内容    内外の海上保安業務関係資料及び情報
d. 配布先   海上保安庁及びその出先機関並びに内外の関係者
[3] 近隣諸国海上保安体制調査
a. 調査対象国及び調査日程  中国
北京、天津地区  H5.11.1〜11. 6
上海地区     H5.11.7〜11.11
b. 調査内容  海上保安体制調査並びに関係資料の収集
c. 訪問先   北京地区  交通部安全監督局、公安部辺防局
天津地区  天津海上安全監督局
上海地区  上海海上安全監督局
上海辺防局
巡視艇で港内視察
d. 調査員   1名
e. 調査報告書 B5判  80頁  200部
f. 配布    海上保安関係機関その他関係機関に配布
[4] 海上保安法令英語版の作成
a. 内容    海上保安法令集の要約・英語版
b. 規格    B5判  100頁
c. 数量    200部
d. 配布    在外公館、外国公館及び海上保安機関等に配布
[5] 海外の海上保安事情に関する講演会の開催
a. 形式    講演会及び意見交換会の開催
名古屋地区 平成5年10月 7日  海上保安協会東海地方本部
(第四管区)
神戸地区  平成5年11月18日  海上保安協会神戸地方本部
(第五管区)
b. 講師
名古屋地区 米国沿岸警備隊極東部司令官
米国司法省麻薬取締局東京事務所長
神戸地区  米国司法省麻薬取締局東京事務所長
在日英国大使館武官
c. 聴講者   管内の海上保安関係者
d. 報告書   B5版  49頁  800部
e. 配布先   海上保安庁及びその出先機関ほか

■事業の成果

(1) 海上保安関係経済協力基礎調査
 本事業においては、海上保安庁の指導のもとにセネガル及びモロッコに調査員1名を派遣し、同国の関係者に我が国の海上保安業務の現状を紹介するとともに、直接情報交換を行ったほか関係施設等の現地調査を行い、貴重な資料を入手できたことは、極めて有意義であった。これらの調査結果は、報告書として取りまとめるとともに、本事業で実施している定期刊行物(コンパス25号)にも掲載し、海上保安機関その他関係者に配布して周知したことは、国際協力の推進に大きく寄与したものと思料される。
(2) 定期刊行物の発行(コンパス)
 最近における我が国の海上保安業務の国際化に対応し、円滑な業務の遂進を図るため、最近におけるロシアに対する緊急援助等を含め、内外の海上保安関係資料及び情報を取りまとめた定期刊行物を年2回作成し、海上保安庁の第一線で国際的事案の処理に当たっている巡視船艇を含め、全部署その他関係者に配布し国際的な情報誌として活用されたことは、現下の海上保安業務の遂行に大きく寄与したものと思料される。
(3) 近隣諸国海上保安体制調査
 当面する国際情勢に呼応しながら、国内の機構改革が進む中国の北京・天津・上海地区の関係者に我が国の海上保安業務の現状を紹介するとともに、直接情報交換を行ったほか関係施設等の現地調査を行い、貴重な資料を入手できたことは、極めて有意義であった。これらの調査結果は、報告書として取りまとめるとともに、本事業で実施している定期刊行物(コンパス25号)にも掲載し、海上保安機関その他関係者に配布して周知したことは、近隣諸国間の協力・協調体制の強化に貢献するものと、思料される。
(4) 海上保安法令集英語判の作成
 最近の急速な国際化により変化する現状の中で改正された海上保安関係法令の「英語判」を作成して、海上保安庁とその出先機関を始め、それ以外の在外分館、外国公館、及び内外の関係者等に配布し、国際的な海上保安業務の推進に貢献した。
(5) 海外の海上保安事情に関する講演会の開催
 訪日する諸外国の海上保安関係者、在京海上保安担当者アタッシェ等を講師として、海外の海上保安事情に関する講演会を開催することにより、関係諸国の海上保安体制の把握、外国船舶への対応並びに諸外国の海上保安機関との接触の機会が増加する海上保安庁職員の国際感覚の涵養と海上保安関係者間の相互理解が計られたものと思料される。





日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION