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■事業の内容

(1) 大阪湾ベイエリアにおける交通体系整備推進に関する調査研究
[1] ベイエリア地域における交通アクセス等の現況把握と整理
ベイエリア地域における土地利用の現況並びに、鉄軌道、バス等の交通アクセスの現況を既存資料により把握し、とりまとめた。
[2] ベイエリア地域におけるプロジェクトの現況と今後の開発動向の把握
 ベイエリア地域内における各自治体において構想、計画、実施されているプロジェクト、マストラ等の現況と動向を把握するため、大阪府、兵庫県、大阪市、神戸市、堺市、尼崎市、の各自治体にヒアリング調査を実施し、プロジェクトの所在、目標年次、面積及び住居者・従業員・来訪者数、施設機能等を把握し、とりまとめた。
 また、ベイエリア地域において望まれる将来都市構造について検討し、ベイエリア地域に係る各自治体の開発整備構想及びマストラ整備計画・構想について整理した。
[3] ベイエリア地域における将来の発生交通量の予測
 上記[1]、[2]の調査結果並びに、マストラ整備の基本方針を踏まえ、ベイエリア地域と都心及び既成市街地を結ぶ都心連絡マストラについて、現状の交通基礎需要から将来の交通需要を算出し、それに応じたマストラ及び整備方向について検討した。
[4] 東京圏・名古屋圏のベイエリアにおけるマストラ整備の現状及び今後の動向把握
 東京地区(東京、横浜、千葉)及び福岡地区のベイエリアにおけるマストラ整備の現状を将来の出発計画等について把握するため、現地ヒアリング調査を実施し、本調査の参考とした。
[5] 中・長期的な交通体系整備方策の検討
 上記の調査結果を踏まえ、ベイエリア地域におけるマストラ整備の意義と基本方針について検討、これに基づき、ベイエリア地域と都心及び既成市街地を結ぶ都心連絡マストラ並びに、ベイエリア地域のネットワーク形成促進のための湾岸連絡マストラの整備方策について検討した。
[6] 交通体系の整備推進課題・問題点の抽出
 上記の検討結果を踏まえ、ベイエリア地域におけるマストラ整備にあたっての課題と問題点についてとりまとめた。
[7] 調査のまとめ、報告書の作成
 上記の調査結果をとりまとめ委員会で検討のうえ、報告書を作成した。
a. 部数   200部
b. 配付先  運輸省等関係省庁、地方公共団体、関係団体、委員会委員等
(2) 21世紀における近畿圏の貨物物流ビジョン策定に関する調査研究
[1] 近畿圏における物流の現状把握
 既存資料により、近畿圏における物流の現状について、貨物流動状況、物流施設の配置状況及び荷主企業の立地状況等から把握し、とりまとめた。
[2] 物流環境変化の現状と問題点の把握
 物流の制約要因となっている労働力不足、道路混雑、環境問題等の変化状況と問題点を既存資料により把握し、とりまとめた。
[3] 近畿圏における物流事業等の現状と問題点の把握
 既存資料により、近畿圏における物流事業等の現状と問題点について、事業者の分布状況、労働力の需給状況、経営環境等から把握し、とりまとめた。
 また、近畿地区の物流事業者約1,000社を対象にアンケート及びヒアリング調査を実施し、物流活動上の問題点の発生地域、労働力不足、環境問題への対応の障害、問題点等について把握し、とりまとめた。
[4] 荷主の物流ニーズの現状と問題点の把握
 近畿地区所在の荷主企業約300社を中心にアンケート及びヒアリング調査を実施し、荷主企業の物流ニーズ、今後の戦略、現物流システムが内包する問題点等について把握し、とりまとめた。
[5] 将来貨物需要予測方法の検討
 物流需要量の将来推計を実施し、今後の貨物量変化を明確にするとともに、近畿圏物流の量的、質的変化についての把握を行うための将来貨物需要予測方法について検討した。
[6] 調査のまとめ、中間報告書を作成し、次年度調査の基礎資料とした。
a. 部数   80部
b. 配付先  運輸省、委員会委員等
(3) 近畿圏における貨物保管施設の整備に関する調査研究
[1] 近畿圏における営業倉庫の現状把握
 既存資料により、近畿2府5県の営業倉庫(普通・冷蔵)の現状について、事業者数、庫腹量、入庫量等の貨物取扱量及び回転数、利用率、倉庫施設の構造、立地場所等から把握し、とりまとめた。
[2] 物流ニーズの変化に対応した倉庫業の現状と事業者の意向把握
 近畿2府5県の倉庫事業者(普通倉庫764社、冷蔵庫213社)を対象にアンケート及びヒアリング調査実施し、実施事業の概要、倉庫施設の概要、情報化の現状、倉庫新増設計画、今後の事業方針等について把握し、とりまとめた。
 また、東京、名古屋、福岡地区の倉庫業界、団体にヒアリング調査を実施して、倉庫業の現状と問題点、将来の倉庫整備計画等について把握した。
[3] 輸送途上における貨物保管施設の現状と将来動向の把握
 近畿2府4県のトラック事業者約500社を対象にアンケート調査を実施し、営業倉庫以外の輸送途上における貨物保管施設について、施設の配置状況、規模、機能、利用品目、今後の整備計画等について把握し、とりまとめた。
[4] 貨物保管施設に対する荷主等のニーズの把握
 近畿2府5県の荷主企業約430社を対象にアンケート調査を実施し、物流業務の実施主体(委託先)、営業倉庫の利用状況及び評価、需要、今後の物流戦略等について把握し、とりまとめた。
[5] 営業倉庫の必要庫腹量の予測
 既存資料及び関係機関に対するヒアリング調査により、貨物保管施設の需要に影響を与える指標(GNP、経済成長率の動向、工業出荷額、輸出入貿易量の動向、地価の動向並びに道路、流通団地等の整備計画等)を府県別に把握するとともに、上記調査結果を踏まえ、営業倉庫(普通及び冷蔵)の近畿2府5県別の平成10年度必要腹量を推定し、倉庫配置計画を策定した。
[6] 物流近代化・合理化に資するための方策の検討
 倉庫業をとりまく環境変化や荷主ニーズの多様化に対応するための営業倉庫の将来のあり方について、上記調査結果を踏まえ検討し、倉庫業の複合化、総合化等の業態面での対応、高度化、近代化等の施設、整備面での対応、情報面、労働力確保面での対応等、今後の倉庫業のとるべき方策についてとりまとめた。
[7] 調査のまとめ、報告書の作成
上記の調査結果をとりまとめ、委員会で検討のうえ、報告書を作成した。
a. 部数   200部
b. 配付先  運輸省等関係省庁、地方公共団体、倉庫業界、委員会委員等
(4) 神戸港における港湾荷役(沿岸荷役)事業の構造改善等に関する調査研究
[1] 神戸港における港湾荷役(沿岸荷役)事業の推移と現状把握
 沿岸荷役事業の概要、沿岸荷役事業実績、労働者、荷役機械の現状、事業免許制度、経営状況の分析等から、神戸港における港湾荷役(沿岸荷役)事業の推移と現状について、既存資料及びヒアリング調査により、とりまとめた。
[2] 他港における沿岸荷役の実態調査
 国内主要港湾(塩釜港、千葉港、京浜港、清水港、名古屋港、四日市港、広島港、高松港、坂出港、北九州港)において現地ヒアリング調査を実施し、沿岸荷役作業場所と要員配置、作業の波動性、作業の合理化方策、沿岸作業機械等、沿岸荷役事業の実態を把握し、とりまとめた。
[3] 沿岸荷役事業者等の意向等調査
 神戸港における港湾荷役(沿岸荷役)事業者約220社を対象にアンケート及びヒアリング調査を実施し、沿岸荷役事業の実態と業務の波動性、共同化、協業化に対する考え方について把握し、とりまとめた。
 また、荷役機械メーカー4社を対象にヒアリング調査を実施し、沿岸荷役作業機械の開発状況等について把握し、とりまとめた。
[4] 今後の沿岸荷役事業の事業展開並びに共同作業等のあり方について検討
 上記の調査結果並びに、港湾荷役(港湾荷役)事業の将来像、今後の課題を踏まえ、作業の共同化・協業化、荷役機械の高度化の推進、労働力確保対策の推進、港湾労働者の技能の向上、一般港湾運送事業者との連携等の視点から検討し、神戸港における港湾荷役(沿岸荷役)事業の将来ビジョンとして提言し、とりまとめた。
[5] 調査のまとめ、報告書の作成
上記の調査結果をとりまとめ、委員会で検討のうえ、報告書を作成した。
a. 部数   200部
b. 配付先  運輸省、地方公共団体、港運業界、委員会委員等
■事業の成果

(1) 大阪湾ベイエリアにおける交通体系整備推進に関する調査研究
 大阪湾ベイエリア地域では、我が国初の24時間運用可能な国際ハブ機能をもつ関西国際空港の開港を始め、様々な大規模プロジェクト計画・実施されている。
 同地域の開発プロジェクトは、円滑な人の流動が確保されてこそ成功するものであり、今後は、開発計画が熟成する段階で、需要動向に応じたマストラ(鉄軌道、バス等)の整備計画を検討していく必要がある。
 また、ベイエリア地域において望まれる将来都市構想を踏まえた交通体系の整備が課題となっている。
 本調査研究は、このような状況を踏まえ、大阪湾ベイエリア地域における将来都市構造と各自治体のマストラ整備計画・構想をヒアリング調査により把握するとともに、マストラ整備の意義と基本方針に基づき、将来の交通基礎需要を算定し、需要に対応した中・長期的な交通体系の整備方策と整備推進課題についてとりまとめたものである。
 この調査結果が、大阪湾ベイエリアの開発整備が進展する中で、地方自治体をはじめ関係機関において交通体系の整備を推進するうえで貴重な資料となるものと思料する。
(2) 21世紀における近畿圏の貨物物流ビジョン策定に関する調査研究
 物流は、我が国経済の発展、国民生活向上にとって必要不可欠の存在となっている。
 しかしながら、近年における労働力不足、道路混雑、環境問題等物流をめぐる制約要因が急速に深刻化する反面、物流の高度化、多様化への要請は今後さらに高まるものと考えられる。
 近畿圏においては、関西国際空港をはじめとする大規模プロジェクトの進捗、各地における物流センター整備計画、工業団地造成等の様々な開発が進展する中において、産業構造、産業立地の変革も想定され、今後、近畿圏における物流構造は大きく変化するものと予想される。
 このような状況の中で、本調査は、平成5・6年の2ヵ年にわたり、近畿圏の物流の現状と問題点を物流事業者及び荷主企業に対するアンケート・ヒアリング調査により把握した。また、将来の貨物需要量を勘案しながら、これら物流をとりまく諸問題、環境変化に的確に対応し、円滑な物流を確保するため、近畿圏の貨物流通ビジョンの策定について調査したものである。
 本年度は2ヵ年事業の初年度に当たり、次年度調査の基礎資料としてとりまとめたものである。
(3) 近畿圏における貨物保管施設の整備に関する調査研究
 近年、倉庫業を取り巻く環境は、保管貨物の小口化、出し入れの多頻度化が著しく、また、保管サービスだけでなく、在庫管理、流通加工、情報処理、集配送等の業務をあわせて行うことが必要になってきている。このようなことから環境の変化に対応した一層高度な機能を有する倉庫の整備が必要になってきているが、未だ地価が高い水準にあり倉庫用地の確保が困難な状況にある。
 また、倉庫業は広大な用地と大規模な施設を要する装置産業であるため、保管需要の変動に応じて短期間に庫腹を増減する事が困難である。
 このような中で、本調査は、近畿圏における貨物保管施設の現状と取扱貨物の実態を把握し、近畿経済圏の地域特性を考慮したうえで、中・長期的な保管需要の見通しと、平成10年度の倉庫整備の目標値を示し、経済社会の要請に応えた倉庫整備の推進と国民生活の安定、物流の近代化、合理化に資するための方策について検討したものである。
 この調査結果が、倉庫業より具体的な事業実施のための指針となるとともに、今後の倉庫業の安定的発展に寄与するものと思料する。
(4) 神戸港における港湾荷役(沿岸荷役)事業の構造改善等に関する調査研究
 神戸港における港湾荷役(沿岸荷役)事業者は、中小事業者から大企業まで多様を事業者で構成されている。特に中小事業者にあたっては、その配置されている作業現場が狭隘・劣悪であったり、業務の波動性に対処できなかったり、小人数による作業や非効率な業務を余儀なくされている。また、船内荷役のように作業単位(ギャング)が明確でなく、多様な作業形態をもつため、作業の共同化を行うことが困難な状況になる。
 本調査は、このような状況のなかにある港湾荷役(沿岸荷役)事業者について、アンケート及びヒアリング調査により事業の実態と業務の波動性、共同化、協業化に対する考え方等について把握するとともに、中小事業者を中心とした事業の将来ビジョンについて検討し、提言したものである。
 この調査結果が、神戸港における港湾荷役(沿岸荷役)事業の構造改善に寄与するものと思料する。特に、中小事業者の多い港湾荷役(沿岸荷役)事業の経営状況が厳しい中で、本調査結果で提言した各種の共同化・協業化は各事業者では対応できるのではなく、業界団体をはじめ関係者の協力の下で実施に向けた方向で論議され、着実に実行されるものと思料する。
 以上のように、本事業は、大阪湾ベイエリア地域に為ける開発プロジェクトの整備動向に対応した交通体系整備の推進方策と物流をとりまく構造変化に対応した効率化方策、貨物保管施設の整備計画等、運輸交通事業のあり方についての方策策定に寄与するものと思料される。





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