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■事業の内容

(1) 中部地区造船業における女性労働力の現状と問題点の分析
 中部地区造船業における女性労働力、特に若い女性労働力の現状について、建造分野を中心に設計、検査、管理等の分野及び職種別に把握し、問題点と今後の導入に際しての課題を分析した。

(2) 女性の側から見た造船業への就業の可能性の検討
[1] 現在造船業に就業している女性従業員の就業理由、改善要望等について把握し、現状の造船業における就業環境等の問題点や課題等を整理した。
[2] 中部地区の女子学生の造船業に対するイメージの把握をした

(3) 他産業の女性労働力確保に関する成功事例研究
 3K産業における女性労働力、特に若年労働力の確保の成功事例を研究した。またその中で、男性が他職場への若年女性労働力の導入に成功した事例を中心にイメージ作り、職場環境の作り等を研究した。

(4) 女性労働力の就業可能性の評価
 上記調査結果に基づき、設計、建造、検査、管理等の各業務及び職種における女性の就業、特に若年女性の就業を可能とするための施設、設備の改善作業環境改善にむけての具体策及び技術的開発課題を提起し、併せて可能な支援策について検討を行い、女性の就労可能性を総合的に評価した。

(5) 報告書の作成、送付
 造船業への女性労働力の導入のための調査研究の成果を報告書にとりまとめ、説明会出席者に配布した。
[1] 規格   オフセットB5判
[2] 部数   320部
[3] 配布先  関係官庁、造船関係者、委員等

(6) 説明会の開催
 経営者、人事担当を対象に説明会を開催した。
[1] 開催場所  名古屋、鳥羽、清水
[2] 開催期間  各地区1日
[3] 講師    委員、(株)三菱総合研究所担当者 各1名
(7) 委員会の開催
 運営委員会  3回
※本事業は平成6年5月31日完了予定である。

■事業の成果

造船業は、他の製造業に比較して労働集約性が高く、かつ、多くの熟年労働力を要する産業である。しかしながら、造船業は長期に亘る不況から生産設備の老朽化や労働力の高齢化が進行しており、不況業種との先入観や過酷な野外作業のイメージが定着していることから、いわゆる「3K産業」の代表格と目され、優秀な若年労働力の確保が大きな問題となっている。
 このため、世界において、重要な物流手段である船舶の供給責任を有するわが国造船業が、国内において「魅力ある産業」としての地位を保っていくためにも、平成3年12月の海運造船合理化審議会答申にも謳われているように就業構造の変化への対応として機械化、省力化の観点から生産技術の高度化を促進するとともに、労働条件、就労環境の一層の整備を進めていく必要がある。
 しかるに、中部地区においては、わが国有数の航空機産業、自動車産業の存在や都市部を中心としたサービス産業の発達があり、造船業がこれらの産業に伍して、若年の優秀な労働力を吸収していくことは大変困難な状況にある。
 一方、同様に「3K産業」と見られている建設業においては、労働力不足の解消策の一つとして、女性労働力に着目し、その導入へ向けての準備が進められており、すでに一部では導入が始まっている。
 このため、本調査研究では、建設業等においての女性労働力導入の成功事例を踏まえ、中部地区造船業における労働力確保の一つの具体案として、未だ造船業への導入が遅れている女性労働力、とりわけ若年女性労働カへの導入に向けた作業環境や改善点や技術的開発課題の指摘等導入策について検討を行い、導入の可能性を総合的に評価し、もって中部地区造船業の経営基盤の整備に寄与するものと思料される。





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