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■事業の内容

本開発研究は、海水浴場等、浅海域における浮遊ゴミ・海底ゴミを効果的に除去するクリーン作業船の開発を目標とし、平成3年度から平成5年度までの3ケ年計画で実施したものである。
 本年度は、前年度に製作した実証実験機による実海域実験を行い、所期の成果を得るとともに、関係者及び報道機関を招いて公開実験を行った。
(1) 実験方法の検討
[1] 実験場所    横須賀市久里浜海岸
[2] 走行実験    波に平行に走行させ、走行性能の確認
[3] 安全性実験   波に平行に実験機を配置させ、波力による転倒・滑動に対する安全性の確認
[4] ゴミ回収実験  模擬ゴミを用い、浮遊ゴミ・海底ゴミの回収状況の検証
[5] データの収集  波高計、圧力計、傾斜計、ジャイロコンパス等によるデータを収集するとともに、ビデオカメラ、ステールカメラによって状況を観察
(2) 実証実験
 上記の実験方法に基づいて、平成5年9月27日〜10月1日の間、横須賀市久里浜海岸において実証実験を行った。
[1] 走行実験
 水深1m及び1.5mの海域を波頂と平行に約30m走行させ、走行状況を観察した。
[2] 安全性実験
 水深1m及び1.5mの海域に実験機を停止させた状態で機体各部に作用する波圧(圧力センサ11個)及び機体の姿勢を連続計測するとともに、機体全体の状況及びクローラ接地部の洗掘状況を観察した。
[3] ゴミ回収実験
 水深1mの海中に実験機を停止させ、海面に浮遊している模擬ゴミをエダクタによって回収する状況、ならびに砂浜上に置いた空缶等をバケットによって回収する状況を観察した。
(3) 解析・評価
実験中に取得した計測データは、次の要領で解析・評価を行った。
[1] 波高
 スペクトル解析を行い、波高の有意義値及び平均波周期を求め、各実験における波高の状態を明らかにする。
[2] 波圧
 スペクトル解析から波圧の有意義値及び最大値を求め、これらをもとに、機体側面に作用する横方向波力を推算し、滑動等に対する安全性を考察する。
[3] 機体の姿勢
 ジャイロコンパス及び傾斜計のデータから機体の姿勢の変化を考察する。
(4) 成果のとりまとめ
 上記の研究成果をとりまとめて報告書を作成し、委員ならびに関係機関に配付した。
■事業の成果

本事業では、海水浴場等のゴミ汚染に対処するため、海浜の波打際など比較的水深の浅い場所での浮遊ゴミ及び海底ゴミを効果的に回収することを目的とした「浅海域クリーン作業船」の開発を行ったものである。
 平成3年度及び4年度は、クリーン作業船の要素技術の検討、波強制力の推定計算と安全性の検討及び模型実験による安全性の確認、また実証実験機の試設計、製作ならびに作動確認試験を行った。
 本年度は、前年度に製作した実証実験機を用い、横須賀市久里浜海岸において実証実験を行い、所期の成果を得たことは、本機の実用化に一層の拍車がかかるとともに、浅海域環境の美化に寄与するものと思料される。





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