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■事業の内容

(1) 海洋開発関連の国際会議・展示会への出席
[1] OTC '93への出席
a. OTC '93調査について
(a) 期間   平成5年5月2日(日)〜5月15日(土)
(b) 場所   ヒューストン(他、米国の研究機関等を訪問)
(c) 共催   米国の石油、化学、鉱物、土木、電気海洋等の14の学会
(d) 会議・展示会の参加者数  32,875名
(e) 展示会  1,264団体から展示物が出品された。
b. 研究機関等の調査・視察
(a) WHOI(ウッズホール海洋研究所)
 大型海洋研究船に関する情報交換、WHOIの運航船KNORRの改造に関する情報収集等を行った。
(b) ロードアイランド大学
 UNOLS(University National Oceanographic Laboratory System)の仕組みや活動状況等について情報収集するとともに、大型海洋研究船の概念設計等について意見交換を行った。
(c) ボストンレイビング社
 平成6年度に計画されている「しんかい6500」「かいこう」システムを用いた大西洋の海洋調査に先立ち、海洋調査中における同システムの試験・整備等のための事前調査を行った。
(d) ゼネラルシップ社
 上記ボストンレイビング社と同目的で、事前調査を行った。
(e) グロステン社
 大型海洋観測船の概念設計等について意見交換を行うとともに、係留ブイハンドリングシステム等について情報収集を行った。
[2] OMAE '93への出席
a. OMAE '93調査について
(a) 期間    平成5年6月20日(日)〜6月24日(木)
(b) 場所    グラスゴー(他、欧州の研究機関等を訪問)
(c) 主催    米国機械学会(ASUME)
(d) 発表件数  約360件
b. 研究機関等の調査・観察
(a) カメラアライブ社
 主に海中スチルカメラシステムの開発・販売を行っており、当センターの「かいこう」にも同社製スチルカメラを装備している。現在開発中のステレオカメラシステム等について、情報収集を行った。
(b) シムラッドオスプレイ社
 主に海中TVカメラシステムの開発・販売を行っている会社である。最近海軍からの要請で開発した、高感度白黒TVカメラ等について、情報収集を行った。
(c) ノルウェー工科大学
 Underwater Technologyのコースがあり、小型ROV等の開発もしている。小型ROV等について情報収集及び意見交換をおこなった。
(d) MARINTEK
 ノルウェーにおける海洋開発の中心として活動をおこなっている機関で、上記のノルウェー工料大学と密接な関係を持って活動している。小型ROV等について情報収集及び意見交換をおこなった。
(e) Simrad Subsea社
 水中音響機器の製造・販売を中心とした分野では、世界でも屈指の大企業であり、当センターの「かいこう」にも同社製前方探査ソーナーを装備している同音響航法機器及びマルチナロービーム音響測深機等について、情報収集を行った。
(f) ディーコン海洋料学研究所
 英国における海洋調査の中核となる研究所で、曳航式サイドスキャンソーナー“GLORIA”の開発・運用等世界に先駆けた開発を行っている。“GLORIA”及びAUTOSUBシステム等について、情報収集を打った。
[3] MTS '93への出席
a. MTS '93調査について
(a) 期間    平成5年9月21日(火)〜10月9日(土)
(b) 場所    ロングビーチ(他、米国の研究機関等を訪問)
(c) 主催    MARINE TECHNOLOGY SOCIETY
(d) 論文発表件数  約130件
(e) 展示会   約90の団体と企業
(f) 参加者数  約2,000人
b. 研究機関等の調査・視察
(a) ワシントン大学APL(APPLIED PHYSICS LABORAYOR)
 ワシントン大学内の応用物理学の研究所で、海洋関係では、各種海洋観測、海底探査、北極圏での氷の観測を行うとともに、これに必要な観測機器の開発を行っている。今回はセンターが参加する予定のATOC(ACOUSTIC THERMOMETRY OF OCEAN CLIMATE)計画について担当者と意見交換を行った。
(b) NOAA/PMEL(PACIFIC MARINE ENVIRONMENTAL LABORATORY)
 PMELは、NOAA(海洋大気局)の付属機関であり海洋環境の変化の予測のために太平洋を中心とした海洋の物理的または、地球料学的側面から研究をおこなっている。今回は、センターの進めているブイシステムの係留系や衛星通信洋の海面ブイシステムについて説明し、その健全性について担当者と意見の交換を行った。
(c) サンディエゴのRD INSTRUMENTS社を訪問し、ブイシステムや小型ROV用のドップラー流速計について担当者の説明を受け、その精度や取り扱い等について知見を得た。

(2) 海外の研究者・技術者の招へい
[1] 海洋観測研究に関する研究者の招へい
a. 招へい研究者
 米国 NOAA/PMEL(海洋大気局太平洋環境研究所)博士
b. 招へいの成果
(a) べーリング海以北の海域における研究協力の内容や今後の方針・計画等について協議した。
(b) NOAA/PMELにおける北極研究に関する講演が行われ、多数の研究者が聴講した。
(c) 氷海における、ポリニア(結氷した氷野に、何らかの原因で出現した開水面)の共同観測のホウコウセイについて協議した。
(d) NOAAは北極圏研究部などを持ち、北極の研究に積極的であり、データ保有量も膨大なものがある。これらのデータの利用のための相互理解が深められた。
[2] 海洋観測研究に関する研究者の招へい
a. 招へい研究者
 米国 スクリプス海洋研究所博士
b. 招へいの成果
(a) 海洋科学技術センターとスクリプス海洋研究所とは、1991年に研究協力協定を締結している。この協定に基づき、等密度面座標モルを用いた、鉛直混合過程の研究の一環として、熱帯太平洋海域の降雨に対する応答実験を行うことで合意している。
 スクリプス海洋研究所が所有する降雨-蒸発量観測データを使用し、海洋科学技術センター(防災科学技術研究所のスーパーコンピューター)において降雨応答解析実験を実施した。
(b) 実験成果について有益な討論/意見交換を行った。
(c) 今回の実験成果に基づき、海洋科学技術センターとスクリプス海洋研究究所間のスーパーコンピューターを用いた共同研究について新たな研究の打ち合わせを行った。

(3) 国際協力の推進
[1] WHOI(ウッズホール海洋研究所)への役職員派遣
a. 派遣した役職員  2名
b. 国際協力の推進の内容
(a) 日本大使館
 今回の訪米目的及び海洋科学技術センターの概要を説明し、大使より先般の宮沢総理の訪米において、経済問題のみでなく他分野の二国間協力項目(環境、技術等)についても協議することが合意され、国務省(ティムワース次官)は海洋分野も念頭にあるなどの説明を受けた。
(b) NSF(国立科学財団)
 両機関の最近の活動状況及び今後の計画等について情報交換を行うとともに、今後の両機関の直接・間接な協力等について意見交換をおこなった。
(c) NOAA(商務省大気海洋局)
 UJNR、日米太平洋総合観測、GOOS、沿岸開発利用研究、衛星リモートセンシング、海洋科学技術パネルの設立及び両機関の協力等について意見交換を行った。
(d) WHOI(ウッズホール海洋研究所)
 両機関間の研究協力協定にもとづく第5回定期協議を行うとともに、今後の協力内容に関するMOUの締結等について意見交換を行った。
(e) PMEL(太平洋海洋環境研究所)
 両機関の最近の活動状況及び今後の計画等について情報交換を行うとともに、両機関間の研究協力に関するMOUの調印を行った。
(f) SIO(スクリップス海洋研究所)
 両機関の最近の活動状況及び今後の計画等について情報交換を行うとともに、両機関間の研究協力協定に基づく協力の強化等について意見交換を行った。
(g) NELH(ハワイ自然エネルギー研究所)
 両機関の最近の活動状況及び今後の計画等について情報交換を行うとともに、深層水の利用効果・経済性の向上等について意見交換を行った。
■事業の成果

平成5年度においては、[1]OTC'93会議・展示会及び米国の海洋開発関連機関、[2]OMAE'93会議・展示会及び米国の海洋開発関連機関、[3]MTS'93会議・展示会及び米国の海洋開発関連機関の調査等を実施し、最新の技術動向を調査した。
 その結果、当初予期した以上の技術情報、資料の収集を行うことができ、特に、現在当センターが進めている、10,000m級無人探査機、深海掘削船システムの開発研究等、先端的研究開発事業の推進にとって、極めて重要なデータや情報が得られた。
 また、海外からの研究者・技術者の招へいについては、米国NOAA/PMEL(海洋大気局太平洋環境研究所)から研究者を招き、北極圏での海洋研究等の研究協力の今後の方針、計画等について、また、米国スクリプス海洋研究所から熱帯海域の大気モデルを使った降雨応答シミュレーションに造詣の深い研究者を招き、等密度面座標モデルを用いた、熱循環の鉛直混合過程の研究について数々の助言を得られた。さらに、国際協力の推進については、米国の主要な海洋研究所の一つであるWHOI(ウッズホール海洋研究所)と当センターの協力関係を推進するため、深海潜水調査船を含む海洋調査船等を用いた海洋観測技術、無人探査機による深海底の調査技術等の課題に関する具体的な機器開発、技術動向等の調査及び研究評価を行った。
 これらの成果は報告書としてとりまとめ、広く海洋科学技術に関する研究開発等の事業に反映するものであり、本事業は、わが国の海洋料学技術の発展に大きく寄与するものと思われる。





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