■事業の内容
(1) 盲ろう児に対する教育マニュアル作成のための調査・研究 先天性盲ろう児に対する教育システムは我が国においては未確立であり、盲ろう児教育に関する教育マニュアルの作成をめざす。このため教育関係者等による研修会や盲ろう見ワークショップを開催して情報交換を行う。また、今年度は特に関西地区を重点に訪問面接調査を行い、資料の不足を補う。 年度末にはこれらの研究成果を紀要にまとめ関係者に配付する。 [1] 内容 盲ろう児教育関係者などを対象とする50人以上規模の研修会の開催 東京近郊在住の盲ろう児とその家族を中心にワークショップを開催 盲ろう児教育に関する研究成果を紀要にまとめて発行 [2] 方法 盲ろう児教育に知識、経験を有する有識者で専門委員会を構成し、この委員会に於いて、各事業の立案検討を行い、得られた成果を研究紀要に取りまとめる。 [3] 期間 平成5年4月〜平成6年3月、委員会11回開催 平成5年10月9目〜11日、盲ろう児ワークショップ開催 平成5年10月10日、教育研修会開催 平成6年3月、研究紀要発行 (2) 交流会開催 既に言語を獲得している中途盲ろう者に対して、社会と触れ合う機会を与えるために、定期的に交流の場を設ける。この事によって他者と会話を交わす機会が増え、コミュニケーション手段の習熟を図る事が出来る。また、非盲ろう者にあっては、通訳・介助の実地研修の場ともなる。 [1] 場所 都内及び東京近郊 [2] 対象者 各回平均80人(うち盲ろう者21人) [3] 内容 コミュニケーションの場の提供と通訳・介助者の実地研修 [4] 期間 平成5年4月〜平成6年3月、合計11回 毎月1回。但、12月と3月は1泊2日の合宿形式で行った。 8月は全国盲ろう者大会と重なるために行わなかった。 (3) 盲ろう者用機器開発 盲ろう者は、一人で外出したり、電話を使って外部と交信したりすることが出来ない。このため、点字を媒介とした電話機の開発は、他者とのコミュニケーション促進に欠かせないものであり、その完成と普及をめざす。 [1] 開発機器 点字電話 [2] 方法 平成4年度に引き続き委員会を設置し、今年度の研究成果を基に実験を重ね、ソフトの改良を行う。また誰にでも使いこなせる機種とするために専用匡体を製作する。いずれも委託業者の協力を得ながら盲ろう者の試用を経て、年度末には研究成果をとりまとめ、次年度以降の研究の方途を探る。 [3] 委託内容 点字通信装置を試用する際に生ずる様々な問題点について、具体的助言を行い改良に携わる。専用匡体を設計し、製作する。
■事業の成果
先天盲ろう児に言語概念を習得させるための教育手法は、我が国では未だ確立されていない。したがって先天盲ろう児の教育は全く手が付けられていないのが現状であり、この教育体制を整備することは急務である。また、既に言語を獲得している中途盲ろう者も、そのほとんどが一般社会から隔絶された生活を強いられており、なんらかの施策を持って、社会との関わりを持たせることが必要である。このため、先天盲ろう児に対する教育マニュアルを作成し、交流会の開催や機器の開発によって、中途盲ろう者が社会との関わりを持てるようにし、もって盲ろう者の福祉の向上に資するところ大である。
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