
■事業の内容
セミナーの開催 日本の鉄道技術の優秀性を理解、認識させることにより、日本からの技術協力、鉄道関連産業の進展を促進するため、中国及びイランにおいてセミナーを開催した。 (1) 中国 大連 大連市内の都市交通は、ほとんどがトロリーバス、バス、路面電車、自転車等に依存しているが、近年タクシー、マイカー等の増加により路面交通はラッシュ時ばかりでなく、地域によっては終日混雑がはげしくなってきている。 こうした問題を解決するため、大連市では、LRTの建設計画を推進中であり旧市街地を縦横断する東・西・南・北線の4路線及び旧市街地と大連経済技術開発区を緒ぶ1路線の計5路線82,9kmの建設計画が具体化に向けて検討されている。 こうした時機に大都市における交通計画の手法、超過密輸送対策及び都市交通システムに関する技術と経験を有する日本の技術を同国に理解させ、また技術協力を促進するため、平成5年6月23日及び24日の両日、大連市においてセミナーを開催した。 セミナーでは当協会から菅原操理事長ほか4名が、また中国側から2名が講師として出席し、わが国からは、最適都市交通網の整備手法、そのための財源問題と日本における具体的開発手法、都市交通用の車両及び建設技術等についてそれぞれ専門的な立場から講演をした。 [1] 期間 2日間 [2] 講師 日本側5名、中国側2名 [3] 出席者 約160名 セミナーには中国側から大連市長、建設委員会副主任をはじめ多数の幹部が、日本側から瀋陽総領事館領事及び商社駐在員等多数が出席し盛会であった。 (2) イラン国 イラン国は、首都のテヘランから、その東西に位置する同国第3の都市エスファハーンの間に、新たに440kmの複線電化の高速鉄道(列車最高遠度200〜250km/h)の建設を計画しており、当協会は平成4年度において(財)日本船舶振興会の補助事業により、前記高速鉄道に関する予備調査を実施してイラン側から高い評価をうけている。 そこで今回イラン側が特に高い関心をもっている日本における高速鉄道の技術及び経済効果について日本・イラン両国の専門家の間で意見を交換することを目的として平成5年12月21日及び22日の2日間テヘランにおいてセミナーを開催した。 セミナーには当協会の菅原操最高技術顧問ほか4名が、またイラン側から3名の講師が出席し、日本側から鉄道高速化とその経済社会的効果、高速鉄道整備の手法、そのための財源問題等が、またイラン側からイランの鉄道高速の現状と日本との技術交流等についての発表が行われた。 [1] 期間 2日間 [2] 講師 日本側5名、イラン側3名 [3] 出席者 約250名 セミナーにはイラン側からイラン道路運輸省次官、国鉄建設公団総裁及び国鉄総裁等が、また日本側からもイラン日本大使館員多数が出席し盛会であった。
■事業の成果
当協会は、わが国の鉄道技術を広く海外へ紹介・PRをするため、本年度は中国及びイラン国の両国において海外セミナーを開催した。 このセミナーにより、両国の交通関係者に対し、フランス、イギリス、ドイツ等とひけをとらない日本の鉄道技術に対する正しい認識とそこから生まれる日本の鉄道技術への信頼を与えた。またセミナーを通じて海外鉄道技術協力を行うとともに両国との友好親善にも資することができた。 このセミナーを契機として、わが国に対して中国では都市交通について、また、イラン国では、都市間高速鉄道についての技術協力を求める要請が強くなってきている。
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