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■事業の内容

(1) 給気加湿によるNOx低減
 給気加湿単独試験装置による水噴霧の蒸気試験を行い、給気をほぼ目標の絶対湿度に加湿できることを確認した。そして、それを実現するために必要な加湿装置の条件を求めた。

(2) 硫酸腐象の調査
 硫酸蒸気の露点の推算式を調査し、それを用いてエマルジョン燃料及び給気加湿等が燃焼ガス中の硫酸蒸気の露点上昇に及ぼす影響を予測、検討した。

(3) 多口燃料噴射に上るNOx低減
 多口燃料噴射運転試験部品を設計・製作し、単筒機関に組み込んで運転試験を行って、多口燃料噴射の現時点におけるNOx低減の効果を把握した。また、燃料噴霧可視化試験部品を設計・製作し、燃料噴霧可視化試験装置に組み込んで可視化試験を行い、単筒機関シリンダ内における噴霧の分散の状態を把握するとともに、多口燃料噴射のNOx低減の効果をさらに高めるための方策を検討した。そしてその結果に基づいて、多口燃料噴射運転試験部品を設計・製作した。

(4) SCR式排煙脱硝システム
 SCR式排煙脱硝装置を製作し、単筒機関に組み込んで運転試験を行って、機関動特性等を評価・解析し、昨年度実施した機関動特性のシミュレーション結果を検証した。(SCR:Selective Catalytic Reduction:選択接触還元)

(5) 燃料・水層状噴射によるNOx低減
 実船試験に近い運転状態でシステムの作動、性能を確認するために、噴射装置、燃料供給装置等の試験設備を製作し、これに実船試験に使用するシステム主要機器をカップルさせて、陸上での単体試験を実施した。

(6) 委員会の開催
舶用ディーゼル機関のNOx低減技術の開発委員会  4回
■事業の成果

本事業では、舶用ディーゼル機関の経済性及び信頼性を低下させることなく、エマルジョン燃料、給気加湿、多口燃料費財及び燃料・水層状噴射という燃焼過程におけるNOx低減技術と選択接触還元(SCR)式排煙脱硝技術を有機的に組み合わせた技術の開発を目指し、種々の実験を通して、これらの検証を行った。また。燃料・水層状噴射によるNOx低減技術の検証においては、所期の性能・作動を確認したシステム構成機器をはじめ、全ての供試部品を供試実験船「銀河丸」へ搭載した。これにより、大気環境の保全に寄与するとともに、造船技術の振興及び我が国造船業の発展に大いに貢献するものと思料される。





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