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■事業の内容

船舶用品について、その品質及び性能改善を図るため、改良品の各種試験等の調査研究を実施した。
[1] 救命胴衣の新基準に関する調査研究
 SOLAS条約第<3>章の救命設備の試験基準が改正され、各国主管庁の定める時期より新基準が救命胴衣についても適用される。
 このため、新基準に対応する材料及び形状等を系統的に変化された供試品(固型式、膨脹式)を試作し、諸試験を実施して評価解析し新基準に適合する救命胴衣の生産に必要な基礎資料を作成すると共に型式承認基準作成に資することを目的とした。
a. 供試品
(a) 固型式救命胴衣
イ. 大人用  6種類 各3個 計18個
ロ. 小児用  6種類 各3個 計18個
(b) 膨張式救命胴衣
イ. 大人用  3種類 各3個 計 9個  合計 45個
b. 試験の種類
(a) 本体試験(供試品)       (b) 材料試験(浮力材)
イ. 着用試験           イ. 温度繰返し試験
ロ. 本体強度試験         ロ. 耐油試験
ハ. 肩部又は引き上げ部強度試験  ハ. 吸水試験
二. 浮遊姿勢試験
ホ. 浮力試験  
c. 評価
 試験結果を解析して評価を実施した。
[2] 大型いかだの積付け装置の改善に関する調査研究
 旅客船の脱出システムの研究が国際的に進められているが、大型膨脹式救命いかだのシューター近傍への集約設置について多段積の問題点の解明が特に急がれている。このため、大型いかだの多段積(二段積付け装置)の構造といかだの移動、落下特性等との関係を実験解析により究明し、大型いかだ積付標準作成に資することを目的とした。
a. 供試品
(a) 大型いかだ積付け装置  3種類
(b) 大型膨脹式救命いかだ  ダミー
b. 試験の種類
(a) 9.5mの高さからの投下
(b) 12.5mの高さからの投下
c. 計測項目
(a) 架台傾斜角に対する転がり加速度変化
(b) いかだ飛出し時間
(c) 着水時間
(d) 着水距離
(e) 2個のいかだの着水間隔
d. 評価
試験結果を解析して評価を実施した。
■事業の成果

救命胴衣の新基準に関する調査研究においては、各種型式の救命胴衣と固定式胴衣用浮力材料を用いて、新基準による性能評価試験を実施し、供試品の問題点を抽出し、それらの改良方策を検討した。得られた知見を設計にフィードバックすることにより、新基準をクリアする胴衣の製品化が可能になるものと思われる。
 また、大型いかだ積付け装置の改善に関する調査研究においては、調査研究の結果、大型膨張式救命いかだを多段積みした場合の、いかだ投下時における問題点を解明することができ、多段積付け装置の設計に必要な資料を得ることができたものと思われる。
 本調査研究において試作した大型いかだ積付け装置は、諸試験に活用できるよう製作されており、一部改良することにより実用にも利用可能なものと思われる。





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