■事業の内容
(1) 調査の方法 既に調査した我が国周辺における各種船舶からの大気汚染物質の排出量を基に、気象、地形、排出形態及び排出高度等モデル化して拡散計算を行い、船舶から排出されるSOx,NOx及びCO、(以下、大気汚染物質という。)が我が国沿岸の陸域への影響濃度分布を調査を実施した。 [1] 委員会による検討 学識経験者、関係団体及び関係官庁等で構成する「船舶による大気汚染対策委員会」を設けて、下記のとおり検討した。 a. 策1回委員会を開催して、次の事項を検討した。 (a) 本年度調査研究方針について (b) その他 b. 第2回委員会を開催して、次の事項を検討した。 (a) 本年度調査研究の中間報告書案について (b) その他 c. 第3回委員会を開催して、次の事項を検討した。 (a) 本年度報告書案の検討 (b) その他 [2] アンケート 「船内で発生する廃棄物の焼却に関する実態調査」に関して、下記のとおりアンケート調査を実施した。 a. アンケート調査対象:商船、旅客船、漁船、練習船及び巡視船 b. 配布数:867部 c. 回答数:409部 [3] 委託研究 「船舶からの排気ガスによる大気汚染調査」を委託した。 (2) 調査項目及び内容 本年度実施した調査研究の項目及び内容は次のとおりである。 [1] 世界海域における大気汚染物質の排出状況 世界の主要航路における大気汚染物質の排出量、沿岸から200海里以遠・以内における排出量及び主要な海域別の排出量を求め、陸域発生量に対する船舶からの排出量と比較した。 [2] 船内発生廃棄物の船上焼却に関するアンケート調査 アンケート調査を実施し、船上焼却の実態を把握するとともに、廃棄物の焼却に伴う大気汚染物質の排出量を試算した。 [3] 揮発性有機化合物(VOC)による大気汚染防止のための調査 船舶から排出されるVOCについて、文献及び聞き取り調査により排出実態及び削減対策等を調査するとともに、VOCの排出量を調査した。 [4] 船舶による大気汚染の陸域に与える影響調査 東京湾、大阪湾周辺の気象モデルを作成し、同海域を運航する船舶からの排出ガスの拡散シミュレーションを行い、船舶による大気汚染物質の地上濃度を試算した。これに基づき、排出ガスが陸域に及ぼす影響を調査した。 [5] 酸性雨への影響調査 酸性雨についての文献及び聞き取り調査を行い、船舶からの排出ガスが酸性雨に与える影響を検討した。 [6] 国際規制への対応に関する調査 船舶から排出されるSOx及びNOxの規制に伴って予想されるCO2の増加量及び種々の規制によるSOx及びNOxの削減効果について検討した。 (3) 報告書の作成 調査研究結果を取り纏め、報告書を作成した。 [1] 部数 :50部(コピー製本) [2] 配布先:委員、関係官庁、その他 (4) 委員会の開催 船舶による大気汚染対策委員会 3回
■事業の成果
船舶から排出される大気汚染物質の日本周辺海域及び世界海域における排出実態を調査するとともに、陸域発生源との比較を行った。また、窒素酸化物、硫黄酸化物の陸域へ与える影響を検討した。これらの調査結果は、今後の大気汚染防止機器の開発及び船舶燃料の改善と合わせて、船舶による大気汚染の防止に関する規制の策定に対応する基礎資料として、十分寄与できるものと思われる。
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