■事業の内容
(1) 調査の方法 本事業は2年計画とし、本年度は基礎的事項の調査研究を行い、次年度は本年度の調査研究の成果を基に、各海上交通センター相互間の連携が必要な事項及びそのために解決が必要な事項等について実施するもので、本年度は下記のとおり実施した。 [1] 委員会による検討 学識経験者、関係団体及び関係官庁等で構成する「海上交通情報機構ネットワーク調査研究委員会」を設けて、次の事項について検討した。 a. 第1回委員会を開催して、次の事項を検討した。 (a) 本年度事業計画について (b) その他 b. 第2回委員会を開催して、次の事項を検討した。 (a) ネットワーク化に関するアンケート調査票について (b) 既存OD調査資料について (c) その他 c. 第3回委員会を開催して、次の事項を検討した。 (a) アンケート調査の中間集計結果について (b) その他 d. 第4回委員会を開催して、次の事項を検討した。 (a) 本年度事業報告書(中間報告)について (b) その他 [2] 現地調査 瀬戸内海における航行管制と情報提供についての現状を把握するため、委員による現地調査を実施した。 調査地:備讃瀬戸海上交通センター [3] 海外調査(国際会議への出席及び海上交通情報機構の調査) a. 国際会議への出席 1992年6月にカナダのバンクーバーで開催された「海上交通業務国際会議」に参加して、海上交通情報機構に関する意見を発表するとともに、諸外国の研究の動向を探り、調査研究の向上を図った。 (a) 開催日:平成4年6月7日〜16日 (b)場所 :カナダ(バンクーバー)及びアメリカ(シアトル) (c) 調査員:2名 b. 海上交通情報機構の調査 上記の機会を利用して、カナダのバンクーバーとアメリカのシアトルの海上交通情報機構の連携を調査した。 [4] アンケート調査 瀬戸内海における海上交通情報機構のネットワーク化に関するアンケート調査を次のとおり実施した。 a. アンケート調査の対象:瀬戸内海航行中に海上交通センターを利用する船舶及びその関係者 b. 配布教:2,000部 c. 回答数:763部(有効回答数759部;回収率38.2%) [5] 委託研究 上記アンケート調査の集計及び解析業務を、マリンリサーチ(株)に委託して実施した。 (2) 調査項目及び内容 本年度実施した調査研究の項目及び内容は次のとおりである。 [1] 既存海上交通センターの内容把握 a. 実施年月日 :平成4年6月26日 b. 現地調査場所:備讃瀬戸海上交通センター(香川県綾歌郡字多津町青の山3810-2) c. 参加人員 :委員長以下14名 d. 概要 :昭和62年7月1日から運用を開始した当該センターを訪問して、航行管制と情報提供についての現状を調査するとともに、海上交通の実情についての説明を受け、また、同センターから船舶通航状況の実態を認識した。 [2] 既存資料による通行船舶OD調査 基礎資料として昭和56年度に運輸省第三港湾建設局が実施した既存の資料を基に、海上保安庁実施の通航船舶実態調査資料を加味して、平成元年の補正値を求めて瀬戸内海の通航船舶OD調査資料を作成した。 [3] 利用者の意見・要望を把握するためのアンケート 平成4年9月1日現在、海上交通センターを利用して瀬戸内海を航行する一般船舶、大型漁船及びその他の船舶を調査対象として、当該船舶に係る実務関係者にアンケート調査票2,000部を配布した。回収後のアンケート調査票は専門機関に集計・解析を依頼して実施した。 [4] 海上交通情報機構の連携に関する資料の収集、整理及び国際会議への出席 平成4年6月7日から6月12日までカナダ国バンクーバー市で開催されたVTSに関する国際会議(VTS'92)に委員2名を派遣し海上交通情報機構に関する意見を交換するとともに、諸外国の動向を調査した。また、平成4年6月12日から6月16日までバンクーバー市及び米国シアトル市において、米加両国のVTSを訪問し、両VTS連携の現状を調査するとともにVTS運用実態についての視察を行った。なお、海外文献を取りまとめの上、参考資料として中間報告書の巻末に添付した。 (3) 報告書の作成 調査研究結果を取り纒め、報告書を作成した。 [1] 部数 :50部(コピー製本) [2] 配布先:委員、関係官庁、その他 (4) 委員会の開催 海上交通情報機構ネットワーク調査研究委員会 4回
■事業の成果
本年度は、2年間の継続事業の初年度に当たり、瀬戸内海における次の基礎的事項の調査研究に力を注いだ。 (1) 現地調査による海上交通センターの現状調査 (2) OD調査による船舶の通航状況調査 (3) アンケート調査による、通航船舶の意見や要望等の集計・解析 (4) VTSの国際的動向 本年度は、これらの交通環境の実態が把握でき、ネットワーク化を図るための十分な基礎資料を得ることができたものと思われる。
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