
■事業の内容
(1) 国際規格原案の審議 国際標準化機構(ISO)、国際電気標準会議(IEC)から照会された下記76件の国際規格原案等に関し、我が国の意見をとりまとめて回答を発信した。 ・ ISO CD11105 舟艇-エンジン及び燃料区画の通風 ・ ISO TC188/WG19 N 13 舟艇-航海灯 ・ ISO DIS 9094-1 舟艇-防火-第1部:長さ15mまでのボート ・ ISO TC8/AG N 364 A-60防火戸の新規標準化提案 ・ ISO DIS 9093-1 舟艇-シーコック及び船体貫通金物 第1部 金属製 ・ ISO TC 8 N 789 造船用語の新規標準化提案 ・ ISO DIS 3372 造船-内陸航行船-マッシュルーム形通風筒 ・ ISO TC188/WG 6 N 11 舟艇-トイレット再循環システム ・ ISO TC8/AG N 365 国際規格作成手順の促進提案 ・ ISO DIS 9650-1.2 舟艇-膨脹式救命いかだ 第1部 一般要件 ・ ISO DIS 9650-2.2 舟艇-膨脹式救命いかだ 第2部 材料 ・ ISO DIS 10240 舟艇-オーナーズマニュアル ・ IEC 18(CO)545 般用電気設備-機器-配電盤及び制御盤の部分改正 ・ IEC 18(CO)546 般用電気設備-システム設計-保護の部分改正 ・ ISO TC8/N 790 ドラフトサーベイの規標準化提案 ・ IEC18(CO)547 般用電気設備-機器-発電機及び電動機の部分改正 ・ IEC 18(S)711 般用電気設備-定義及び一般要求事項の部分改正 ・ IEC 18(Germany)525 般用電気設備-機器-配電盤及び制御盤の部分改正 ・ IEC 18(Germany)526 般用電気・電子設備に関する電磁協調の部分改正 ・ IEC 18(S)712 般用電気設備-定義及び一般要求事項の部分改正 ・ IEC 18(S)713 般用電気設備-システム設計-保護の部分改正 ・ IEC 18(S)714 般用電気設備-機器-発電機及び電動機の部分改正 ・ IEC 18(S)715 般用電気設備-機器-配電盤及び制御盤の部分改正 ・ IEC 18(S)716 般用電気設備-機器-半導体コンバータの部分改正 ・ IEC 18(S)717 般用電気設備-システム設計-保護の部分改正 ・ IEC 18(S)718 般用電気設備の引用規格の更新に関するTC18事務局提案 ・ IEC 18(S)720 般用電気設備-システム設計-保護の部分改正 ・ IEC 80(CO)71 航海機器の一般要件-試験方法及び試験結果 ・ ISO CD 10055 船用機器の振動試験方法 ・ IEC 18(S)719 IEC/TC18般用電気設備専門委員会の長期戦略 ・ ISO CD 11812 舟艇-コックピット及びコックピットの排水 ・ IEC 18/18A(S)735/83 般用電線の改正提案 ・ ISO TC10/SC10/N56-2 製図用図記号-第2部:一般用 ・ ISO TC10/SC10/N56-3 製図用図記号-第3部:配線、配管及び附属品 ・ ISO TC10/SC10/N56-4 製図用図記号-第4部:機械及び電子的機械駆動装置 ・ ISO TC10/SC10/N56-5 製図用図記号-第5部:計測及び制御装置 ・ ISO TC10/SC10/N56-6 製図用図記号-第6部:計測及び制御機能 ・ ISO TC10/SC10/N56-21 製図用図記号-第21部:機械要素 ・ ISO TC10/SC10/N56-23 製図用図記号-第23部:ポンプ、ファン及びコンプレッサー ・ ISO TC10/SC10/N56-24 製図用図記号-第24部:油圧駆動機械 ・ ISO TC10/SC10/N56-25 製図用図記号-第25部:熱伝達装置 ・ ISO TC10/SC10/N56-26 製図用図記号-第26部:化学機械用分離装置及びミキシング装置 ・ IEC 18(UK)565 般用電気設備-装備基準及び完成試験の部分改正提案 ・ ISO CD 10816-6 機械振動-定格出力100kW以上の往復動機械振動の計測及び評価 ・ ISO CD 6185-1 舟艇-膨脹式ボート-第1部:最小浮力1800N及び最大定格出力4.5kWのボート ・ ISO DIS 10592 舟艇-油圧操舵装置 ・ ISO DIS 8099-1 舟艇-衛生排水処理-第1部:トイレットリテンションシステム ・ ISO TC188 N 200 パーソナルクラフトの新規標準化提案 ・ ISO DIS 8845.2 舟艇-1/16テーパ付きプロペラ軸端及びボス ・ IEC 18A(S)82 IEC 92-352の部分改正:IEC 332-3に基づく試験方法の規定 ・ ISO TC 8/AG TC8/AGオデンセ会議の決議案 ・ ISO TC188 N 201 舟艇-携帯式燃料タンク及びシステムの標準化提案 ・ ISO TC188 N 202 舟艇-ガソリン機関のバックファイヤーコントロールの標準化提案 ・ ISO DIS 7840 舟艇-耐火燃料ホース ・ ISO DIS 8469 舟艇-非耐火燃料ホース ・ ISO DIS 8665 舟艇-船用推進機関及びシステム-出力計測及び表示 ・ ISO DIS 11547 舟艇-スタート・イン・ギヤ・プロテクション ・ IEC 18(Germany)525 般用電気設備第302部-配電盤及び制御盤-部分改正提案 ・ IEC Pub.92-303 般用電気設備第303部-動力及び照明用変圧器の改正案 ・ IEC TC80(S)72GMDSSの操作、性能要求及び試験方法 ・ ISO TC188/WG18 N 5 舟艇-スカントリング ・ IEC SC18A(S)84 般用電力、通信ケーブルの部分改正提案 ・ ISO CD 13342 船外機用スタディクスラストの計測 ・ ISO 4559 舟艇-ヨット用トラック-互換性寸法 ・ ISO 4567 舟艇-ヨット-排水金物 ・ ISO 3730 造船-ムアリングウインチ ・ ISO 6115 造船-トロールウインチ ・ ISO 6555 造船-トッピングウインチ ・ ISO 6582 造船-数値制御機械-ESSIフォーマット ・ ISO 6812 RO/RO船の岸壁との連絡-岸壁端と船尾又は船首に直線状連絡用傾斜路を持つ船との間の取り合い ・ ISO 7364 造船及び海洋構造物-甲板機械-船側はしご用ウインチ ・ ISO 7365 造船及び海洋構造物-甲板機械-遠洋用トウイングウインチ ・ ISO 7460 造船-線図-図形に関するデータ ・ ISO 8277 造船-配管工事-情報転送 ・ ISO 8431 造船-固定式ジブクレーン-一般荷役用船舶搭載形 ・ ISO 8861 造船-ディーゼル船の機関室の通風-設計要件及び計算基準 ISO及びIECから照会された船舶関係の国際規格原案等に対して審議を行い、我が国の意見を提出することにより、国際標準化活動に対する責務を積極的に果たすとともに、国際規格の内容に我が国の意向を十分反映させ、我が国の海運業、造船業、マリンレジャー産業及び関連工業の視野に立った合理化及び国際交易の促進に寄与することができた。 (2) 国際会議への出席 国際規格に我が国の意見を十分に反映させるため、船舶工業に最も関係の深い主要な国際会議に出席した。 [1] ISO/TC8/AG(諮問グループ)会議及びヨーロッパ主要国との協議 a. 開催場所 オデンセ(デンマーク) b. 開催期間 4日間 c. 主要議題 (a) ISO/TC8の名称及び適用範囲 (b) ISO/TC8の組織(SC23の設立) (c) 現行海事関係規格の整備 (d) 避難経路及び表示基準 d. 派遣内容 (a) 派遣者 1名 (b) 派遣期間 15日間 (c) 派遣先 スイス、イギリス、オランダ及びデンマーク [2] ISO/TC108/SC2/WG2(船舶の振動作業委員会)会議 a. 開催場所 ロンドン(イギリス) b. 開催期間 3日間 c. 主要議題 (a) ISO 6954(商船における振動の総合的評価のための手引)の改正 (b) 船用機器の振動試験方法 d. 派遣内容 (a) 派遣者 1名 (b) 派遣期間 8日間 [3] ISO/TC188及び同WG(スモールクラフト専門委員会及び同時開催作業委員会)会議 a. 開催場所 パリ(フランス) b. 開催期間 5日間 c. 主要議題 (a) 低電圧電気設備 (b) トイレットリテンションシステム (c) 操縦位置からの視界 (d) マヌーバリング (e) エンジン及び燃料区画の通風 d. 派遣内容 (a) 派遣者 2名 (b) 派遣期間 9日間 [4] ISO/TC188のグループドWG(スモールクラフト専門委員会/同時開催作業委員会)会議(その1) a. 開催場所 ベルリン(ドイツ) b. 開催期間 2日間 c. 主要議題 スカントリング d. 派遣内容 (a) 派遣者 1名 (b) 派遣期間 6日間 [5] ISO/TC188のグループドWG(スモールクラフト専門委資会/同時開催作業委員会)会議(その2) a. 開催場所 ロンドン(イギリス) b. 開催期間 5日間 c. 主要議題 (a) スタビリティー (b) 主要寸法 (c) 電気設備 (d) 操縦位置からの視界 (e) マヌーバリング (f) ガラスの強度、水密性 d. 派遣内容 (a) 派遣者 1名 (b) 派遣期間 9日間 [6] ISO/TC188のグループドWG(スモールクラフト専門委員会/同時開催作業委員会)会議(その3) a. 開催場所 デュッセルドルフ(ドイツ) b. 開催期間 4日間 c. 主要議題 (a) 復元性 (b) ガラスの強度、水密性 (c) 旋回速度と最大馬力 (d) LPGシステム (e) 防火設備 d. 派遣内容 (a) 派遣者 1名 (b) 派遣期間 8日間 [7] IEC/TC18及び同WG(船用電気設備専門委員会及び同作業委員会)会議 a. 開催場所 ロッテルダム(オランダ) b. 開催期間 5日間 c. 主要議題 (a) 92-101 船用電気設備の一般要求事項の改正 (b) 92-201 システム設計-一般の改正 (c) 92-202 システム設計の保護の改正 (d) 92-301 発電機及び電動機の改正 (e) 92-302 配電盤及び制御盤の改正 (f) 接地方式に関するSOLAS改正 (g) 危険物運搬船における危険区域 d. 派遣内容 (a) 派遣者 2名 (b) 派遣期間 9日間 ISO/TC8の規格・運営、各SC間の諸問題の調整を審議するAG会議に出席し、我が国が新規標準化項目の提案を行った「造船用語」が認められると共に、その幹事国に日本が指名された。我が国が幹事国として資料の取りまとめを行った「現行海事関係規格の調査」は、ISO/TC8の新規標準化項目の選定に大いに役立つ貴重な資料として認められ、引続き第3版を刊行することが要請された。 また、我が国で調査を行い、その調査報告を行った「避難経路及び表示基準」については、貴重な資料なので、ISOの技術報告書として刊行することを推奨された。これらの結論は、我が国がこれまで行ってきた。国際協力の結果が実を結んだものであり、これまで以上に我が国の国際協力に対する姿勢が評価された。 船舶の振動に関する問題については、各国ともに高い関心を寄せているものの、規格作成に当たっては、非常に膨大な振動データを収集・解析することが必要である。そのため、国際会議への出席時に最新のデータを提出し、そのデータを基に国際規格の改正案が審議されるなど、船舶振動の国際標準化の分野においては、我が国は不可欠な存在となっている。 スモールクラフトの分野においては、1994年のEC市場統合に向けて、ヨーロッパ規格のべースとなるISO規格の作成作業が一段と加速され、EC諸国を中心に積極的に行われている。このため今年度は4回、計5名の専門家及び事務局職員が出席したことにより、同会議の常連出席者として、各国出席者にも認められるようになった。この結果、これまで会議の席上しか入手出来なかったような各種関連文書が早い時期から入手できるようになり、事前に関係者の意見を聴取して、日本の意見を国際規格に反映することができた。また、我が国提出の国内規則が審議資料として取り上げてもらえるようになった。 特に、スモールクラフト関係のISO規格及び現在審議中の規格原案等の資料が、日本の小型船舶安全規則の改正のための参考資料としても利用されるなど、貿易障壁の事前回避のための一助となっている。 IECで作成される規格は、海上人命安全条約(SOLAS)の内容に重大なかかわりがあるため、改正規格原案の初期の段階から審議に参加することが是非とも必要である。本年出席したIEC/TC18本会議、同WG3及びWG4会議についても、これまで開催されたすべての会議に出席し、我が国の意見を国際規格原案等に十分反映させることができ、また、造船先進国としての責務を果たした。 (3) ISO/TC8議長の職務遂行業務 [1] 協議場所、訪問先及び協議期間 a. スイス、ISO中央事務局で協議を行う(1日) b. ロンドン、イギリス規格協会及び国際船級協会連合で協議を行う(2日) c. デルフト、ISO/TC8事務局で協議を行う(1日) d. オデンセ、AG会議の議長を務める(4日) e. ロンドン、IMO本部で協議を行う(1日) [2] 協議内容 a. ISO/TC8の所掌範囲 b. SC23(造船用語分科委員会)の設立 c. IMO、IACSとISO/TC8とのリエゾンの強化 d. ISO/TC8とCEN/TC300とのリエゾン e. 第18回AG会議の進め方 f. 般用焼却炉の規格化 g. 避難経路と表示基準について 備考:AG会議については、2.(1)参照 [3] 派遣内容 a. 派遣者 1名 b. 派遣期間 15日間 備考:AG会議出席は、4日間 造船の分野における国際標準化は停滞している感がある現在、TC8の活性化及びTC8が抱えている諸問題について、TC8議長として、ISO/TC8事務局及びヨーロッパ主要国の関係機関、国際機関及びその担当者等と直接協議することによって、その改善を具体的に行うための手段、方法等を明確にすることができた。その結果、国際機関及び各国の担当者との交信回数が増大するなど、これら担当者からTC8議長によせる期待は、年を追うごとに大きくなっている。 (4) 国際規格原案の作成・提案 関係委員会を開催し、国際規格原案の作成・提案のための準備・規格草案の作成及び審議を行い、次の成果を得た。 [1] 新規規格原案 a. 「クラスC磁気コンパス」の第1次規格草案を作成し、関係各国へ回章した。 b. 「オートパイロット」の第1次規格草案を作成し、関係各国へ回章した。 各国から提出された第1次規格草案に対する意見を検討し、検討結果を基に第2次規格草案を作成し、関係各国へ再度回章した。 c. 「避難経路及び表示基準」の技術報告書案を作成し、関係各国へ回章した。 d. 「造船用語-一般編」の第1次規格草案を作成し、関係各国へ回章した。 [2] 改正規格原案 a. 「ISO 449:クラスA磁気コンパス及びビナクル」の第1次改正草案を作成し、関係各国へ回章した。 b. 「ISO R 694:般用磁気コンパスの取付位置」の規格原案作成国ドイツと改正作業内容、進捗状況等について協議を行った。 c. 「ISO 8728:般用ジャイロコンパス」の第1次改正草案を作成し、関係各国へ回章した。 d. 「ISO 8729:般用レーダレフレクタ」の第1次改正草案を作成し、関係各国へ回章した。 e. 「ISO 9876:般用気象ファクシミリ受信機」の第1次改正草案を作成し、関係各国へ回章した。 船舶用航海機器等に現在の先端技術を導入することは、船舶航行の安全性、海難事故の防止の観点から見ると必要不可欠な条件である。特に我が国はこれらの分野において優れた技術を持っているため、例えば、「クラスC磁気コンパス」の国際規格原案に、我が国の技術内容を反映させることは、標準的協力に対する我が国の責務であり、諸外国やIECからも非常な期待を寄せられている。 また、現在EC諸国では、我が国で作成した国際規格原案に基づいた、航海機器の標準化作業が急がれているので、早急なる改正作業の完成がEC諸国から要望されていることからも、我が国のこの分野における貢献度は大なるものがある。
■事業の成果
国際規格原案等について審議を行い、それらに対する回答を作成して発信し、また主要な国際会議に出席して、日本の考え方を主張することにより、国際規格に我が国の意見を反映させ、かつ、国際標準化活動における重要メンバーとしての責務を果たすなど、大きな成果を収めた。 また、我が国が国際規格原案を作成し、提案することによって、我が国の技術内容を国際標準化に活し、同時に世界の造船及び関連工業の分野に貢献した。 特に、新たに設立された、TC8/SC23(造船用語分科委員会)の幹事国に日本が就任することを要請されたことは、これまでの我が国の国際標準化協力に対する積極的な姿勢が、各国の関係者に大いに評価されたものである。 また、適正な国際規格の制定は、生産・使用の合理化、品質の保証、国際互換性の確保、輸出の振興など、我が国の造船業、海運業及び関連工業の世界的視野に立った合理化に寄与するところ、まことに大きなものがあると確信する。
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