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■事業の内容

(1) 盲ろう児に関する教育手法研究
 先天盲ろう児に対する教育システムは、我が国においては未確立であるため、これらの盲ろう児にあっては、言語概念の獲得すら出来ないまま放置されている。このため、言語教育に関する教育カリキュラムの策定をめざし、基礎的な調査・研究を行った。
[1] 内容   教育カリキュラム策定
[2] 方法   盲ろう児教育に知識、経験を有する教育者を中心とする研究チームを発足させ、検討会を開催した。
また、盲ろう児並びに親、教育者を一堂に集めてワークショップを開催し、情報交換を行うとともに基礎資料の収集をした。
[3] 期間   検討会      平成4年4月〜平成5年3月、11回
ワークショップ  平成5年1月30日〜1月31日
(2) 交流会開催
 中途盲ろう者においては、既に言語を獲得しているものの、外出や他者との会話の機会が極めて乏しく、一般社会から隔離された生活を強いられている。このような現状を打開すべく、定期的に交流会を開催して一般社会と触れ合う場を提供した。
[1] 場所   東京都内及び近郊
[2] 対象者  各回80人平均(うち盲ろう者20人)
[3] 内容   コミュニケーションの場の提供と通訳・介助者の実地研修
[4] 期間   平成4年4月〜平成5年3月 12回
(3) 盲ろう者用機器開発
 盲ろう者は、単独で外出し、外部との交信を行うことが極めて困難である。このような盲ろう者にとって、振動や触覚で感知できる送受信機の開発は、他者とのコミュニケーション促進に欠かせない要素であり、その開発と普及について検討した。
[1] 整備機器  点字電話
[2] 方法    委員会を設置し、ソフトの開発、改良を行った。
[3] 使用目的  点字を使用できる盲ろう者が、他者(通訳・介助者)を介在せずに一人で電話を使用することによって、外部との交信を容易に行い、社会参加の促進に寄与する
■事業の成果

我が国においては、先天盲ろう児に対する教育手法が確立されておらず、これらの盲ろう児にあっては言語概念の習得すら困難なまま放置されている状態にある。このため、これらの盲ろう児に対し、社会生活を営むに足る教育体制の整備は急務であった。一方、既に言語を獲得した中途盲ろう者においても、一般社会から隔絶された生活を強いられており、交流会の開催、機器の整備等を図ることによって、社会参加の機会を増進したことは、盲ろう者の福祉向上に資するところ大なるものがあると思われる。





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