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■事業の内容

(1) 海難防止キャンペーン
 我が国にとって、海は、海運、水産、レジャー等と幅広く活用されており、そこでは多種多様の船舶が活動している。このため船舶所有者、乗組員等のいわゆる海事関係者だけではなく、プレジャーボート利用者をはじめとする一般市民に対しても、海難防止についての関心を高め、理解を深めるよう働きかける必要がある。そこで本運動も昭和59年度から官民となった全国運動として展開してきたが、中央における実施体制が強化されるとともに、地方においては、本運動推進の核となる推進連絡会議が活躍するなど、本運動の土台となる組織づくりにおいて大きな成果が得られた。
 実施内容においても宣伝カーによる巡回広報、海上安全教室、各種訓練・行事等を全国各地で展開し、また海難防止強調運動への参加を呼びかける和英対訳のパンフレットを作成配布する等広報活動などでさらに充実したものとなっている。また、海の旬間に合わせて開催する「海難防止のつどい」、あるいは東京国際ボートショー会場内への「海と安全コーナー」の出展は、海事関係者だけでなく一般市民に対しても海難防止思想の普及、高揚に多大な効果があった。
 なお、本運動に用いるポスターの図案及びキャッチコピーの公募を行い、全国の海事関係者はもとより、一般家庭の主婦あるいは小中学生等から多数の応募を得て、本運動に対する関心を高めることができたと思われる。
(2) 海難防止巡回講習会
 一般に小型船は、安全に対する各種の情報の入手が困難であり、気象・海象をはじめ安全確保のための諸対策、処置に具体的な知識を得にくいというのが現実であり、さらに堪航性の判断の不十分、安全運航に関する技術や知識が低いこと、また一面、運航形態の特殊性などもあって海難事故も多く発生している。
 この講習会は、交通不便な沿岸の辺地で働く人々及びその家族等の関係者を対象として巡回車を利用し、海難防止に関する映画、スライドによる視聴覚面からの指導を主体として、海難防止に関する知識を反復啓発しているが、文書等による単なる注意喚起の呼び掛けに比べ、膝を交えて行なう講習会では、身近な海難の実例をもとに事故に対する反省とその対策を再認識させるうえで見るべきものがあり、質疑等に対してもその場において直接安全上のポイントを具体的に説明、指導することができ、船舶乗組員はもとより関係者の海難防止に対する自覚を高め、認識を深めることにより海難の減少が期待されるものと思われる。
(3) 海洋汚染防止講習会
 海洋汚染の防止を徹底するためには、その主たる原因者となる、船舶乗組員はじめ一般国民に対して、繰り返し関係法令等の周知を行なう必要があるとの観点から船舶乗組員等を対象とした講習会と小中学生及びプレジャーボート利用者等を対象とした一般講習会を開催した。
 船舶乗組員等を対象とした講習会は、「海洋汚染防止に関する知識・思想の周知、啓発」をテーマに関連法令の周知徹底及び各地域における海洋汚染防止行政の現状を説明し、海洋汚染防止に関する知識・思想の周知・啓発に多大な効果を上げた。また、小中学生を対象とした一般講習会は「人間と海との関わりあい」をテーマに海洋汚染の現状と海洋の大切さを訴え、海洋汚染のために我々が最小限守らなければならないルールを分かり易く説明し、海洋環境保全思想に対する関心を高めた。プレジャーボート利用者等を対象とした一般講習会は、「海洋を利用する者の責任と義務」をテーマに海洋汚染の現状と原因を認識し、海洋汚染防止の関連法規及び監視取締りについて身近な問題として親しめるような解説を行い、海洋を利用する者のモラリティの高揚に寄与したものと思われる。
 本講習が、海洋環境保全思想の普及と高揚を図るうえで見るべき成果を収めていることは受講人員の数を見ても明らかであり、今後とも引き続き活発な啓発指導が必要である。
(4) 海難防止訪船指導
 本事業は、従来のカーフェリーの訪船指導の経緯を踏まえ、カーフェリーに重点を置いて実施しつつ、訪船対象船舶をカーフェリー以外の高速船、水中翼船等にも拡大し、時代のニーズにマッチした訪船指導を行うこととした。
 カーフェリーは多数の乗客と自動車を同時に輸送するため、一旦事故を起こすと悲惨な災害に結び付くことになるが、安全運航を阻害する数々の問題点も指摘されている。即ち、カーフェリーを含め旅客船等は同一航路の反復という特性から、いわゆる“慣れ”による安全運航軽視の状況に陥りやすいこと、また、特に東京湾、瀬戸内海においては船舶が輻輳し航海環境がここ数年悪化の一途を辿っていること、違法航行船舶の存在等がカーフェリーの安全運航を著しく阻害している。
 そこで、アドバイザーが旅客船ならびにカーフェリーの通常運航時に乗船して、安全運航を阻害する問題点を実地に見聞し、安全運航の基本の見直しを行い、さらに乗組員との意見交換により、広い見地にたって実情を把握し、現状に即した有益な示唆を与え、旅客船等の海難の未然防止に良好な成果を上げている。
 本事業は、アドバイザーが乗組員に対し直接安全運航の調査ならびに確認をし、必要ならば安全運航に関する改善の助言を行うことにより、また、運航管理者に対しては運航管理の改善を助言することにより、旅客船等の安全運航に寄与するものと思われる。
(5) 海と安全の発行配布
 海難の未然防止あるいは海洋環境の保全に関する思想の高揚と普及を図るためには、船舶乗組員はもとより広く関係者を対象に、地についた絶え間ない呼びかけが極めて重要であり、その手段としては各種の印刷媒体とスライド映画等視覚媒体の併用が極めて効果的である。
 本事業では、最近の海難事例をもとにした教訓をはじめ、各種の海難防止及び海洋汚染防止の査研究事業等の成果のエッセンス等を分かり易く解説して海事関係者に対する海事思想等の末端への周知徹底を図るうえで極めて大きな役割を果たしている。
 昭和42年6月創刊以来422号を送り出しているが、今後とも継続実施することにより、さらに関係者の事故防止に対する自覚を高め、認識を深めて海難事故の減少が期待される。
(6) 周知宣伝用教材等の作成配布
[1] 海洋汚染・海上災害の防止の手びき
 海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律のあらまし、関係法令、油、有害液体物質の取り扱いと流出油等の処理、廃棄物の取り扱いについて分かり易く解説した本書は、海洋汚染防止講習会の教材として活用し、また、海運、造船、石油、廃棄物処理業者、関係官庁、団体等広く一般に配布し、海洋環境の保全思想の高揚に大いに役立っている。
[2] 絵で見る教本の作成配布
 「人間と海との関わりあい」をテーマに小中学生向きの「みんなで守ろう川と海」を作成し、小中学生を対象とした講習会の教材として使用し、また、各管区海上保安本部開催の海の安全教室、海難防止のつどい等を通じて広く一般に配布し、海洋汚染防止運動に対する関心を大いに高めた。
[3] パンフレットの作成配布
 「マリンレジャーを楽しむために=海の汚染防止=」をテーマに一般大衆向きの海洋汚染防止に関する関係法令を簡易に解説したパンフレット「きれいな海でマリンレジャーを楽しく」を作成し、海洋汚染防止講習会の教材として、また、各管区海上保安本部、日本船舶職員養成協会、日本マリーナビーチ協会等を通じて広く一般に配布し、海洋汚染防止運動に対する関心を大いに高めた。
[4] 海洋汚染防止用物品の作成配布
 クリヤーケースに「あなたです、きれいな海を守るのは」を刷り込んだ物品を作成し、小中学生向きの講習会を利用し、また、各管区海上保安本部、日本マリーナビーチ協会、関係官庁、団体等を通じて配布し、海洋汚染防止思想の普及に大いに役立った。
■事業の成果

(1) 海難防止キャンペーン
 我が国にとって、海は、海運、水産、レジャー等と幅広く活用されており、そこでは多種多様の船舶が活動している。このため船舶所有者、乗組員等のいわゆる海事関係者だけではなく、プレジャーボート利用者をはじめとする一般市民に対しても、海難防止についての関心を高め、理解を深めるよう働きかける必要がある。そこで本運動も昭和59年度から官民となった全国運動として展開してきたが、中央における実施体制が強化されるとともに、地方においては、本運動推進の核となる推進連絡会議が活躍するなど、本運動の土台となる組織づくりにおいて大きな成果が得られた。
 実施内容においても宣伝カーによる巡回広報、海上安全教室、各種訓練・行事等を全国各地で展開し、また海難防止強調運動への参加を呼びかける和英対訳のパンフレットを作成配布する等広報活動などでさらに充実したものとなっている。また、海の旬間に合わせて開催する「海難防止のつどい」、あるいは東京国際ボートショー会場内への「海と安全コーナー」の出展は、海事関係者だけでなく一般市民に対しても海難防止思想の普及、高揚に多大な効果があった。
 なお、本運動に用いるポスターの図案及びキャッチコピーの公募を行い、全国の海事関係者はもとより、一般家庭の主婦あるいは小中学生等から多数の応募を得て、本運動に対する関心を高めることができたと思われる。
(2) 海難防止巡回講習会
 一般に小型船は、安全に対する各種の情報の入手が困難であり、気象・海象をはじめ安全確保のための諸対策、処置に具体的な知識を得にくいというのが現実であり、さらに堪航性の判断の不十分、安全運航に関する技術や知識が低いこと、また一面、運航形態の特殊性などもあって海難事故も多く発生している。
 この講習会は、交通不便な沿岸の辺地で働く人々及びその家族等の関係者を対象として巡回車を利用し、海難防止に関する映画、スライドによる視聴覚面からの指導を主体として、海難防止に関する知識を反復啓発しているが、文書等による単なる注意喚起の呼び掛けに比べ、膝を交えて行なう講習会では、身近な海難の実例をもとに事故に対する反省とその対策を再認識させるうえで見るべきものがあり、質疑等に対してもその場において直接安全上のポイントを具体的に説明、指導することができ、船舶乗組員はもとより関係者の海難防止に対する自覚を高め、認識を深めることにより海難の減少が期待されるものと思われる。
(3) 海洋汚染防止講習会
 海洋汚染の防止を徹底するためには、その主たる原因者となる、船舶乗組員はじめ一般国民に対して、繰り返し関係法令等の周知を行なう必要があるとの観点から船舶乗組員等を対象とした講習会と小中学生及びプレジャーボート利用者等を対象とした一般講習会を開催した。
 船舶乗組員等を対象とした講習会は、「海洋汚染防止に関する知識・思想の周知、啓発」をテーマに関連法令の周知徹底及び各地域における海洋汚染防止行政の現状を説明し、海洋汚染防止に関する知識・思想の周知・啓発に多大な効果を上げた。また、小中学生を対象とした一般講習会は「人間と海との関わりあい」をテーマに海洋汚染の現状と海洋の大切さを訴え、海洋汚染のために我々が最小限守らなければならないルールを分かり易く説明し、海洋環境保全思想に対する関心を高めた。プレジャーボート利用者等を対象とした一般講習会は、「海洋を利用する者の責任と義務」をテーマに海洋汚染の現状と原因を認識し、海洋汚染防止の関連法規及び監視取締りについて身近な問題として親しめるような解説を行い、海洋を利用する者のモラリティの高揚に寄与したものと思われる。
 本講習が、海洋環境保全思想の普及と高揚を図るうえで見るべき成果を収めていることは受講人員の数を見ても明らかであり、今後とも引き続き活発な啓発指導が必要である。
(4) 海難防止訪船指導
 本事業は、従来のカーフェリーの訪船指導の経緯を踏まえ、カーフェリーに重点を置いて実施しつつ、訪船対象船舶をカーフェリー以外の高速船、水中翼船等にも拡大し、時代のニーズにマッチした訪船指導を行うこととした。
 カーフェリーは多数の乗客と自動車を同時に輸送するため、一旦事故を起こすと悲惨な災害に結び付くことになるが、安全運航を阻害する数々の問題点も指摘されている。即ち、カーフェリーを含め旅客船等は同一航路の反復という特性から、いわゆる“慣れ”による安全運航軽視の状況に陥りやすいこと、また、特に東京湾、瀬戸内海においては船舶が輻輳し航海環境がここ数年悪化の一途を辿っていること、違法航行船舶の存在等がカーフェリーの安全運航を著しく阻害している。
 そこで、アドバイザーが旅客船ならびにカーフェリーの通常運航時に乗船して、安全運航を阻害する問題点を実地に見聞し、安全運航の基本の見直しを行い、さらに乗組員との意見交換により、広い見地にたって実情を把握し、現状に即した有益な示唆を与え、旅客船等の海難の未然防止に良好な成果を上げている。
 本事業は、アドバイザーが乗組員に対し直接安全運航の調査ならびに確認をし、必要ならば安全運航に関する改善の助言を行うことにより、また、運航管理者に対しては運航管理の改善を助言することにより、旅客船等の安全運航に寄与するものと思われる。
(5) 海と安全の発行配布
 海難の未然防止あるいは海洋環境の保全に関する思想の高揚と普及を図るためには、船舶乗組員はもとより広く関係者を対象に、地についた絶え間ない呼びかけが極めて重要であり、その手段としては各種の印刷媒体とスライド映画等視覚媒体の併用が極めて効果的である。
 本事業では、最近の海難事例をもとにした教訓をはじめ、各種の海難防止及び海洋汚染防止の査研究事業等の成果のエッセンス等を分かり易く解説して海事関係者に対する海事思想等の末端への周知徹底を図るうえで極めて大きな役割を果たしている。
 昭和42年6月創刊以来422号を送り出しているが、今後とも継続実施することにより、さらに関係者の事故防止に対する自覚を高め、認識を深めて海難事故の減少が期待される。
(6) 周知宣伝用教材等の作成配布
[1] 海洋汚染・海上災害の防止の手びき
 海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律のあらまし、関係法令、油、有害液体物質の取り扱いと流出油等の処理、廃棄物の取り扱いについて分かり易く解説した本書は、海洋汚染防止講習会の教材として活用し、また、海運、造船、石油、廃棄物処理業者、関係官庁、団体等広く一般に配布し、海洋環境の保全思想の高揚に大いに役立っている。
[2] 絵で見る教本の作成配布
 「人間と海との関わりあい」をテーマに小中学生向きの「みんなで守ろう川と海」を作成し、小中学生を対象とした講習会の教材として使用し、また、各管区海上保安本部開催の海の安全教室、海難防止のつどい等を通じて広く一般に配布し、海洋汚染防止運動に対する関心を大いに高めた。
[3] パンフレットの作成配布
 「マリンレジャーを楽しむために=海の汚染防止=」をテーマに一般大衆向きの海洋汚染防止に関する関係法令を簡易に解説したパンフレット「きれいな海でマリンレジャーを楽しく」を作成し、海洋汚染防止講習会の教材として、また、各管区海上保安本部、日本船舶職員養成協会、日本マリーナビーチ協会等を通じて広く一般に配布し、海洋汚染防止運動に対する関心を大いに高めた。
[4] 海洋汚染防止用物品の作成配布
 クリヤーケースに「あなたです、きれいな海を守るのは」を刷り込んだ物品を作成し、小中学生向きの講習会を利用し、また、各管区海上保安本部、日本マリーナビーチ協会、関係官庁、団体等を通じて配布し、海洋汚染防止思想の普及に大いに役立った。





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