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■事業の内容

(1) 陸上レーダーによる船舶識別装置に関する調査研究
[1] 委員会による検討
 委員会3回、作業部会2回を開催し、次の事項についての調査研究手順、方法等を指導、助言するとともに研究成果の総合評価及びまとめを行った。
a. 研究方針、手順の検討
b. 通報システム装置の試作
c. 試験装置の室内実験
d. 無線用実験局の開設
e. システム総合評価試験
f. 研究の総まとめ
[2] 通報システム装置の試作
 船上識別器用通報復調部及びレーダー局側の通報変調部の設計、回路等を検討、審議し通報システム装置を試作した。
[3] 試験装置の室内実験
 作業部会で検討、審議された室内試験方法によって評価試験を実施した。
[4] 無線用実験局の開設
 実験局免許申請書に基づく郵政省電気通信監理局の検査に合格。実験局として平成3年12月20日付で免許状の交付を受けた。
[5] システム総合評価試験
 室内実験の結果を検討したうえで海上実験要領を作成し、これに基づき大阪湾で海上評価試験を実施し、その結果について委員ほか関係者で検討、審議した。
[6] 研究の総まとめ
 3か年にわたり実施した本調査研究の各種データを検討し、その成果とともに実用化するための問題等をまとめた報告書を100部作成した。関係官庁、関係団体、賛助会員等に配布し、本研究成果の有効利用を図ることとする。
(2) EL面光源による文字図形視覚標識に関する調査研究
[1] 委員会による検討
 委員会を4回開催して、次の事項について調査手順、方法等を指導、助言するとともに本調査研究成果の総合評価およびまとめを行った。
a. 研究方針、手順の検討
b. EL素子の耐候性実験
c. 灯器システムの設計、試作
d. 灯塔発光装置の試作
e. 浮標用EL板の試作
f. 浮標用EL表示板の海上視認実験
g. 灯塔発光装置の夜間視認実験
h. 研究の総まとめ
[2] EL素子の耐候性実験
 昨年から継続中のEL素子の屋内・外および海浜における耐候性実験のデータについて検討、審議した。
[3] 灯器システムの設計、試作
 灯塔発光装置およびEL素子板の設計、回路等について検討、審議して試作した。
[4] 浮標用EL板の試作
 EL表示板の形状、発光色および数字盤等について検討、審議して試作した。
[5] 浮漂用EL表示板の海上視認実験
 委員会で検討審議された海上視認実験要領に基づき、東京港内の灯浮標2基に装置を取付けて夜間海上視認実験を実施した。
[6] 灯塔発光装置の夜間視認実験
 屋外に仮設塔を設置して、EL発光板を取付け夜間視認実験を実施した。
[7] 研究の総まとめ
 2か年にわたって実施した本調査研究の各種データを検討し、その成果とともに実用化するための問題等をまとめた報告書を100部作成した。関係官庁、関係団体、賛助会員等に配布し、本研究の有効利用を図ることとする。
(3) 電波航法システム用大型空中線鉄塔の自動塗装点検装置調査研究
[1] 委員会による検討
 委員会3回、作業部会2回開催し、次の事項について調査研究の手順、方法等を指導、助言するとともに研究成果のまとめを行った。
a. 研究方針、手順の検討
b. システム基本設計、試案の作成
c. 各部の基礎実験
d. 制御(通信)方式の確認実験
e. 研究成果のまとめ
[2] システム基本設計
 ロボットの設計試案作成のための概念設計について検討審議し次のとおりとした。
a. 試案の前提
(a) 支線通過のため3分割とする。
(b) スプレーはエアーカーテンを使用して吹きっ放しとする。
b. 主な内容
(a) 全体塗装の標準周期を8〜10年とし、上段と下段にわけて4〜5年毎とする。
(b) 塗装はタイムカプセルとし、補給はカプセルと下から持ち上け使用、後は降ろす。
(c) 昇降時のスピードは変えることができるものとする。
(d) 塗装の濃淡の調整は、高周波モーターをパルス変調することでのスピード変更も考える。
(e) 回転パターンの方法か、往復パターンの方法かについては、それぞれ検討する。
(f) エアーカーテンの方法について調査する。
[3] 各部の基礎実験
 昇降、制御、塗装、給電等の単体の一部について実験装置を試作し、基礎実験を行い実施設計のための資料を得た。制御(通信)方式の確認実験としてオメガ局において、制御方式として考えられる、光伝送制御、光空間伝送制御及び無線制御について実験を行い、各方式の実験結果を取りまとめた。
 なお、同時にオメガ局鉄塔の塗装状況も調査し、調査状況を取りまとめた。
[4] 研究成果のまとめ
 本年度に実施した調査研究の成果をまとめ報告書100部作成した。関係官庁、関係団体、賛助会員等に配布し、本研究の成果の有効利用を図ることとする。
■事業の成果

(1) 陸上レーダーによる船舶識別装置に関する調査研究
 船上識別器による船舶の識別確認は、理論計算値の確認率98%で識別することができ、陸上・船舶間の通報についても、PIM変調によるデータ伝送が有効であることがわかった。3か年にわたり調査研究した結果から、本方式の識別通報システムが今後海上交通安全のために有効なシステムであることを確認した。
(2) EL面光源による文字図形視覚標識に関する調査研究
[1] EL素子の耐候性について、屋内・外及び大気中暴露実験を実施し、主として輝度、色度の変化を調査した。EL素子は従来室内用として利用されてきたが、実験の結果は輝度については室外でも十分利用可能であることが確認された。
 また、色度については、発光色の「緑」及び「黄」の場合は実用上問題点はないが、「赤」及び「白」の場合は直射日光により多少変色するので、今後更に素子の改良について検討する必要がある。
[2] 夜間海上視認実験で灯浮標に取付けたEL素子板(試作板)の数字の字形、明るさ及び大きさは適切で、灯浮標確認の補完手段として有効であることを確認した。
[3] 灯塔発光装置として、仮設灯塔にEL発光板を取付け夜間視認実験した結果は現在の電球等による灯塔照明に比べその効果は劣るが、電力消費は極めて少ないので、商用電力の導入の困難な灯台、灯標等の視認効果の向上に有効であることを確認した。
(3) 電波航法システム用大型空中線鉄塔の自動塗装点検装置調査研究
[1] システム基本設計及び基礎実験
 昇降装置について、支線通過機構及び巻上げ移動機構等の検討を、また塗装装置について、先端機構、塗料、補給機構等の検討及び基礎実験を行い基本設計の構想をまとめることができた。
[2] 各部の基礎実験
 制御(通信)方式の確認実験としてオメガ局で、光空間伝送制御、光伝送制御、無線制御の3方式について実験し、何れも強電界の中で使用できることが確認できた。





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