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■事業の内容

(1) 大阪湾ベイエリアにおける物流施設の整備に関する調査研究
[1] 近畿地区における物流実態及び動向の把握
 近畿地区、特に大阪湾ベイエリア地域における、国内・国際物流の実態と需要動向を、既存資料並びにヒアリング調査により把握し、とりまとめた。
[2] 近畿地区における物流施設の現状と計画の把握
 近畿地区、特に大阪湾ベイエリア地域における物流施設の現状と開発整備計画、構想プロジェクトについて、地方公共団体、物流事業者へのヒアリング調査並びに、既存資料により把握し、とりまとめた。
[3] 荷主からみた大阪湾ベイエリアにおける物流施設の考え方の把握
 大阪湾ベイエリア地域における物流施設の現状、物流活動上の問題点とベイエリアの物流に対する意向等を把握するため、荷主企業、物流事業者約1,500社を対象にアンケート調査を実施した。
[4] 西日本経済圏からみた大阪湾ベイエリアの位置づけ
 大阪湾ベイエリアにおける物流施設整備の位置づけと将来の方向性を把握するため、西日本経済団体に対しヒアリング調査を実施するとともに、東京、横浜港等の主要港湾のベイエリア地域における物流施設整備の考え方、方向性等について事例調査を実施した。
[5] 調査のまとめ
 上記[1]〜[4]の調査結果から、大阪湾ベイエリアにおける物流の問題点とニーズを整理するとともに、ベイエリアの物流施設(機能)整備における課題をとりまとめ、次年度調査の基礎資料とした。
[6] 中間報告書の作成
 以上の調査結果に基づき委員会で検討のうえ、中間報告書を作成した。
・ 部数   100部
・ 配布先  運輸省、委員会委員等
(2) 内航海運における小口・雑貨輸送の推進に関する調査研究
 平成2年度に実施した「内航海運の構造的課題の現状と対応策に関する調査研究」結果において、小口・雑貨輸送の推進方策の一つとして、ROR0船、コンテナ船によるモーダルシフトの推進を提案した。
 今年度は、前年度調査結果に基づき、阪神〜四国・九州間をモデル区間に設定して、小口・雑貨輸送の推進方策-海上輸送を活用したモーダルシフトの推進方策-を目的として調査を実施した。
[1] 小口・雑貨輸送に対する荷主ニーズの把握
 阪神・四国・九州地区に所在する荷主・トラック事業者約800社に対するアンケート調査により、小口・雑貨輸送に対する荷主ニーズを把握するとともに、瀬戸内海の海上輸送を活用したモーダルシフト推進のための整備条件を把握した。
[2] 荷主ニーズに対応するための内航海運業の課題と対応策の検討
 瀬戸内海の海上輸送を活用したモーダルシフト推進のための整備条件を把握するため、以下のヒアリング調査を実施した。
・ 荷主・トラック事業者ヒアリング調査
 上記[1]のアンケート調査の補足調査を実施して、阪神〜四国・九州間における海上輸送を推進するための整備条件(輸送機関の選択理由、海上輸送の利用上の問題点と今後の利用意向等)を把握した。
・ 海運事業者ヒアリング調査
 阪神〜四国・九州間におけるRORO船、コンテナ船等新規航路の実現可能性や今後の運航計画等について把握した。
・港湾管理者ヒアリング調査
 港湾施設の整備状況等の現状での問題点と将来の港湾整備計画を把握した。
[3] 小口・雑貨輸送推進のための具体的な方策の検討
 上記[1]、[2]の調査結果並びに、阪神〜四国・九州間の貨物輸送の現況、RORO船、コンテナ船の輸送コストの試算結果に基づき、荷主ニーズに対応した小口・雑貨輸送を推進するための具体的な方策について、委員会で検討した。
[4] 調査のまとめ
 上記[1]〜[3]の調査・検討結果により、瀬戸内海の海上輸送を活用したモーダルシフトの可能性、推進のための課題と方策についてとりまとめた。
[5] 報告書の作成
 以上の調査結果により委員会で検討のうえ、報告書を作成した。
・ 部数   200部
・ 配布先  運輸省、関係団体、委員会委員等
(3) 播磨灘地区における海事産業のあり方に関する調査研究
[1] 播磨灘地区全体の現状把握
 既存資料により、播磨灘地区の人口、交通、産業、港湾、海事産業等の現状について把握し、とりまとめた。
[2] 全国総合開発計画と地域における開発計画の把握
 播磨灘地区並びに、他地区の主要なウォーターフロント開発整備計画を既存資料並びに地方公共団体等に対するヒアリング調査により把握した。
[3] 現在までの開発の社会的、経済的影響調査
[4] 港湾の再開発等を踏まえた商港機能の充実の検討
 播磨灘地区の港湾関連事業者並びに、港湾・ウォーターフロント利用者等一般市民に対するアンケート調査により、利用者の港湾に対する評価並びに港湾の開発整備の望ましい方向性等を把握した。
[5] 港湾における海事産業のあり方の検討
 上記[1]〜[4]の調査結果により、播磨灘地区の将来の望ましい開発の方向並びに、港湾及び海事産業のあり方について検討し、とりまとめた。
[6] 報告書の作成
 以上の調査結果により委員会で検討のうえ、報告書を作成した。
・ 部数   200部
・ 配布先  関係官公庁、地方公共団体、海事関係事業者、委員会委員等
(4) 大阪圏における深夜輸送力確保のための調査研究
[1] 大阪圏における深夜輸送サービスの実態把握
 大阪圏における公共交通機関(鉄道・バス・タクシー)の深夜輸送サービスの実態を把握するため、既存資料並びに、各機関の交通事業者へのヒアリング調査を実施した。
[2] 大阪圏における深夜輸送対策の実態把握
 東京等の大阪圏外の主要都市における深夜輸送対策の実施状況並びに、今後の計画について把握するため、既存資料並びに、交通関係事業者等へのヒアリング調査を実施した。
[3] 大阪圏における深夜輸送需要の動向把握
 大阪圏における深夜帰宅状況、深夜輸送の利用意向、深夜輸送サービスのあり方についての考え方や要望等、深夜輸送の需要動向を把握するため大阪市都心に所在する事業所の従業員に対するアンケート調査及び、深夜急行バスの利用者に対するアンケート調査を実施した。
 また、深夜の時間帯における人の動きの実態について、京阪神パーソントリップ調査結果から、目的・手段別トリップ数を集計して整理し、需要動向を把握した。
[4] 深夜輸送に対する交通事業者の意向調査
 上記[3]の深夜輸送に関するアンケート調査結果から得られた利用者ニーズに対し、交通事業者(鉄道・バス・タクシー)の対応意向をヒアリング調査により把握した。
[5] 深夜輸送力の確保方策の検討
 上記[1]〜[4]の調査結果を踏まえ、大阪圏における公共交通の深夜輸送力の確保のための方策について、以下の考え方に基づき検討した。
・ 都市の深夜化に対応した輸送サービスのあり方に対する考え方
・ 終電延長に対する考え方
・ 深夜急行バスの輸送サービスの考え方
・ 都市型乗合タクシーの輸送サービスの考え方等
[6] 調査のまとめ
 以上の検討結果を踏まえ委員会で検討のうえ、大阪圏における深夜輸送サービスの充実の必要性とそのあり方、並びに、今後の課題についてとりまとめた。
[7] 報告書の作成
 以上の調査結果により委員会で検討のうえ、報告書を作成した。
・ 部数   200部
・ 配布先  関係官公庁、地方公共団体、交通事業者、委員会委員等
■事業の成果

(1) 大阪湾べイエリアにおける物流施設の整備に関する調査研究
 大阪湾ベイエリアは、関西国際空港の開港を機に神戸港、大阪港等の特定重要港湾を中心とする高度な港湾機能と空港が立地し、加えて、明石海峡大橋、大阪湾フェニックス計画、りんくうタウン、テクノポート、ポートアイランド(第2期)等大規模プロジェクトの事業化及び計画化が図られ、大阪湾岸地域が海陸空の結節点として一大物流拠点を形成することとなる。
 このような状況の中で、本調査は2カ年事業の初年度として、大阪湾ベイエリアを中心とした国内、国際物流の現状と今後の動向並びに、地方公共団体、荷主・物流事業者等における物流施設整備の現状、将来の開発整備計画・荷主・物流事業者等における物流施設整備の現状、将来の開発整備計画・構想等を把握するとともに、ベイエリアの物流施設(機能)整備における課題をとりまとめたものである。
 この調査結果が、次年度の大阪湾ベイエリアにおける効率的な物流システムとあるべき施設機能の適切な配置の考察等を調査研究していく上での基礎資料となるものと思料される。
(2) 内航海運における小口・雑貨輸送の推進に関する調査研究
 近年、トラック輸送をめぐる労働力不足、道路混雑、環境問題が深刻化している中で、幹線貨物輸送の分野におけるトラック輸送を海運、鉄道へ転換するモーダルシフトの社会的要請が高まっており、今後、国内物流における内航海運の果たす役割は一層増大するものと予想される。
 このような状況を踏まえ、平成2年度に実施した「内航海運の構造的課題の現状と対応策に関する調査研究」事業の中で、中長距離の区間においてはフェリー利用や在来貨物定期船並びに、RORO船、コンテナ船の運航によるモーダルシフトの推進方策を提示した。
 前年度調査結果を受けて本年度では、大阪地区を中心に四国・九州の中長距離区間におけるモーダルシフト推進のための整備条件を把握するとともに、RORO船、コンテナ船の運航コストの試算と運賃比較を踏まえた上で、瀬戸内海の海上輸送を活用したモーダルシフトの可能性と推進方策について調査研究したもので、この調査結果が、社会的要請の高いモーダルシフトの推進と今後の内航海運の発展に寄与するものと思料される。
(3) 播磨灘地区における海事産業のあり方に関する調査研究
 播磨灘地区は、関西圏における主要産業立地地区として、「重厚長大型産業」が発展し、播磨臨海工業地帯として活性化してきた。しかし、近年の我が国産業構造の変化に対応して、当地区における産業立地や土地利用状況も大きく変化しようとしている。
 このような状況の中で、特定重要港湾である姫路港をはじめ、当地区内の各港湾も工業港域の再開発や商港域の拡大等と対応に迫られている。
 本調査研究は、関西圏における播磨灘地区の重要性を踏まえ、港湾関連事業者や港湾並びにウォーターフロント利用者等一般市民のニーズを把握しつつ、当地区での産業構造の転換や各種開発を容易に進めるための望ましい開発の方向を探るとともに、港湾並びに海事産業全体の今後のあり方を検討したものである。
 この調査結果が、播磨灘地区における関係自治体の開発自治体の開発整備の指針となるとともに、海事産業の発展と望ましい開発整備等同地区の活性化の方策に役立つものと思料される。
(4) 大阪圏における深夜輸送力確保のための調査研究
 我が国の国際の進展、国民の社会生活の変化等に伴い、大都市においては都市機能の24時間化が進展し、深夜における輸送需要の増大により、深夜輸送の充実が必要になってきている。
 大阪圏でも都市活動の多様化、活動時間の延長等により、深夜における都市内、都心と郊外、郊外鉄道駅と住宅地間の輸送需要が増大しており、これに対応した輸送力の増強が強く要求される状況となってきている。さらに、平成6年夏ごろ開港予定の関西国際空港が24時間運用可能空港として開港されること等により、大阪圏の深夜化の傾向はますます進展していくものと予想される。
 このような状況の中で、本調査は、大阪圏の深夜輸送における輸送需要を的確に把握し、利用者ニーズに対応した公共交通機関による深夜輸送力の確保のための方策について調査研究したものである。
 この調査結果が、これまで大阪圏における深夜輸送に関する体系だった調査研究がされていないことから、今後の大阪圏の深夜輸送サービスのあり方を検討する上での貴重な資料となるものと思料される。





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