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■事業の内容

(1) ばら積み化学薬品の危険性の評価と基準の検討
 現行のばら積み化学薬品に関する危険性評価基準をより具体的な評価基準とするため、本年度は未確立基準7項目のうち下記2項目及び金属腐しょくに関する未解決事項について実施した。
[1] 水と十分に反応し、ガス、エアロゾル又は大熱量の発生により、危険を生ずるような液
[2] 危険な反応を防止するために抑制、安定、冷蔵又はタンク環境制御を必要とするもの
[1]に関しては、({1})激しく発熱し有害なミスト又はフュームを発生するもの及び({2})ガスを発生するものの2種類に区分して、検討を行った。
({2})に属する物質としては、現行規制品目がすべてイソシアネート類であることからこの基準をイソシアネート基を有する液体化学薬品とするのが妥当である。({1})ではデュワー瓶による累積温度上昇を測定する試験法が適当である。[2]に関しては、評価の内容が多岐にわたる危険性を包含しているので、これらすべてを単年度で研究することは不可能に近いといえる。このため、対象を液体物質の自然発熱反応に絞って危険性の評価と抑制を検討した。
 金属腐しょく部会では、“腐しょく率1ミリメートル/年”が境界値として適当であること及び、万全を期す意味で、一連の系統試験(全浸漬試験・半浸漬試験・分極コンダクタンス試験・電気伝導度試験その他)による評価も併せて実施すべきことの2点を提案した。
(2) 国際会議出席
 国連・危険物輸送専門家委員会に我が国意見として提案し、提案趣旨及び同委員会審議に対処するため、吉田委員を下記のとおり派遣した。
イ. 派遣期間  平成3年12月2日〜12月4日
ロ. 派遣場所  国連・危険物輸送専門家委員会(ジュネーブ欧州本部)
ハ. 派遣人員  吉田忠雄(法政大学工学部教授)
■事業の成果

本調査研究で扱った評価基準の数と範囲は広く、しかも個々の問題は国際的に見ても未解決の難問が多いため、問題によっては結果になお不十分なところも多い。しかしながら、これらの問題は従来全く手が付けられていなかったこと及び日本提案としてばら積危険性評価基準を国連で趣旨説明したこととを考えると、本成果は意義あるものと思料される。





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