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■事業の内容

(1) 管内及び他地区における内航輸送の需給状況把握
 近畿運輸局管内及び他地区の内航海運事業者へのアンケート調査及びヒアリング調査により、内航輸送の需給状況の現状について把握した。
(2) 管内及び他地区における内航海運に係る構造的な問題点の把握
 内航海運の構造的課題の現状を把握するため以下のアンケート調査及びヒアリング調査を実施した。
・ 荷主企業アンケート調査(調査対象 約1,500社)
 小口雑貨貨物を取り扱う荷主企業を中心に内航海運の利用状況や小口雑貨貨物輸送における内航海運の利用の可能性について調査した。
・ 内航海運事業者アンケート調査(調査対象 342社)
 事業の経営状況及び構造的課題の現状並びに、今後の雑貨輸送への取組み等について調査した。
 また、船員不足の実態と対応策、船員求職者の乗船希望状況及び内航船の労働環境の実態等について調査した。
・ 内航海運事業者ヒアリング調査
 アンケート調査の補足として、さらに詳しく内航海運業の構造的課題について調査した。
・ 物流事業者、荷主企業ヒアリング調査
 物流業者(トラック、フェリー業者)、荷主企業を対象にヒアリング調査を実施し、内航海運業の問題点、陸上物流等の問題点、労働力不足問題等について調査した。
(3) 内航海運の構造的課題の分析と対応策の検討
 上記、(1)及び(2)の調査の分析結果から、委員会で検討のうえ、内航海運業の構造的課題の現状と今後の対応策についてとりまとめた。
(4) 報告書の作成
 以上の調査結果に基づき委員会で検討のうえ、報告書を作成した。
・ 部数200部
・ 配付先  関係官庁、旅客船事業者、関係団体等
■事業の成果

我が国の基幹的輸送機関である内航海運は、国内景気の拡大により、その輸送量は増加しているものの、その大宗貨物は鉄鋼、石油、セメント等の基礎資材型産業の原材料及び製品であるため、素材型産業の比重低下は、これらの産業の構造改善の進展とあいまって内航海運の輸送量の低迷に結びつくものと思われる。
 このような情勢の中で、消費者ニーズの高度化、多様化に伴い製品の多品種化、少量化がすすみ、輸送面においても荷主の物流管理の高度化により、小口化や在庫圧縮のための多頻度輸送や輸送の定時制への要求が強くなっている。
 また、近年内航貨物船員の高齢化と若手船員の不足が深刻化しており、今後、円滑な海上輸送にも影響を与えかねない状況となっている。
 本調査は、このような状況を踏まえ、国内物流の中核的役割を担う内航海運の構造的課題の現状と問題点を把握し、その対応策について検討したもので、この調査結果が、今後の我が国内航海運の構造改善のための指針として寄与できるものと思料される。





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