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■事業の内容

(1) 海洋開発関連の国際会議・展示会への出席
[1] OTC'90調査について
a. 派遣した職員の氏名
企画室      室長   若狭 将治
深海開発技術部  研究員  長尾 景昭
海洋開発研究部  研究員  安藤 健太郎
b. OTC'90調査について
(a) 期間     1990年5月7日(月)〜10日(木)
(b) 場所     ヒューストン(アストロドーム)
(c) 共催     MTS(Marine Technology Society)を含む米国の12の海洋開発関連学・協会
(d) 会議・展示会の参加者数
約30,000名
(e) 論文発表会  48のセッション、211件の論文が発表された。
(f) 展示会    約1,300社
c. 研究機関等の調査・視察
(a) Perry社
 無人探査機(ROV)の開発において実績のある会社である。小型の潜水船の開発についても着手しており、Perry社において現在開発中のバッテリー式に代わる燃料電池を使用した新しい動力源システム等について説明をうけ、ROV開発に係わる技術的な問題等について意見交換した。
(b) Harbor Branch社
 有人潜水船“Johnson-Sea-Link 1&2”の運航、及びROVの運用を行い、数々の成果を挙げている企業である。
 潜水船の運用法、海底生物研究の活動状況等について説明を聞いた。
(c) NASA(National Aeronautics and Space Administration)
 衛星を用いて海色を調査し、プランクトンの分布等の広域調査に利用している部門を訪問し、熱収支等の海洋物理学における研究への応用について説明を受けた。
(d) NOAA(National Oceanic and Atmospheric Administation)
-NESDIS(National Environmental Satelite, Data and Information Service)
 米国沿岸域の気象、海象状況等のデータを集中的に管理し解析を効率よく行う研究計画を進行中のNODC(National Oceanographic Date Center)や、リモートセンシング技術を海洋学に応用する研究を行っているMarine Application Branchを訪問した。
(e) SCRIPPS海洋研究所
 カリフォルニア大学サンディエゴ分校の付属研究所で、米国有数の海洋研究所であるスクリップス海洋研究所を訪問した。
(f) ディープオーシャン社
 海中調査等の分野に広く利用されている小型ROVを開発している企業である、ディープオーシャン社を訪問した。
[2] ROV'90調査について
a. 派遣した職員の氏名
運航部      部長   濱田 馨
深海開発技術部  副主幹  青木 太郎
   〃     研究員  和田 一育
b. ROV'90調査について
(a) 期間  1990年6月25日(月)〜27日(水)
(b) 場所  バンクーバー
(c) 共催  ROV Commitee及びMTS
c. 研究機関等の調査・視察
(a) WHOI(ウッズホール海洋研究所)
 海洋科学技術センターとの共催である「潜水船の救難に関するシンポジウム」に出席した。
[3] OCEANS'90(MTS'90を含む)調査について
a. 派遣した職員の氏名
総務部      部長   中野 昭二郎
深海開発技術部  研究員  狩野 芳治
潜水技術部    研究員  他谷 康
b. OCEANS'90(MTS'90と同時開催)
(a) 期間  1990年9月25日(火)〜10月6日(土)
(b) 場所  ワシントン D.C.
(c) 主催  The Marine Technology Society
(d) 協賛  The American Society ofMechanical Engineers
The Oceanography Society
The Society for Underwater Technology
c. 研究機関等の調査
(a) スミソニアン博物館
 航空宇宙博物館および自然史博物館等を見学した。
(b) メリーランド大学
 海洋研究部門である環境・汽水域研究センターに所属するチェサーク生物学研究所およびホーンポイント環境研究所等を訪問した。
(c)ウッズホール海洋研究所
 米国の代表的な海洋研究所で、当センターと研究協力の関係にある研究所を訪問した。
(d) モンタレー湾アクアリウム研究所
 モンタレー湾ならびにカリフォルニア海流域における物理学、化学生物学、地質学等の基礎研究部門を訪問した。

(2) 海外の研究者・技術者の招へい
[1] 招へい研究者氏名
ノルウェー海洋技術研究所 主任研究員
Dr. Carl Trygve Stansberg
[2] 招へい中における検討結果
a. 招へい期間中に、当センターにおいて、演題「ノルウェーおよびヨーロッパにおける海洋開発の現状と展望」についての講演が行われた。内外から、沿岸開発技術に関心のある人々が多数聴講した。
b. 沿岸開発における多方向波浪中での大型海洋構造物の運動、応答、環境への影響の解析法について、重要な助言があった。併せて、大型海洋構造物を用いた未利用海域の有効利用についての助言があった。
c. ノルウェーにおける海洋開発計画について情報を頂いた。
[3] 招へい研究者氏名
 オーストラリア海洋研究所  副所長 Dr.Michel Pichon
[4] 招へい中における検討結果
a. 招へい期間中に、当センター本部において、演題「オーストラリアの研究開発、サンゴ礁研究およびバイオテクノロジーについて」の講演が行われた。
 内外からサンゴ礁に関する研究に関心のある人々が多数聴講した。
b. サンゴ礁の保護に対する海水の汚濁、汚染に関する研究についての助言があった。
c. サンゴからの化学物質抽出の研究について情報を頂いた。
d. オーストラリア海洋研究所の太平洋海域の総合観測・研究計画について情報を頂いた。

(3) 国際協力の推進
[1] ウッズホール海洋研究所等訪問(その1)
a. 派遣した役職員の氏名
役員   理事    中戸 弘之
企画室  企画室付  堀田 平
b. 国際協力の推進の内容
(a) 6月20日(水)〜22日(金)の間、WHOI(ウッズホール海洋研究所)において海洋科学技術センターとの共催である「潜水船の救難に関するシンポジウム」に出席した。
(b) 6月25日(月)〜26日(火)の間、カナダ・バンクーバーで開催されたROV'90に参加した。
(c) 6月28日(木)〜29日(金)の間、カナダ・ベッドフォード海洋研究所を訪問し、海洋開発に係る研究動向について意見交換を行った。
(d) 6月30日(土)米国ワシントンDCにある日本大使館を訪問した。
(e) 7月2日(月)米国サンディエゴにあるスクリップス海洋研究所を訪問し、海洋開発に係る研究動向について意見交換を行った。
[2] ウッズホール海洋研究所等訪問(その2)
a. 派遣した職員の氏名
企画室      課長   高木 譲一
深海開発技術部  副主幹  高川 真一
b. 国際協力の推進の内容
(a) 9月21日(金)〜22日(土)の間、WHOI(ウッズホール海洋研究所)において海洋科学技術センターとの研究協力の進め方等について打合わせた。
(b) 9月24日(月)、米国国立科学財団(NSF)を訪問し、国際深海掘削計画(ODP)の現状と今後の日本の関わり等について意見交換した。
(c) 9月26日(水)〜27日(木)、テキサス農工大学において、国際深海掘削計面(ODP)技術委員会に参加した。
(d) 10月1日(月)〜3日(水)、テキサス州ヒューストン近郊の掘削会社、掘削機器メーカー訪問予定した。
■事業の成果

平成2年度においては、[1]OTC'90会議・展示会及び米国海洋開発関連携機関、[2]ROV'90会議・展示会及び欧州の海洋開発関連機関、[3]OCEANS'90会議・展示会、米国の海洋開発関連機関の調査等を実施し、最新の技術動向を調査した。その結果、当初予期した以上の技術情報、資料の収集を行うことができた。特に、現在当センターが進めている10,000m級無人探査機や研究開発等、先端的研究開発事業の推進にとって、極めて重要なデータや情報が得られた。
 また、海外からの研究者・技術者の招へいについては、ノルウェー海洋技術研究所から、海洋構造物技術部門から、多方向波浪中における大型海洋構造物の運動、応答、環境への影響の解析法に関する専門家を招き、現在我が国が直面している大型海洋構造物を用いた未利用海域の有効利用について、また、オーストラリア海洋科学研究所から、サンゴ礁の研究部門から、サンゴ礁の生態学の専門家を招き、我か国で緊急の課題となっている地球温暖化対策の一環としてのサンゴ礁海域における炭素循環過程を明らかにする科学技術等について意見交換を行い、指導・助言を受けた。
 さらに、国際協力の推進については、米国の主要な海洋研究所の一つであるWHOI(ウッズホール海洋研究所)と当センターの協力関係を推進するため、深海潜水調査船を含む海洋調査船等を用いた海洋観測技術、深海底の調査技術等の課題に関する具体的な機器開発、技術動向等について協力して調査及び研究評価を行った。





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