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■事業の内容

(1) 陸上レーダーによる船舶識別装置に関する調査研究
[1] 委員会による検討
 委員会2回、作業部会2回を開催し、次の事項についての調査研究手順、方法等を指導、助言するとともに、研究成果のまとめを行った。
a. 研究方針、手順の検討
b. 船上識別器の試作
c. レーダー識別器の試作
d. 室内実験
e. 研究成果のまとめ
[2] 船上識別器の試作
 実験用の船上識別器1台を試作し調整作業を行った。
[3] レーダー識別器の試作
 レーダー識別器として応答信号検出回路部を試作し調整作業を行った。
[4] 室内実験
 試作した船上識別器、レーダー識別器について室内実験を実施した。また、両識別器を組み合わせた総合試験、温度上昇連続動作試験も行った。実験の際には模擬信号回路、PPI指示器を利用して、偽応答除去機能が有効であることを確認した。
[5] 研究成果のまとめ
 本年度に実施した調査研究の成果をまとめた報告書100部を作成した。関係官庁、関係団体、賛助会員等に配布し、本研究成果の有効利用を図ることとする。
(2) EL面光源による文字図形視覚標識に関する調査研究
[1] 委員会による検討
 委員会を4回開催して、試作及び実験について指導、助言するとともに研究成果のまとめを行った。
a. 研究方針、手順の検討
b. 基礎資料の調査、検討
c. 実験方法の検討
d. EL素子の耐候性試験装置の試作、実験
e. EL面光源灯器システムの試作、実験
f. 研究成果のまとめ
[2] 基礎資料の調査、検討
 EL素子及び面光源に関する基礎資料を調査収集し、EL素子の耐候性試験装置の設計、試作及びEL面光源灯器システムの設計、試作について検討、指導を行った。
[3] 実験方法の検討
 EL素子の耐候性試験について検討し、海浜屋外での試験を追加した。浮標用EL素子板の視認実験要領について検討し、夜間視認実験方法等を指導した。
[4] EL素子の耐候性試験装置の試作、実験
 EL素子の耐候性試験装置を試作し、屋内、外及び海浜屋外で暴露試験を行い耐候性を調査した。
[5] EL面光源灯器システムの試作、実験
 浮標用EL素子板を試作し、視認実験を行い、その結果を調査、分析しEL灯器システム設計を改善した。
[6] 研究成果のまとめ
 本年度に実施した調査研究の概要、内容及び成果をまとめた中間報告書を100部作成した。関係官庁、関係団体、賛助会員等に配布し本研究成果の有効利用を計ることとする。
(3) 電波航法システム用大型空中線鉄塔の自動塗装、点検装置の調査研究
[1] 委員会による検討
 委員会3回、作業部会3回を開催し、次の事項についての調査研究の手順、方法等を指導、助言するとともに研究成果のまとめを行った。
a. 研究方針、手順の検討
b. 各種装置(ロボット)の機能調査
c. 業務休止短縮対策の検討
d. 自動化方式の検討
e. 研究成果のまとめ
[2] 各種装置(ロボット)の機能調査
a. 塗装ロボット
b. 自動高圧洗浄機
c. 自走式無公害ブラスト機
d. 窓拭きロボット
[3] 業務休止短縮対策の検討
 オメガ鉄塔において考えられる制御(通信)方式について、
a. 光空間伝送制御
b. 光伝送制御
c. 無線制御
 等について検討を行い、制御(通信)方式の具体的な検討を行った。
[4] 自動化方式の検討
 オメガ鉄塔に巻いて考えられる昇降方式として、
a. ハンガータイプ
b. エレクタータイプ
c. バキュームタイプ
 等について検討を行い、ハンガータイプ、エレクタータイプを選定し、ハンガータイプについては模型を試作し、具体的な検討を行った。
[5] 研究成果のまとめ
 本年度に実施した調査研究の成果をまとめた報告書100部を作成した。関係官庁、関係団体、賛助会員等に配布し、本研究成果の有効利用を図ることとする。
(4) IALA理事会への出席
[1] 第74回IALA理事会は、平成2年4月10日、11日トリニティハウス(ロンドン)で開催された。当協会から嘱託 岩崎 守が政府委員の補助者として出席し、参加各国と技術上の情報交換を行い。国際的な動向把握につとめた。
 なお、議題は下記のとおりであり、これらについて報告、討議が行われた。
a. 会員の加入、退会について
b. 国際会議について
c. 他の国際機関との協同研究について
d. IALAの組織及び憲章の改訂について
e. 新IALA本部庁舎について
f. IALA会議について
g. IALA技術委員会について
h. IALA刊行物について
i. 財務について
注. IALA憲章改訂ワーキンググループの会合が4月9日トリニティハウスで開催され、わが国政府委員及び、岩崎 守 嘱託はこれに参加した。
[2] 第75回理事会は、平成2年6月フェルトホーヘン(オランダ)で開催された。これら理事会は、第12回IALA会議の一環として開かれたもので当協会から審議役名和芳雄が政府委員の補助者として出席し、参加国と技術上の情報交換を行い、国際的な動向把握につとめた。
 なお、議題は下記のとおりであり、これらについて報告、討議が行われた。
a. 第12回IALA会議の日程、プログラムの詳細について
b. IALA憲章の改訂に関する最後調整について
c. 理事選出の手続きと手順について
d. 総会の議題及びIALA活動報告案について
e. 工業会員会議と、工業会員委員(IMC)の選出について
f. 展示会について
g. 各種行事について
h. 第13回IALA会議の開催地、期日について
i. その他
注. 上記理事会は、総会の前後にわたり開かれたが、総会においてIALA憲章の改訂が議決され、これに伴って理事会の名称等が改訂された(EXCECUTIVE COMMITTEEからCOUNCILへ、但し日本語としての名称は変わらない)ことから、この会期中の一連の理事会を75th EXCECUTIVE COMMITTEE,1st COUNCIL MEETINGと呼ぶこととなった。日本名としては第75回理事会(新第1回理事会)とする。
[3] 第2回理事会は、平成2年10月16日〜18日、ソ連国防省航行水路局(レニングラード)で開催された。当協会から審議役名和芳雄が政府委員の補助者として出席し、参加各国と技術上の情報交換を行い、国際的な動向把握につとめた。
 下記の議題について、報告・討議が行われた。
a. 会員について
b. 新本部について
c. 委員会業務規則について
d. IMCについて
e. IALA会議について
f. IALA刊行物について
g. 財政について
h. 電波航法について
i. VTSについて
j. 航路標識の信頼性について
[4] 期間
第74回理事会       平成2年 4月10日〜11日
第75回(新第1回)理事会  平成2年 6月17日、6月26日
6月29日
(新)第2回理事会     平成2年10月16日〜18日
[5] 各理事会の出席報告書を作成した。
(5) 近隣諸国における航路標識事業及び関係システム等の開発状況の調査
[1] 昨年度に引き続いた標記調査について、海上保安庁、在北京日本大使館、中華人民共和国(以下中国)交通部と協議して日程等を決定した。
[2] 平成2年11月13日から11月24日の間、当協会理事長 土屋 貴及び嘱託 江並 脩が北京、天津、上海、広州等に出張し、標記調査を実施した。
[3] 調査報告書を作成した。
(6) IALA技術委員会への出席
[1] 第46回IALA電波航法技術委員会は、平成2年10月29日から11月3日の間、米国ワシントンD.C(UCコーストガード本部他)において開催され、当協会から嘱託豊福滋善が出席し、各国と技術情報の交換、討議を行った。
[2] 本委員会の我が国政府委員。(海上保安庁灯台部電波標識課長)宛に、主催者から開催通知、出席案内があったが政府委員は出席できなかった。
[3] 下記の議題について討議が行われた。
a. 電波航法技術委員会の作業プログラムについて
b. システムグループのレポートについて
c. IALA,IM0,ITU,IECについて
d. 汎世界航法システムについて
e. レーコンポリシーについて
f. 電波航法マニュアルについて
[4] 出席報告書を作成した
(7) 第12回IALA会議への出席
[1] 第12回IALA会議は、平成2年6月16日から6月30日までの間、フェルトホーヘン、コングレスセンター(オランダ)において開催され当協会から副会長 清野 浩、理事長 土屋 貴が出席して参加各国代表と意見交換を行った。
[2] この会議は技術会議、総会、理事会、工業会員会議、展示会等で構成され、技術会議ではわが国から6件の技術発表を行い、工業会員会議、展示会には、わが国から7社が出席、6社が出展した。また、総会においてIALA憲章の改訂が議決され、理事の選挙が行われて、わが国は理事に再選された。
[3] 第13回IALA会議は、1994年2月にハワイ(米国)において開催されることになった。
[4] 第I2回IALA会議の出席報告書を作成した。
■事業の成果

(1) 陸上レーダによる船舶識別装置に関する調査研究
[1] レーダーの信号を受信して、応答発信する機能を確認した。
 交信機能については、船上識別器に入力する受信レベルが変化するが、この範囲に対して忠実な受信パルスノ再現を確認した。
 送信機能については、応答符号の作成と変調特性が十分であることを確認した。
[2] レーダー識別器の試作
 船上識別器からの応答信号を検出する機能が中心であることと、その機能が十分なものであることを確認した。
 応答符号の確認に関して、位置と符号内容の復調性を確認した。
 偽応答符号の混入を正しく判別する機能を確認した。
[3] 室内実験
 船上識別器の組合せ総合動作が正常であり、室内実験では実用化が可能であることを確認した。
 また、実施のための温度特性、連続試験等をテストすることができた。
(2) EL面光源による文字図形視覚標識に関する調査研究
[1] EL素子の耐候性試験
 過酷な気象、海象条件の下で、視覚標識用として使用するEL素子の耐候性試験は充分在日時をかけEL素子の輝度の低下、退色について調査を必要とするので本年度の測定結果だけでは特にその成果を評価するに至っていない。
[2] EL光源灯器システムの試作、実験
a. 基礎調査の結果、分散型EL素子が適当な輝度、色度で発光し自在の形状にすることができるので、灯器システムとして使用するのに最も適していることが判った。
b. 分散型ELで浮標用EL表示板を試作し夜間屋外視認実験を行った。
 その結果は、装置の電源が100V・200Hz以上あればEL数字板が発光色に関係なく、期待どおりの可読距離を示し、灯浮標の補完標識として実用化できる見通しを得た。
c. 灯浮標本体と同期点灯した場合、本灯がEL数字板の視認に特に悪影響を及ぼさないことが判り、問題点の一つが解決した。
(3) 電波航法システム用大型空中線鉄塔の自動塗装、点検装置の調査研究
[1] 各種装置(ロボット)の機能等調査
 高所作業(最高455m)用のロボット装置としては、現存の装置では見込みなく、塗装機については部分的に応用できる見通しを得た。
[2] 業務休止短縮対策の検討
 光伝送制御として使用する非電導体ケーブルの使用について検討したが、強電界内における使用可否の問題もあり、無線制御方式についてもさらに検討する必要がある。
[3] 自動化方式の検討
 オメガ鉄塔に対する昇降装置を検討し、その方式を2方式に選定した。
 現実的な昇降装置の開発を目標にさらに検討を進め、ハンガータイプについては概略構造図の作成を行った。
(4) IALA理事会への出席
 IALA理事会へ出席し、参加各国の関係者と意見交換を行い、国際的な動向を把握できたことは、今後の当協会の事業運営上寄与するところ極めて大であると思料される。
 なお、平成2年6月に開催されたIALA総会において、わが国は理事に再選され、1994年まで引き続きアジア、オセアニア地域の代表格としてIALA業務運営に寄与することとなったが、これも従来からの理事国としての活動が国際的に評価された結果と言えよう。
(5) 近隣諸国における航路標識事業及び関係システム等の開発状況の調査
 航路標識の整備、運用については国際的な調和が必要であり、特に近隣諸国とは航路標識の運営に関して密接に連携をもつべきであるが、この点が現実には充分ではない。特に大国である中国とは航路標識の分野での交流は殆どなかったが、平成元年度に引き続き今回の調査に際し、先方国は極めて熱心に対応し、今後の技術交流、情報交流に関し好ましい環境が出来、予期以上の成果が得られた。
(6) IALA技術委員会への出席
 航路標識の分野でも技術革新は著しいものがあり、航路標識システムヘの新技術の応用、或いは、新システムの開発等が常に考えられているが、それらの情報が得られ、あるいは討議できるこの種の委員会への出席は極めて有益である。
 わが国が委員となっている3委員会(年間各2回開催)のうち、昨年度は船舶振興会補助事業として初めて海上標識システム技術委員会に出席し情報の収集、意見交換を行って極めて大き底成果を得られた。
(7) 第12回IALA会議への出席
 IALA会議は技術会議、総会、理事会、工業会員会議、展示会等で構成され、5年毎(次回から4年毎)に開催されるが当協会は政府委員とともに出席し、技術情報の収集、各国との意見交換を行い、また、技術発表を行うなど大きな成果を得られた。





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