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■事業の内容

(1) 貿易制度・手続の簡易化策の検討
 船舶の入港前に提出を求められる入港通報、乗組員名簿、乗客名簿等の様式は、提出を求める官公庁によって様式がすべて異なるため、海運業界の省力化、合理化の障害となっており、その統一標準化が強く要請されていたので税関、入管、検疫に共通して使用できる標準書式「入港通報」を制定するとともに、乗組員名簿、乗客名簿も標準化し、モデルフォームを作成した。
[1] 調査項目
a. 本船の入港に際し、多数提出することとなる海事関係書類のうち、海事関係業界の合理化のため統一、標準化を必要とする書類を調査し、入港通報、乗組員名簿等の書類を抽出した。
b. 上記(1)により統一、標準化を必要とするすべての書類について、その記載事項を調査し、その内容等を検討し、その統一、標準化を図った。
c. 上記(2)により統一、標準化した記載項目について、レイアウトの研を行い、標準書式を制定した。
d. 海事関係諸手続をファックスにより行うことについて、その現状、問題点、及び改善策について調査研究を行った。
[2] 報告書の作成及び配布
 調査項目の内容を盛り込んだ報告書を作成、関係者に配布し周知方に努めた。
a. 規格   A4版 53頁
b. 部数   500部
c. 配布先  官庁(運輸省、大蔵省、通産省、外務省、厚生省、法務省)外国在日大使館、貿易業界(貿易振興会等)、海運業界(船主協会等)、賛助会員、その他調査協力企業等
(2) 海上貨物、航空貨物の輸出入手続の比較対照とその簡易化策の検討
 外国貿易は、海上輸送と航空輸送により行われており今後とも共存し、相互補完関係又は複合関係の下に発展していくものと予想されているが、両輸送方式には制度・手続面で相当な相違があるので、貿易手続面の整合性を図るため、両輸送方式についての制度・手続について調査研究を行った。
[1] 調査項目
a. 海上、航空国際貨物輸送の現状と今後の趨勢について
b. 海上、航空国際貨物輸送の輸出入業務概要とその問題点について
c. 海上運送状(Sea Way bill)の利用状況、問題点、メリット及びCMI統一規則について
d. 海上、航空輸送におけるEDI化の現状の問題点について
e. 最近の貿易取引慣習の変化と「インコタームズ」関係の問題について上記事項について調査を行った。
[2] 報告書の作成及び配布
 調査項目の内容を盛り込んだ報告書を作成、関係者に配布し周知方に努めた。
a. 規格   A4版 59頁
b. 部数   300部
c. 配布先  官庁(運輸省、大蔵省、通産省、外務省、税関)、外国在日大使館、貿易業界(貿易振興会等)、海運業界(船主協会等)、賛助会員、その他調査協力企業等
■事業の成果

近年の国際貿易は、その輸送手段、通信手段の技術革新は急速に進んでいるが、貿易関係手続の改善が進まず、本船の入出港手続においても、官公庁に提出する書類は膨大な量に達しているばかりでなく、手続に要する人員も相当な人数となっている。
 今回の調査、研究により、関係書式類の削減及び統一、標準化が可能となるほか、手続面へのファクシミリの導入等も実現することにより、関係業界の事務の省力化、合理化が大幅に達成される。また、複雑多岐に亘る貿易関係手続は、国際的にも指摘されかねない問題であったが、今回の改善により手続簡易化に関する国際的責務を果たすことができるものと思われる。





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