
■事業の内容
昭和63年度の研究成果をもとに、M系列手法による水中測位システムの開発を行うため、実験装置による実海域実験を行うことを計画した。 平成元年度は、実験装置の一部である基準局及び指令局の設計を行い、それぞれ1基づつ試作するとともに、実海域実験方法についても検討した。 (1) 基準局及び指令局のハードウエアの設計 高精度測位システムの実験装置の試作に当たり、現状の計測システムに対する改善要項を検討・整理した。 これらをもとに、高精度測位システムの測定方式、測定装置、測定環境面及び運用面からみて適切な設計方針を設定した。 試作装置の目標性能は、次のとおりである。 [1] 最大探知距離 500〜1000m [2] 超音波周波数 約100KHZ [3] 距離分解能 3mm [4] M系列信号 ・ バルス幅(1段当たり) 約40μs ・ 次数 5次〜7次 [5] 周囲雑音 -70dB以下 (2) 基準局(1基)及び指令局(1基)の試作 高精度測位システムの実験装置の一部を構成する基準局及び指令局をそれぞれ1基試作した。 基準局は、M系列送受信回路を耐水筐体に収納された海底設置型であり、その主要を機能は、次のとおりである。 [1] M系列信号の送信機能 [2] M系列信号の受信機能 指令局は、M系列の送受信回路、処理演算部及び表示部からなる。その主要な機能は次のとおりである。 [1] M系列信号の送信機能 [2] M系列信号の受信機能 [3] 距離測定機能 [4] 測位演算機能 [5] 環境誤差補正機能 [6] 表示機能 (3) 実海域実験方法の検討 固定櫓方式、台船方式、スケール方式等について比較検討した。その結果スパッド台船に指令局を、岸壁に基準局を設置し、各種パラメータを変化させて計測を行い、本システムの精度、測定可能範囲等を検証する実験方法を提案した。
(4) 成果のとりまとめ 上記の研究成果をとりまとめて報告書を作成し、委員ならびに関係機関に配布した。
(5) 委員会等の開催回数 委員会 2回 小委員会 5回 W.G. 2回 打合せ会 2回
■事業の成果
本事業は、今後ますます沖合化へ進む海洋工事に必要される海中作業船の位置を高精度に測位するシステムを開発するものであり、本年度は実験装置の設計ならびに一部の試作を行うとともに、実海域実験方法も検討したものであり ・ 高精度測位システムの必要条件及び現状の計測システムについて検討したことによって、今後の超音波測位方式に関する基本的な考え方が明らかにされた。 ・ 指令局のスパン、測定距離、測定間隔等と測定精度との関係が明らかになった。これは測量範囲等の設定の一つの指針となり得る。 ・ 次年度には、実験装置の完成をまって実海域実験を行うことにより、本側位システムの実用性についての成果が期待される。 等の結論を得ることができた。 本事業によって得られた知見は、将来の沖合人工島建設等の海洋土木工事において、その有効利用が期待されるものである。
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