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■事業の内容

(1) 「採集と飼育」の刊行、配布
[1] 刊行物件    自然観察誌「採集と飼育」
[2] 造本体裁    B5判/平成元年4〜9月号、12〜3月号の各月号は、46ページ(表紙・口絵4色6頁、本文40頁)、10、11月号は、カラーぺージを8頁とした。
[3] 刊行回数    各月1号刊行、4月号〜3月号、計12号
[4] 普及配布部数  各号300部、年間計3,600部
[5] 内容      自然のなりたちやしくみなどの解説、観察と実験の記録、身近な動植物、地学などの研究情報等について、専門学者並びに研究者の執筆による特集を多くとりあげ、自然科学の基礎知識、ことに生物学に関心のある人や小、中、高校の理科教師に興味ある内容とした。本年度においては、特に「地球規模の環境問題」をとりあげたり国立科学博物館で開催されたシンポジウム「いま、求められるナチュラルヒストリー」の速記録を、7〜12月号にわたり連載して、標本研究の重要性をも紹介したりした。
[6] 配布先     皇室、文部省ほか   24部
国公立教育センター  48部
国公立図書館     58部
国公立博物館ほか   67部
大英博物館ほか     6部
関係団体ほか     97部
計      300部
(2) 「自然をみるつどい」の開催
[1] 開催回数  年3回
(開催内容は、少年少女対象と一般対象とも合同とした。)
[2] 開催場所  東京1回、近県2回(詳細は、下記の内容のとおり)
[3] 内容
第58回「自然をみるつどい」
a. 開催日時  平成元年11月26日(日)、晴天 9:20〜15:30
b.開催地   東京都大田区東海三丁目1番地 東京港野鳥公園
c. 講師    観察指導 宇田川龍男先生(麻布大学名誉教授)
d. 指導員    〃   高橋巧一指導員(フィールドアシスタントチーム)
 〃   唐木雅徳指導員(フィールドアシスタントチーム)
e. 催事名   東京港野鳥公園の冬鳥観察会
f. 実施内容  昭和30年後半から埋め立てが始まった大田区東海地区の一角に、24.3ヘクタールの広大な敷地を利用して、野鳥の楽園にしようという東京港野鳥公園が、10月18日オープンしたので、この公園にて自然保護の重要性を知らしめるための観察内容で実施した。
g. 参加者数  小学生4名、成人24名(男性:6、女性:18名)
計28名
第59回「自然をみるつどい」
a. 開催日時  平成元年12月10日(日)、晴天 9:00〜16:40
b. 開催地   茨城県つくば市天久保、国立科学博物館筑波実験植物園
c. 講師    山田卓三先生(兵庫教育大学教授)
d. 園内指導  八田洋章先生(国科博筑波実験植物園主任研究員)
小西達夫先生(国科博筑波実験植物園主任研究員)
e. 指導員   唐木雅徳指導員(フィールドアシスタントチーム)
原田 信指導員(フィールドアシスタントチーム)
f. 催事名   筑波実験植物園 冬芽の観察会
g. 内容    サバンナ温室、熱帯降雨林温室、屋外植栽区の有用植物など、環境による種物生態系の違いを学び、本州中部地区でみられる植生を再現した屋外実験植物区の常緑広葉樹林、温帯性針葉樹林、暖温帯落葉広葉樹林などの植生樹木の冬芽について観察指導を受け、主芽や副芽それぞれの役割と時間的伸長、芽による種間の相違や類似する樹種の見分け方など、冬芽を中心に樹木観察の手法を学んだ。
h. 使用バス  イースタン観光バス
i. 参加者数  小学生1名、成人38名(男性:13名、女性:25名)
計39名
第60回「自然をみるつどい」
a. 開催日時  平成2年1月28日(日)、快晴 10:20〜15:20
b. 開催地   千葉県我孫子市高野山、山階鳥類研究所及び手賀沼周辺
c. 講師    宇田川龍男先生(麻布大学名誉教授)
d. 研究指導  杉森文夫職員(山階鳥類研究所広報室長)
今村智子共同研究員(同上研究所)
松原健司共同研究員(同上研究所)
e. 指導員   高橋巧一指導員(フィールドアシスタントチーム)
唐木雅徳指導員(フィールドアシスタントチーム)
f. 催事名   鳥類の研究を学び自然を観察する会
-山階鳥類研究所と印旛手賀自然公園-
g. 内容    財団法人山階島類研究所は、研究部門では、生化遺伝学的手法による鳥類の系統分類学、シナントロープ化(都市環境適応生物化)にともなうドバトの管理と防除の研究、鳥類の生態・形態学的研究、鳥類標識調査などの研究を行っているので、最近の鳥類研究の動向について解説を受け、鳥類の生態系にみられる地球的規模の生物環境とその保護の必要性を学んだ。
 また、野外では、公園入口から山階鳥類研究所まで、湖畔に沿った遊歩道を観察路として手賀沼の自然を観察した。
h. 参加者数  小学生2名、成人36名(男性:14名・女性:22名)
[4] 講師人員  講師3名、指導員6名 計9名
研究指導員5名(無償)
[5] 参加者数  第58回28名、第59回39名、第60回38名(延105名)
[6] 対象    少年少女、一般
■事業の成果

本年度における(1)「採集と飼育」の刊行、配布においては、人と自然との調和ある自然保護の観点から、前年に引き続き、身近かな「自然に親しむ」をテーマで、人の五感による体験「原体験」について、その活動の具体的事例を取り上げ、特に教育現場のために役立つ内容とし、自然教育の推進を啓発した。(2)「自然をみるつどい」の開催においては、専門学者の指導のもとで自然観察して、身近かな自然の中で原体験させることにより、自然を科学的にとらえる見方を身につけさせ、科学する心を啓発し、調和ある自然保護の重要性を知らしめた。
 よって、本事業の実施により、生物学御研究所をはじめ、国公立図書館、科学教育センター、博物館等に「採集と飼育」の配布を通して、自然観察指導員、研究者、教育者などの便益に供し、自然科学の基礎知識普及に大きな役割を果すとともに、また、「自然をみるつどい」においては、少年少女、一般に自然保護の重要性を認識させるなど、あわせて、我国の次世代を担う後継者の育成に果す役割は大きく、且つまた、理科教育の一助となし、もって自然科学の基礎知識の普及が図られ、一般に広く科学知識普及に資するところ大なるものがあると思われる。





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