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■事業の内容

(1) ばら積み化学薬品の危険性の評価と基準の検討
 ばら積み運送される化学薬品の危険性評価基準を具体的な評価基準とするため、本年度は7項目の未確立基準のうち、下記の2項目を選定した。
c 皮膚を腐蝕させる液、即ち4時間にわたり動物の正常な皮膚をテストした場合、接触部位の皮膚組織が壊死したことが目視し得るような液。
g 船舶全体を危険にするように、通常の船舶構造材(原則的に鋼)を重度に腐蝕させるもの。
これら評価基準策定のため、「危険物評価委員会」の下に
“皮膚等に対する危険性評価に関する試験部会”
(主査:西村正雄東京歯科大学教授)、及び
“金属腐蝕の危険性評価に関する試験部会”
(主査:朝倉祝治横浜国立大学教授)の二部会を設け、計画を立案
するとともに、それぞれの部会主査と委託研究契約を締結し、試験研究を行った。試験研究の進捗状況報告又は問題点の解決のため、各試験部会を適宜開催し、試験手順の見直し等を行った。
 危険物評価委員会は平成2年3月9日に開催され、各委託契約先から提出された試験研究報告書に基づいて検討を行った。検討の結果、同委員会は原案通り報告書を承認し、本年度報告書の作成方を事務局に要請した。
 なお、本事業が3ヶ年計画であることを踏まえ、本年度実施の試験研究に関して今後、訂正等の要望があれば最終報告書で反映させる旨が合意された。
■事業の成果

試験研究の結果は、各委託契約先から皮膚等に対する危険性評価に関する試験部会及び金属腐蝕の危険性評価基準に関する試験部会にそれぞれ報告された後、危険物評価委員会に諮られ、皮膚及び金属に対する腐蝕性の評価基準案として了承された。
 皮膚に関しては、第1段階の試験としてアルミニウム板による腐蝕性の判定を行った結果、同板がマウス等生体組織以上に腐蝕性に対する鋭敏性を有しており、動物愛護の観点からも危険化学薬品の腐蝕性スクリーニング試験の供試体としてアルミニウム板が採用され得ることが判った。
 金属に関して試験部会は、応力腐蝕及び局部腐蝕の問題はあるものの、評価基準は全面腐蝕に基づいて策定すべき旨合意した。
 皮膚及び金属の腐蝕性に関する具体的な評価基準の策定は、本事業が3ヶ年度計画であることを踏まえて、本年度試験結果はあくまでも中間報告であり、今後の十分な検討を待って緒論付けることとなった。





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