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■事業の内容

(1) 船員災害防止の教育指導
[1] スライド映画の製作
 漁船乗組員及び船舶所有者に対する教育指導用スライド映画を次のとおり製作した。
a. 題名   「くり返すまい!いか釣り漁業の船員災害」
b. 規格   35ミリカラー(テープ同調) 80駒
c. 数量   オリジナル1本、プリント71本
d. 内容   中型漁船(いか釣り漁業)の災害防止を平易に解説し、漁船船員の災害防止に資する。
e. 配付先  本部、支部及び地区支部71カ所にプリントを配付した。
[2] 小冊子の作成
 各支部において行う安全衛生教育の教材とした。
a. 題名   漁船KYTイラスト集
b. 規格   B5判 118頁
c. 部数   4000部
d. 内容   漁船乗組員が潜在する危険の態様を知り、それに対処する手段を認識するための教材としてイラストを加えた理解しやすい小冊子を作成し、一層の理解を深めた。
e. 配付先  支部、地区支部、関係団体等
[3] 訪船安全衛生指導
 船員災害発生率の高い中小型船舶を対象として、これら船舶の在港時に安全・衛生技術指導員を派遣して、安全・衛生措置の細目にわたり実地に指導した。
a. 指導場所     東京港外159港
b. 指導回数     723回
c. 指導員派遣人数  723人
d. 指導船舶数    1410隻
e. 内容       船員法、船員災害防止活動の促進に関する法律、船員労働安全衛生規則及び当協会制定の船員災害防止規程に基づき、船内安全管理体制、作業環境、居住環境、設備、機械・器具、用具、安全標識、保護具、検知器具等について指導助言した。
[4] スライド映写機の更新
 船員災害防止協会の支部11カ所及び地区支部60カ所、計71カ所に船員災害防止教育用のスライド映写機を設置し、安全衛生講習会等において使用しているが、この71台のスライド映写機のうち、耐用年数が経過し、特に故障の多いスライド映写機10台について更新を行った。
a. 規格   サウンドスライド映写機「サンエース300型」
スライド映写機とテーププレイヤーが一体となったワントラック方式(カセットテープ式)
b. 数量   10台
c. 配付先  函館地区支部、気仙沼地区支部、関東支部、伏木地区支部、清水地区支部、中国支部、呉地区支部、松江地区支部、三角地区支部、長崎地区支部
(2) 船員災害防止の周知宣伝
 昭和63年度(第32回)船員労働安全衛生月間(63.9.1〜63.9.30)の実施について、運輸省ほか関係官庁主唱のもとに、協賛者として船舶所有者等に周知徹底した。
[1] 「実施のしおり」
a. 規格   A5判 36頁
b. 部数   19,000部
c. 内容   月間活動実施要綱、主唱者、協賛者及び協力者の実施要領並びに船舶所有者のための実施の手引等
d. 配布先  船舶所有者に17,000部、その他関係団体等に2,000部を配布した。
[2] ポスター
a. 規格   B3判 4色
b. 数量   26,000枚
c. 内容   月間活動周知ポスター
d. 配布先  船舶所有者に23,000枚、その他関係団体に3,000枚を配布した。
[3] 標語ビラ
a. 規格   B5判 2色
b. 数量   26,000組
c. 内容   安全衛生標語ビラ(5種1組)
d. 配布先  船舶所有者に23,000組、その他関係団体等に3,000組を配布した。
(3) 総合安全診断の実証
 昭和63年3月に、船員に対する総合安全診断に関する基礎調査研究を終了させたが、この診断システムを実用化するためには、その妥当性及び信頼性を検証する現場での実証が必要であることから、2年間の調査を行うこととし、本年度はその初年度にあたり、次のとおり実証の為の調査等を行った。
[1] 実証の為の調査
a. 調査表の作成
(a) 規格  A4判 8頁
(b) 部数  700部
b. 調査の方法
(a) 漁船員に対しては、普及活動の一環として講演会を開催、その会場にて調査を実施、直ちに回収した。
(b) 希望船社に対しては、調査の目的及びプライバシーの確保を各船員に周知することをお願いし、直接本部より必要数の調査表を送付した。
(c) 個人希望者に対しては、返送用の封筒を同封し送付した。
(d) 発送数670通、回答数564通であり回収率は84.2%であった。
c. 個人値の検出と返送及びアンケート回収
 回収された調査表は、約1ケ月単位で郵船情報(株)の電算機に入力、即、個人値を所定のフォーマットに印刷、当協会で1部コピーを取り、個人自宅“親展”にて返送した。その際、アンケートを同封、その適合性を確める材料とした。
d. インベントリ改訂
 検出されたデータに基づき、集団値検診プログラムの標準化、採点法の変更及び出力法変更等プログラムに所要の改訂を加えた。
e. 委員会の開催
 システム開発小委員会  5回
[2] 広報活動
a. 解説手引書の作成
(a) 題名   「体と心の健康調べ」
(b) 規格   A5判
(c) 部数   1,000部
(d) 配布先  船舶所有者、関係団体等
b. 広報紙(パンフレット)の作成
(a) 題名   「船員のメンタル・ヘルス・システム御案内」
(b) 部数   1,000部
(c) 配布先  船舶所有者、関係団体等
c. 委員会の開催
 事業化小委員会  3回
[3] 普及活動及び講演会の開催
a. 普及活動として事務局より2名派遣、各地漁協、船主組合を対象に説明会を行った。訪問地は次の通り。
 釧路、気仙沼、新潟、名古屋、神戸、浜坂、広島、北九州市、酒田、盛岡、塩釜、石巻
b. 講演会の開催
 事務局1名、小委員1名で構成、釧路、気仙沼、広島、酒田、浜坂、盛岡、塩釜、石巻、神戸(9ケ所)で実施、受講者は約560名であった。
[4] 報告書の作成
a. 規格   B5判 114頁
b. 部数   220部
c. 配布先  船舶所有者、関係団体等
d. 委員会の開催
 専門委員会  2回
■事業の成果

(1) 船員災害防止の教育指導
 スライド映画及び小冊子の刊行、訪船指導の事業を通して、船舶所有者及び船舶所有者の団体等における自主的な災害防止活動の促進と船員の安全衛生思想の普及状況に顕著なものがみられ、海上労働力の確保と企業経営の安定化に寄与することが期待される。
(2) 船員災害防止の周知宣伝
 船員労働安全衛生月間運動資料である「実施のしおり」、ポスター及び標語ビラは運輸省ほか関係官庁主唱の昭和63年度第32回船員労働安全衛生月間(9月1日〜30日)の実施にさきだち、協賛者として、船舶所有者及びその団体並びに関係団体等に配布して当該運動の周知徹底を図った。その結果、船舶所有者及びその団体等における自主的な災害防止活動の促進と船員の安全衛生思想の普及状況に顕著なものがみられ、海上労働の確保と企業経営の安定化に寄与することが期待される。
(3) 総合安全診断の調査研究
 船員災害の発生率は、昭和52年以降それまでの減少傾向が鈍化し、なお、陸上労働者に比べ依然として高率であるところから、船員災害防止活動の促進に関する法律の施行を軸にして、より実効のある総合的な船員災害防止対策の樹立とこれに伴う活動の展開を求められている。
 近年船舶の技術革新の進展、船員制度の近代化に伴う乗組員の少数精鋭化、知的労働の比重の増加、停泊期間の短縮等による肉体的な問題とともに精神面における負担並びに漁船における漁労期間の長期化に伴う労働環境の変化等をふまえ、種々の問題点の解析検討及び具体的な診断プログラムの開発を図るため、昭和63年3月に船員に対する総合安全診断に関する基礎調査研究を終了し、診断プログラムを開発した。
 本事業により、この診断プログラムを使用して564名の実証のための調査を行い、採点法の変更等プログラムに必要な修正を加えたことにより、信頼性を高め実用化に一歩近づけたものであり、船員の災害防止に寄与するところ大なるものがある。





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