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■事業の内容

(1) 調査内容
 船舶(日本、外国貿易船)の世界における入出港手続は国または港により相違するほか、提出書類も複雑多岐で、海運及び港湾業務の省力化、合理化の障害になっていたが、最近の事務のOA化と本船の高速化時代を迎え、海運業界及び港湾関係業界からその改善等が強く要請されていたので、その改善に努めるべく船舶入出港関係書類及び手続の簡易化に関する調査研究を行った。
(2) 調査項目
[1] 実態調査
 国内調査……東京及び横浜の両港において、海運会社、代理店、港湾ターミナル会社等10社を対象にヒアリング調査を行うとともに、東京、横浜、神戸、大阪及び名古屋の5大港の上記企業23社を対象にアンケート調査を行った。
 国外調査……委員及び事務局職員がタイ国ESCAPに出張し調査などを行ったほか、海運会社等を通じ、ESCAP域内主要港、北米・メキシコ方面主要港及び欧州各方面主要港の資料収集を行った。
[2] 問題点の把握
 東京、横浜両港におけるヒアリング調査及び5大港のアンケート調査結果に基づいて入出港手続簡易化上の問題点を摘出し、簡易化の必要性の具体的事例を明確化した。
[3] 簡易化への提言
 書式の削減と標準化及び手続にファクシミリの使用承認等について改善の具体的内容を盛った提言を策定した。
[4] 収集貨科
 国内調査及び国外調査を通じて収集した資料は、すべて分類、整理した。
(3) 報告書の作成及び配布
 上記(2)調査項目の内容を盛り込んだ報告書を作成、関係者に配布し周知方に努めた。
[1] 規格、体裁:A4判388頁
[2] 部数  :300部
[3] 配布先 :官庁(運輸省、大蔵省、通産省、税関、外務省)、外国在日大使館、貿易業界(貿易振興会等)、海運業界(船主協会等)、賛助会員、その他調査協力企業等
■事業の成果

近年の国際貿易額は2685億ドルを超え、その輸送手段、通信手段の技術革新は急速に進んでいるが、貿易関係手続の改善が進まず、本船の入出港手続においても、官公庁に提出する書類は膨大な量に達しているばかりでなく、手続に要する人員も相当な人数となっている。
 今回の調査、研究により、関係書式類の削減及び統一、標準化が可能となるほか、手続面へのファクシミリの導入等も実現することにより、関係業界の事務の省力化、合理化が大幅に達成される。また、複雑多岐に亘る貿易関係手続は、国際的にも指摘されかねない問題であったが、今回の改善により手続簡易化に関する国際的責務を果たすことができるものと思われる。





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