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■事業の内容

(1) 国際規格原案の審議
 国際標準化機構(ISO)、国際電気標準会議(IEC)から照会された下記40件の国際規格原案等に関し、我が国の意見をとりまとめて回答を発信した。
○ 船橋に装備する通信設備の取り付け
〇 IEC Pub. 92-201基本設計-一般 附属書A:SOLAS規則の索引
〇 IEC Pub. 92-201基本設計-一般 第4節 補機への給電
○ 内陸航行船-ドラフトスケール
○ 磁気コンパス、ビナクル及び方位測定器-クラスB
○ ムアリングウインチ
○ 通風系統図の識別色
○ 内陸航行船-パイロットクラフト-識別
○ ヨット-排水金物
○ 膨張式ボート-強化プラストマー又は強化エラストマー製ボート
○ 日本船舶の振動評価
○ デリックリグ及び構成要素-用語
〇 IEC アンテナの設備
○ 船用レーダレフレクタ
○ 船用鋼製風雨密戸
〇 IEC 船用電線
○ 船橋配置及び関連設備、要件及び指針の追補案
○ 船用スクリュープロペラの表面あらさ
○ ディーゼル船の機関室の通風-設計要件及び計算基準
○ 船用スクリュープロペラの製造許容差
〇 IEC Pub. 92-101 船用電気設備 定義及び一般要求事項 第8項
周囲空気及び冷却水温度、第9項 船の傾斜
〇 IEC Pub. 92-101 船用電気設備 定義及び一般要求事項 第11項
電圧及び周波数変動
〇 IEC Pub. 92-201 船用電気設備 システム設計-一般
第6.6項 補助設備に対する供給電源
〇 IEC Pub. 92-202 船用電気設備 システム設計-保護 第3.1項
一般要求、第5.4項 選択遮断に対する短絡定格の協調
〇 IEC Pub. 92-302 船用電気設備 機器-配電盤及び制御盤
第6.6項 生母線の分割
〇 IEC Pub. 92-305 船用電気設備 機器-蓄電池 第5項 銘板
○ 膨張式救命いかだ-材料
○ 往復動ピストンエンジン及びピストンコンプレッサーに対する機械振動の測定と評価
〇 IEC 船用オメガシステム及びディファレンシャルオメガシステム受信機
○ 内陸航行船-機械的駆動ウインドラス及びアンカーキャプスタン
○ 数値制御機械-ESSIフォーマット
〇 RO/RO船と岸壁との連絡-岸壁端と船尾又は船首に直線状連絡用傾斜路を持つ船との間の取り合い
○ 航洋船用アルミニウム合金製ワーフラダー
○ 甲板機械-船側はしご用ウインチ
○ 甲板機械-遠洋用トウイングウインチ
○ 線図-図形に関するデータ
○ 内陸航行船-押し船用シングルロック自動連結機
〇 IEC Pub. 92-201 船用電気設備 システム設計-一般
○ 海洋構造物-モービルオフショアーユニット-アンカーウインチ
〇 IEC Pub. 92-504及び504A(制御計装)の全面改正案
 ISO及びIECの船舶関係の分野から照会された国際規格原案等に対して審議を行い、我が国の意見を提出することにより、国際標準化活動に対する責務を果たすとともに、国際規格の内容に我が国の意向を十分反映させることによって、我が国の海運業、造船業及び関連工業の視野に立った合理化及び国際交易の促進に寄与することができた。

(2) 国際会議への出席
 国際規格に我が国の意見を十分に反映させるため、船舶工業に最も関係の深い主要な国際会議に出席した。
[1] ISO/TC8/AG(諮問グループ)会議
a. 開催場所  ロンドン(イギリス)
b. 開催期間  62年5月12日〜5月14日
c. 主要議題
(a) 各SCの作業上の問題点の検討
〇 TC8/SC11/WG4で手掛けていた「船用火災制御図記号」については、その内容を技術報告書に取りまとめた上で、WG4は解散することとなった。
〇 TC8/SC16で手掛けている「磁気コンパス」の改正作業が終了次第、SC16を解散する手続きを取ることとなった。
(b) 今後のTC8について
〇 TC8は1989年までに現在作業中の作業項目を完了させ、新しいTC8の常任議長を選出して、TC8の今後のあり方について検討するとともに、次期長期計画を策定することとなった。
○ 次回のTC8本会議(1989年)を、我が国で開催することを要請された。
d. 派遣内容
(a) 派遣員   吉田 一信(日本船舶標準協会)
(b) 派遣期間  昭和62年5月10日〜5月16日(7日間)
[2] IEC/TC18/WG16(制御計装作業委員会)会議
a. 開催場所  ロンドン(イギリス)
b. 開催期間  昭和62年5月12日〜5月14日
c. 主要議題  IEC92-504及び92-504A(制御計装)の改正
 IEC92-504及び92-504A(制御計装)の改正に関する最終会議として、SOLASとの関連事項の調整、コンピュータ・モーニタリング・システムの追加など、細部の審議が行われ、改正草案が取りまとめられた。
d. 派遣内容
(a) 派遣員   濱口 秀一郎(三菱重工業(株)神戸造船所潜水艦部)
(b) 派遣期間  昭和62年5月11日〜5月16日(6日間)
[3] ISO/TC108/SC2/WG2(船舶の振動作業委員会)会議
a. 開催場所  パリ(フランス)
b. 開催期間  昭和62年9月1日〜9月2日
c. 主要議題
(a) 複数周波数振動の評価について
複数周波数振動の評価の暫定的な方法を取りまとめた。
(b) 船舶の騒音と振動の関連について
 船の居住区における騒音と振動の複合効果を評価するために役立つ資料について、各国で調査することとし、その結果を基に規格化の要否について検討することとした。
(c) ISO 6954とISO/DP2631/4との関連について
 ISO 6954(商船の振動の総合評価のためのガイドライン)とISO/DP2631/4(人体が受ける全身振動評価の手引:パート4)との関連について、各国で検討し、その結果を船舶関係の意見としてTC108/SC4へ提出することとした。
d. 派遣内容
(a) 派遣員   藤井 克哉(石川島播磨重工業(株)技術研究所)
(b) 派遣期間  昭和62年8月31日〜9月4日(5日間)
[4] IEC/TC18/WG15(短絡電流作業委員会)会議
a. 開催場所  ベルガモ(イタリア)
b. 開催期間  昭和62年9月24日〜9月25日
c. 主要議題  短絡電流の計算方法について
 短絡電流の計算結果の評価に対する我が国提案の「短絡電流計算結果の解釈とその適用」が正式に規格草案に取り入れられて、それを含めた審議が行われた。
d. 派遣内容
(a) 派遣員   高木 秀樹(寺崎電気産業(株)取締役)
(b) 派遣期間  昭和62年9月23日〜9月27日(5日間)
[5] IEC/TC18/WG15(短絡電流作業委員会)会議
a. 開催場所  ロッテルダム(オランダ)
b. 開催期間  昭和63年1月28日〜1月29日
c. 主要議題  短絡電流の計算方法について
 短絡電流の計算方法に関する最終会議として、計算方法、計算式などの細部について検討が行われるとともに、全体の調整がはかられた。
d. 派遣内容
(a) 派遣員   高木 秀樹(寺崎電気産業(株)取締役)
(b) 派遣期間  昭和63年1月27日〜1月31日(5日間)
 ISO/TC8(造船及び海洋構造物専門委員会)の企画・運営、各SC間の調整等を審議するAG(諮問グループ)会議に出席したことにより、現在ISO/TC8がかかえている問題に対する我が国の対応を提案するなど、国際標準化活動の運営に対して積極的な協力を行い、AG会議の重要メンバーとしての責務を果たすことができた。
 特に、これまでの我が国の国際標準化活動に対する取り組み方が評価されて、次期ISO/TC8の常任議長の選出及び次回TC8本会議(1989年)の開催が要請されるなど、大きな成果を収めることができた。
 IECで作成される規格(Publication)は、海上人命安全条約(SOLAS)規則の内容に重大なかかわりがあるため、規格草案作成の初期の段階から審議に参加することが必要であり、本年出席したIEC/TC18/WG15(船用電気設備専門委員会/短絡電流作業委員会)会議及びWG16(制御計装作業委員会)会議も、これまでに開催された会議のほとんどに出席していたので、日本の意見を規格草案に十分反映させるとともに、規格草案の作成に多大な協力を行うことができた。
 特に、WG15で作成している「短絡電流の計算方法」については、「短編電流計算結果の解釈とその適用」の項目を、我が国で分担して作成するなど、国際協力に対する十分な責務を果たすことができた。
 船舶の振動の問題については、各国とも非常に高い関心をよせているが、振動に関する規格の作成に当たっては、多大な振動データの解析が必要であり、これまでISO/TC108/SC2/WG2(機械振動及び衝撃専門委員会/振動・衝撃の計測と評価分科委員会/船舶の振動作業委員会)の会議に出席して、国際規格原案に対する我が国の意見を述べ、我が国で建造された船舶の振動に関する豊富なデータを提出することによって国際協力を行うとともに、国際規格作成の重要なメンバーとなっている。
■事業の成果

国際規格原案等を審議して回答を作成し発信した。また、国際標準化機構(ISO)及び国際電気標準会議(IEC)の船舶工業に関係の深い分野において、主要な国際会議に出席したことにより、国際規格に我が国の意見を反映させることができ、かつ、国際標準化活動における重要メンバーとしての責務を果たすことができるなど、大きな成果を収めた。
 また、適正な国際規格の制定は、生産・使用の合理化、品質の保証、国際互換性の確保、輸出の振興など、我が国の造船業、海運業及び関連工業の世界的視野に立った合理化に寄与するところまことに大きなものがあると確信する。





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