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■事業の内容

(1) 自動浚渫制御システムの設計・製作
[1] 制御規則の作成
○ アンケート調査結果及び供試船船長からの聞き取り調査結果を詳細に解析し、制御規則集を作成した。
[2] 設計及び製作仕様の検討
○ 制御装置は主制御装置(全体統括)及び副制御装置(ファジィ制御)とし、入出力盤は入出力、インターロック等のシーケンス制御装置とした。
○ システムは、掘りパターン自動制御、揚土量最大制御、前進動作制御及びモニタリング・ロギングのサブシステムを設け、さらに供試船の既設システムとの切替えを速やかに行えるよう配慮した。
[3] 制御システムの製作
○ 上記の仕様にもとづいて諸装置を製作し、諸装置及びソフトウエアを用いて疑似入力情報によるシミュレーションを行い、当初の機能を確認した。
(2) 管内流動土質検出装置の製作
[1] 製作仕様の検討
○ 沈殿判定には、振動レベル及び外部情報の組合せで行うこととした。
○ スペクトラム画面及び経時変化画面の設定レベルは変更可能にし、主要な外部入力も表示できるようにした。
○ データの保存及び再生は任意に行えるようにした。
○ 装置の構成は、検出部、増幅部、データ演算部、データ記録部及び表示部とした。
[2] 装置の製作
○ 上記の仕様にもとづいて諸装置を製作し、諸装置及びソフトウェアを用いて実験データと疑似入力情報によるシミュレーションを行い、当初の機能を確認した。
(3) 表層土質検出装置の製作
[1] 製作仕様の検討
○ 受信信号のレベル及びパルス幅によって、土質を3段階に判別するものとした。
○ ボーリングデータと探査データを同一画面に表示し、容易に比較できるようにした。
○ 保存データはMTに収録することとした。
○ 装置の構成は、測量船上にセンサ部、データ記録部を、浚渫船上または陸上にデータ処理部、表示部を設けることとした。
[2] 装置の製作
○ 上記の仕様にもとづいて諸装置を製作し、諸装置及びソフトウエアを用いて疑似入力情報によるシミュレーションを行い、当初の機能を確認した。
(4) 自動浚渫管理装置の製作
A. カッタ深度計測装置の製作
[1] 製作仕様の検討
○ 波浪の影響を考慮して、カッタ深度、ラダー角度及びトラニオン喫水の出力サイクルを1secとした。
○ 潮位補正は潮位表の4点/日を入力し、正弦曲線に近似させて、1分毎に抽出し得るようにした。
○ 出力信号は、自動浚渫制御システムを介して浚渫監視装置へのルートと管内流動土質検出装置へのルートに分けることにした。
○ 装置の構成は、センサ部、信号処理部及び記録表示部とした。
[2] 装置の製作
○ 上記の仕様にもとづいて諸装置を製作し、諸装置及びソフトウエアを用いて疑似入力情報によるシミュレーションを行い、当初の機能を確認した。
B. 深度(掘跡)計測装置の製作
[1] 製作仕様の検討
○ 寄切時に行うセンサの首振り速度は、60°/10secとした。
○ 首振り速度と超音波ビーム角、パルス発信回数等より斜測精度を検討し、直下における精度を±10cm以下とした。
○ 装置の構成は、送受波器及び同駆動部、送受信機、本体及び記録部から成る。
[2] 装置の製作
○ 上記の仕様にもとづいて諸装置を製作し、諸装置及びソフトウエアを用いて疑似入力情報によるシミュレーションを行い、当初の機能を確認した。
C. 浚渫監視装置の製作
[1] 製作仕様の検討
○ 外部入力情報は、ジャイロ角を除いて、自動浚渫制御システム側に設置される変換器盤を介して受信することにした。
○ カッタ軌跡は、カッタ負荷に応じて3色に色分け表示するものとした。
○ 掘削は、船体前部のものを計画断面とともに表示するものとした。
○ 上記表示画面の断面位置は、前進方向20m間隔の断面に近いものを表示するものとした。
○ 掘進図は、浚渫区域内における位置と浚渫工程が判るように、X-Yプロッタで描かせることとした。
○ 装置の構成は、演算処理部、表示モニタ部、記憶部及び記録印字部から成る。
[2] 装置の製作
○ 上記の仕様にもとづいて諸装置を製作し、諸装置及びソフトウエアを用いて疑似入力情報によるシミュレーションを行い、当初の機能を確認した。
(5) 実船実験方案の検討
○ 予定供試船   8000ポンプ浚渫船 千代田丸
予定実験場所  志布志湾
予定実験日数  10日間
○ 各システム及び装置についての実験項目を設定した。
○ 供試船上における機器配置及び機器間の信号授受について詳細検討を行い、昭和62年度に実施される実船実験に支障なきよう計画した。
■事業の成果

本調査研究におけるポンプ浚渫船の自動化は、土質情報及び浚渫状況の監視を組込み新しいファジィ制御理論にもとづく高度な制御システムを開発することに特徴がある。
 この制御システムの開発によってもたらされる効果は、作業条件に応じた高能率運転と合理的経済的な浚渫が可能になり、公共事業の円滑な推進及び関連業界の技術力の向上と海外競争力の強化に寄与することが期待される。





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