
■事業の内容
A 産業、文化、環境・レクリエーション等の複合的展開による離島振興方策に関する調査研究 (1) 実態調査対象地域:長崎県 (2) 研究概要:外洋性の孤立大型離島である長崎県対馬島を実態分析の対象地とし、近年“島おこし”運動や本土の大手流通資本との連携による地場産業の振興、韓国との経済、文化、観光交流によるいわば民際的活性化の動きなど主としてソフト面での活動が活発になり、自助努力と基盤条件の有効活用が緒につきはじめている状況をふまえ、対馬島における地域振興をめぐる基本問題の抽出と課題解決へむけての施策化、事業化の方向についての分析・検討を行い、産業、文化、観光レクリエーション等の複合化による施策化メニューについて具体的提言を行った。 (3) 調査方法 1) 離島における地場産業、文化、観光・レクリエーション等の振興に関する各種概存資料の収集・整理 2) 行政担当者及び商工、観光、農林水産、流通等各種関係団体リーダーからの聴取調査ならびに資料収集 3) 他離島地域における地場産業、文化、観光・レクリエーション等の振興をめぐる先進事例調査 B 大規模プロジェクトの実施に伴う主要地域計画課題の具現化方策に関する調査研究 (1) 実態調査対象地域:佐賀県 (2) 研究概要:実施分析の対象地とした佐賀県西部地域は、開通をまじかにひかえた九州横断自動車道をはじめ、構想・実施中の各種の大規模プロジェクトの波及効果を有効に活用することによる振興の可能性をひめた地域である。そこで、本調査研究は、大規模プロジェクトを活用して“活気と魅力ある定住環境の整備”を図るために、中核となる各都市の機能ならびに域内各市町の役割・機能分担及び連携の充実方策についての分析・検討を踏まえ“共生ネットワーク型社会”創造にむけての具体的対応方向を提示した。 (3) 調査方法 1) 地域をめぐる大規模プロジェクトに関する資料・文献の収集・整理 2) 行政担当者及び民間企業リーダー、各種住民団体リーダー等からの聴取調査ならびに資料収集 3) 他地域の事例調査(現地での聴取調査及び資料収集) C 地域振興行政における民間活力の導入方策に関する調査研究 (1) 実態調査対象地域:広島県 (2) 研究概要:近年、社会経済状態が成熟期を迎えたことから、これまで肥大を続けてきた行政を見直しその簡素化・効率化を図っていこうとする動きが顕著であるが、それに伴って、いわゆる民間活力の導入が盛んに議論されている。本調査研究は、地域振興に資する民間活力の導入方策について、その先進事例を分析しつつ地方都市における民間活力導入にあたっての問題点を摘出し、それを踏まえた上で、対象地となった広島県の各施設分野にどのような民間活力の導入方策があり得るかについて具体的検討を行い、更に国・県・民間に対して提言を行ったものである。 (3) 検査方法 1) 民間活力の導入方策に関する文献、調査分析資料等の収集・整理 2) 行政担当者及び民間企業リーダー等からの聴取調査ならびに資料収集 3) 民間活力の導入方策をめぐる先進事例調査(現地での聴取調査及び資料収集) D 地域産業・文化の新たな展開方策に関する調査研究 (1) 実態調査対象地域:鳥取県 (2) 研究事例:本調査研究は、農業を中心とした圏域という性格が強く、かつ、地域産業全般において停滞気味のまま推進している鳥取県中部モデル定住圏域を実態分析の対象地とし、地域産業活性化の具体的方策としての“地域文化産業”の創造にむけての条件・課題の整理ならびに具体的方策の提言を行った。 (3) 調査方法 1) 産業・経済及び文化資源に関する資料の収集・整理 2) 行政担当者及び商工、観光、農林、流通等各種関係者団体リーダー等からの聴取調査ならびに資料収集 3) 他地域の事例調査(現地での聴取調査及び資料収集) E 社会経済情勢の変化に対応した広域交通体系の形成に関する調査研究 (1) 実態調査対象地域:滋賀県 (2) 研究概要:内需拡大の世界的要請のもとで、各種大規模プロジェクトの計画及びその実施が目白押しである。しかし、それらの直接的投資効果の及ばない地域においては、その効果を具体的に地域に引き込む交通体系を構想する必要があろう。本調査研究は、この考え方に立って、滋賀県湖南広域圏を対象として、近隣府県で展開されつつある大規模プロジェクトの当該地域における影響を予測し、その影響を地域に積極的に引き込むためには、どのような都市機能を今後整備すべきか、そして、どのような広域交通体系を組むべきかについて検討を行い、長期的な観点から整備すべき道路の優先順位について具体的な提言をなしたものである。 (3) 調査方法 1) 圏域の社会経済的諸条件の動向及び変動要因に関する資料・文献の収集・整理 2) 上位諸計画及び圏域に影響を与える将来計画に関する資料収集 3) 行政担当者及び商工、流通等各種関係者団体リーダー等からの聴取調査ならびに資料収集 4) 他地域の事例調査(現地での聴取調査及び資料収集) F 広域圏における中核都市地域の活性化方策に関する調査研究 (1) 実態調査対象地域:長野県中部広域市町村圏 (2) 研究概要:広域市町村圏において、隣接する複数の都市によって中核都市地域が形成されている場合、その中枢性・中心性を確立するためには、これら都市の個性ある発展及び相互連携による一体的機能の発揮と活力ある影響力を期待しなければならない。本調査研究は、このような条件を備えた地域として長野県松本・塩尻地域を実態分析の対象地とし、商業・観光振興方策を中心に、地域活性化を考察し、施策化メニューについて具体的提言を行った。 (3) 調査方法 1) 都市整備に関する各種既存資料の収集・整理 2) 行政担当者及び商工、交通等各種関係者団体リーダー等からの聴取調査ならびに資料収集 3) 各種地域整備事業をめぐる先進事例調査(現地での聴取調査及び資料収集) G 広域圏における地域情報の連携方策に関する調査研究 (1) 実態調査対象地域:愛媛県今治広域市町村圏 (2) 研究概要:近時のコンピュータ利用においては、オンラインシステムが一般化しているが、これにより、離島や山間部の広域市町村圏等複数の市町村間のコンピュータの共同利用に大きな効果が期待されている。本調査研究では、この観点から、愛媛県今治広域市町村圏を調査対象地として、行政情報システムの全国的な動向を踏まえつつ、地域振興と地域服興方策とを明らかにし、それに資するような、コンピュータを利用した地域情報の流れの緊密化・円滑化の諸具体策を提言したものである。 (3) 調査方法 1) ニューメディアやOA等が自治体行政サービスに及ぼしつつある影響に関する調査分析資料の収集・整理 2) ニューメディアやOAのハードウェア及びソフトウェアに関する資料・文献の収集・整理 3) 行政担当者、各種住民団体リーダー、外部の専門家等からの聴取調査ならびに資料収集 4) 他地域の事例調査(現地での聴取調査及び資料収集) H 産業経済及び住民活動の活性化による地域活力の創出方策に関する調査研究 (1) 実態調査対象地域:広島県音戸町、倉橋町 (2) 研究概要:本調査研究は、国土幹線軸から離れて位置し、近隣諸都市での就業と農・漁業等の従来からの地域産業を基盤として生活が営まれ、高齢化のテンポが速く、かつ、行財政力が弱い小規模市町村での地域形成方策を考究したものである。具体的には、広島県内の倉橋島を構成する音戸町と倉橋町を実態調査地とし、地域に賦存する資源を踏まえ、様々な個人や団体・機関が協力し地域形成年むけての活動を展開する基盤づくり、つまり、活力と魅力ある地域形成推進のための条件・課題の整理ならびに推進方策の検討・提言を行った。 (3) 調査方法 1) 社会・産業経済動向の広域的把握のための資料・文献の収集・整理 2) 商工、観光、農林、水産等の各種関係者団体リーダーからの聴取調査ならびに資料収集 3) 町内会・自治会その他各種住民団体リーダー及び行政担当者からの聴取調査並びに資料収集 4) 他地域の事例調査(現地での聴取調査及び資料収集) ○ 報告書の規格及び印刷部数 AからHまで、すべての報告書をA4サイズとした。 印刷部数は、各報告書とも100部とした。そして、自治省外関係省庁、都道府県、関係市町村、国立国会図書館、専門研究機関等に配布した。
■事業の成果
地方自治行政の動向に対応して、広域行政施策の実効性の確保、都市機能整備方策、広域広聴施策の効果的展開並びに離島及び過疎地域における新しい地域振興のあり方など、地方自治体が直面している諸政策題をめぐって問題解決へのシステム的アプローチを行い、新たな時代に対応した地方自治行政の運営のための具体的な提言をとりまとめた本事業の成果は、地方自治体の組織及び運営の合理化と行政各分野に係る施策について多角的な検討を実施していくうえに、大きく貢献するものと考えられる。
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