■事業の内容
本年度においては、1977年IMO(国際海事機関)で決議された航行援助施設整備計画Part-<2>の第5年度目として次のとおり実施した。
又、耐用年数を経過し、老朽化した灯浮標2基を更新した。
(1) 灯標の建設(マレイシア国タンジュンピアイ沖)
[1] FRP灯塔の製造
a. FRP選択理由
60年度実施の予定地調査の結果で地盤が軟弱と判明、灯体の軽量化を図るため、併せて耐蝕性、耐候性に優れている等幾多の長所を有する新材料であり各方面に応用され急速に発展してきている「ガラス繊維」と「不飽和ポリエステル樹脂」を組合わせた強化プラスチックを採用
b. 製造発注先 プロドライト工業株式会社
c. 製造内容 灯塔 (FRP、白色 円形) 1基
従物 ステンレス踊場手すり 1式
FRP内部手すり 2個
FRP内部手掛け 4〃
FRPはしご 4〃
採光窓 1〃
アルミニウム防水扉 1〃
FRPハッチ 1〃
避雷設備 1式
ボンベ庫 1〃
その他
雑工 本体及び従物に当然付帯すべき雑工
d. 製造完成検査 61年9月11日
於:プロドライト工業(株)深谷工場
e. 引渡 61年10月12日
於:シンガポール下部構造物製造所
[2] 機器の製造
a. 製造発注先 岳洋燈機工業株式会社
b. 製造内容 灯器用とレーコン用の太陽電池装置
太陽電池架一式 3面
配電盤 2面
蓄電池16個
灯具
管制器 1式
灯ろう 1個
円筒レンズ(375mm) 1〃
レーダレフレクター
レンズレフレクター 6個
機器の取付工事材料
機器の輸送、取付等
c. 製造完成検査 61年9月29日
於:岳洋燈機工業(株)横浜工場
d. 引渡 61年11月27日
於:タンジュンピアイ灯標点灯現場
[3] 製造・組立・建設工事
a. 工事発注先 深田サルベージ株式会社
b. 工事内容 製造物 下部構造 鋼管杭4本
行帯設備 船着場
プラットホーム
FRP灯塔及び構造材の現場輸送
組立
建設工事
c. 建設工事 61年11月1日〜11月25日
d. 完成検査
引渡 61年11月25日
[4] シンガポール国内製造物検査
a. 検査依頼先 日本海事協会
b. 検査項目 構造物の主要溶接部検査
(開先検査、超音波探傷試験、染色探傷試験の立会いを含む)
c. 検査期間 61年8月〜10月、3臨検
[5] マレイシア政府に引渡し
61年11月27日
[6] 概要
イ. 位置(概位) 01°15'-30”N
103°-30'-40”E
ロ. 灯質 Fl.w.3sec
ハ. 灯高 平均水面上 16.1m
ニ. 光達距離 13.0M
ホ. 塗色・構造 上部白円形塔10.1m
・高さ 下部黒くい
ヘ. レーダー反射器 付設
(2) 浮体式灯標2基の予定地調査
(インドネシア国ニパ及びマレイシア国タンジュンギャバン沖)
[1] ニパ予定地調査
a. 調査発注先 アジア海洋作業株式会社
b. 調査内容 海上位置測量、測深調査、潮高調査、海底地形精査、底質等精査、潮流調査、写真撮影
c. 調査期間 現地調査61年8月15日〜8月18日
d. 調査班 インドネシア海運総局、水路部職員
海上保安庁専門家
当協議会職員
アジア海洋作業(株)技師
e. 調査船 インドネシア政府船2隻
f. 調査結果 上記調査は61年9月30日に報告書として提出され、設置予定地点として
1°-10'-15"009N
103°-39'-44"771E
水深 CD-20.8m
(Chart Datum-水深基準面)
底質 岩
が得られた。
[2] タンジュンギャバン沖予定地調査
a. 調査発注先 国際航業株式会社
b. 調査内容 海上位置測量、測深調査、潮高調査、海底地形精査、底質等精査、潮流調査、写真撮影
c. 調査期間 現地調査 61年11月30日〜12月2日
d. 調査班 マレイシア運輸省灯台税庁職員
海上保安庁専門家
当協議会職員
国際航業(株)技師
e. 調査船 マレイシア政府船 1隻
f. 調査結果 上記調査は61年12月20日に報告書として提出され、設置予定地点として
2°-33'-51"98N
101°-23'-25"71E
水深 CD -24.2m
底質 砂
が得られた。
(3) 既設灯浮標2基の更新
(インドネシア国ワンフアザムバンク及びピラミッドショール)
[1] 灯浮標2基の購入
a. 発注先 株式会社ゼニライトブイ
b. 引渡 61年7月26日(於:シンガポール)
[2] 灯具の購入
a. 発注先 岳洋燈機工業株式会社
b. 引渡 61年7月26日(於:シンガポール)
[3] 設置作業
a. ワンフアザムバンク灯浮標 61年7月29日更新
b. ピラミッドショール灯浮標 61年7月30日更新
[4] 概要
a. ワンフアザムバンク灯浮標
イ. 位置 2°55'30"N,100°50'54"E
ロ. 種類 特殊標識
ハ. 灯質 F1.Y.(4)、10sec
ニ. 灯高 3.7m(水面上)
ホ. 光達距離 6NM
へ. 塗色 黄色
ト. 頭標 黄色「X」形1個
チ. 電源 空気電池
リ. 付属施設 レーダレフレクター
b. ピラミッドショール
イ. 位置 2.23'12"N,101°36'12"E
ロ. 種類 東方位標識
ハ. 灯質 Q.(3).10sec
ニ. 灯高 3.7m(水面上)
ホ. 光達距離 6NM
へ. 塗色 黒地に黄横帯一本
ト. 頭標 黒色円すい形2個縦掲底面対向
チ. 電源 空気電池
リ. 付属施設 レーダレフレクター
■事業の成果
マラッカ・シンガポール海峡タンジュンピアイ沖付近海域は船舶交通量が非常に多いにもかかわらず航路標識がなく、これ迄は遠くの物標からクロスベアリングで自船の位置出しをしていたが灯標建設後は直接船首目標として位置の把握が可能な為非常に有効に活用出来ることとなり、船舶の安全の確保は更に増大したものと思われる。
又、62年に製作設置の計画であるタンジュンギャバン沖及びニパの浮体式灯標の航路標識として機能が完全で経済的なものを製作するため、本年度は設置位置の測定、底質、地形の精査及び水深調査等を実施し2基の浮体式灯標設計に備えた。並びに老朽化した灯浮標2基を更新した。
本事業実施によりマラッカ・シンガポール海峡を通航する船舶にとって安定的な通航が確保され、人命財産の安全に大いに寄与するものと思われる。
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