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「海難防止の調査研究」の報告書

 事業名 海難防止の調査研究
 団体名 日本海難防止協会 注目度注目度5


■事業の内容

(1) 海難救助の効率化のための船位通報等に関する調査研究
 委員会及び作業部会を設置して調査研究を推進し、そのとりまとめを行った。
[1] 調査項目
a. 船位通報制度への参加の実態と実績
b. 通信機器及び連絡体制
c. 相互救助体制
d. 船位通報制度の運用に関する問題点
e. 船位通報制度「参加の手引」の問題点
f. 民間海難救助体制に関する問題点
[2] 第1回各作業部会を開催して、日本の船位通報制度の運用に関する問題点、定着化方策について検討した。
[3] 検討資料を得るために、昭和60年度と同様に、我が国の主要港湾、主要漁業基地において、船主、乗組員等を対象に船位通報制度に対する意識等のヒアリング調査を実施した。
[4] 第2回委員会を開催して、船位通報制度の運用に関する問題点、定着化方策について、ヒアリング調査結果も参考としてさらに詳細に整理した。
[5] 第2回各作業部会を開催して、船位通報制度の運用や定着化へ向けての今後の方策の基本的な考えかたを整理した。
[6] 第3回委員会を開催して、最終調査研究報告書について検討した。
[7] 委員会の開催
a. 船位通報制度の効率的運用に関する調査研究委員会  3回
b.    同   外航作業部会            2回
c.    同   内航作業部会            2回
d.    同   漁船作業部会            2回
(2) 船積危険物の荷役及び輸送中における安全並びに事故対策に関する調査研究
 委員会を開催し、調査研究方針を決め、作業部会で具体的な調査方法及び調査した内容について検討を行い、その成果をとりまとめた。
[1] 調査項目
a. 危険物の流通に関する実態調査
b. 船積危険物による事故の実態調査
c. 危険物の安全及び事故対策に関する内外の研究資料の収集整理
d. 荷役上の安全対策の対象とすべき危険物の選定についての検討
e. 事故船からの人命救出に関する研究
[2] 第1回人命救助部会を開催して、危険物の流通実態及び船積危険物の事故実態の調査方針、整理方法等について検討を行った。
[3] 第1回危険物選定部会を開催し、荷役上の安全対策の対象とすべき危険物の選定について、調査すべき問題点及び調査方法について検討し、また、危険物輸送及び貯蔵規則に新しく定められたばら積液体危険物の港則法及び海上交通安全法上の取扱いについても検討することを定めた。
[4] 第2回危険物選定部会を開催し、危険物の選定上の問題点、及び港則法及び海上交通安全法上のばら積み液体危険物の扱いについて検討結果のとりまとめを行った。
[5] 第2回人命救助部会を開催し、横浜港、神戸港の輸出入危険物を対象として行った危険物の運送実態調査、ロイド海難週報海難審判庁裁決録、専門家の調査記録から調査した危険物の事故実態、及び収集した危険物に関する安全・事故対策等についての内外の資料等についてとりまとめた。
[6] 第2回委員会を開催し、各調査検討結果の報告書としてのとりまとめについて検討した。
[7] 委員会の開催
a. 危険物研究委員会    2回
b.  同 人命救助部会   2回
c.  同 危険物選定部会  2回
(3) 海難防止の国際的動向に関する調査研究
[1] 委員会を開催し、次の事項について調査検討を行いその成果をとりまとめた。
a. IMOにおける審議事案に関するわが国の対応策の研究
(a) 1972年国際海上衝突予防規則の改正案
 1979年海上捜索救助に関する国際条約については、12月に開催されたアジア・太平洋SAR会議及び3月に開催された船位通報制度に関する専門家会議を中心に、関連各国の動向等について、関係官庁からの説明及び質疑応答を行い今後の検討に資した。
(b) SAR条約に基づくSAR計画及びFGMDSSの体制、運用等
 FGMDSSについては、IMOでの審議状況を中心に今後の動向等を検討した。
(c) 木材運搬船の海難に伴う流出木材の処理等
 木材運搬船の海難に伴う流出木材の処理については、海難の発生状況、流出木材の処理状況等について関連資料を収集、分析するとともに、防止と対策に関する問題点の抽出を行った。
b. 関係資料の収集、解析
 以上に関連した資料を関係官庁及び当協会ロンドン連絡事務所長から入手し、必要なものについてはほん訳、整理を行い委員会での検討に資した。
[2] IMO会議への出席
 IMO第53回海上安全委員会及び第33回航行安全小委員会に調査員を派遣し、国際海上衝突予防規則及び海上捜索救助に関する条約についてわが国の対処方針の反映を図るとともに、各国の動向の調査及び情報の収集を行った。
a. 第53回海上安全委員会(MSC)
(a) 開催日   昭和61年9月8日〜昭和61年9月17日
(b) 開催場所  ロンドン
(c) 調査員   新谷文雄(東京商船大学教授、国際動向研究委員会委員長)
b. 第33回航行安全小委員会(NAV)
(a) 開催日   昭和62年1月12日〜昭和62年1月16日
(b) 開催場所  ロンドン
(c) 調査員   菅原規之  主任研究員
[3] 委員会の開催
 海難防止の国際的動向に関する調査研究委員会  3回
(4) 狭水道における船舶交通の特性に関する調査研究
 委員会を開催して調査研究の方針・調査方法を決め、そのとりまとめを行った。
[1] 観測及び解析に関する検討及び結果の評価
a. 観測にあたってのレーダー設置場所、観測範囲、目視線の位置等を選定するとともに、観測上の重点事項を検討した。
b. 解析結果に基づき、各海域ごとに船舶通航の特性について検討を行った。
(a) 備讃瀬戸東航路男木島東方海域については、特に分離通航帯の航行状況と操業漁船との関係及び、航路と交差する通航船舶と航路への出入航の航法等。
(b) 友ケ島水道については、各時間帯に於ける通航船舶数、操業漁船の分布状況と数、及び行政指導勧告の分離帯の設置による右側通航の励行状況等。
[2] 交通流、交通量、船舶の挙動等海域の特性に関する研究
a. 海域特性を把握するための解析方法について検討した。
b. 海上交通実態調査結果の有効利用について検討した。
[3] 実態観測及び解析
 次の2海域において、レーダー及び目視により船舶交通の実態を観測した。
a. 観測海域
(a) 備讃瀬戸東航路男木島東方海域
(b) 友ケ島水道
b. 観測によって得られた資料を整理し、各海域ごとに通航船舶の航跡、隻数、速力、密度の分布状況について解析した。
[4] 委員会の開催
 海上交通実態調査委員会  4回
(5) 備讃瀬戸における航行安全対策手法に関する調査研究
 委員会を開催し、調査研究方針・調査方法・作業内容を決め、その成果をとりまとめた。
[1] 調査項目
a. 海上交通情報機構の運用に関する調査
b. 同機構の運用が大阪湾、来島海峡等周辺海域の海上交通に及ぼす影響の調査
c. 災害発生時における緊急情報等の伝達方法に関する研究
 第3回委員会を開催し、アンケート調査の途中経過に関する報告と電光表示方式室内実験の結果についてその概要を検討した。
[2] アンケート調査
 備讃瀬戸の情報機構に関連して望まれる周辺海域内での情報入手の方法、内容等について船舶に対するアンケートーを行い、アンケート集計結果をもってその実態と問題点等に関し、解析検討した。
[3] 電光表示装置の室内実験
 東京商船大学学生40名を観測実験者として電光表示方式室内実験を行い整理分析した。
[4] 委員会の開催
 備讃海域情報システム調査委員会  4回
■事業の成果

(1) 海難救助の効率化のための船位通報等に関する調査研究
 本調査研究は、昭和60年度から2ケ年にわたり実施してきたが、昨年度はジャスレップの発足に際しての、効率的な周知に主眼を置き、手引きの作成を行いその成果を制度周知に反映し、本年度は、ジャスレップの運用に関する問題及び定着化方策の検討を主たる課題として調査研究を進めた。
 運用に関しては、
● 他の船位通報制度との連携、エリアの拡大、気象通報との連携
● 電気通信業務の通信のあり方
● 無線通信体制のあり方
等の問題点について、根本的な解決策を見つけ出すには、かなりの時間を要し、慎重な検討を必要とするとの共通の認識が得られたが、工夫をこらせばこれらの問題のいくつかについて現実的な解決を図ることができることから、制度の定着化方策としても、対策を検討して実施することが望ましいとの提言を行った。
 一方、定着化方策については、ジャスレップの周知徹底や参加をより容易にする方策として参加の手引きの早見表を作成、配布することや、一括参加方式等を検討するとともに、ジャスレップに対し関係者が多大の期待を寄せている「航海中の船舶の安全確認」及び「効率的に海難救助の実施」という本制度の利便を一層増進させ、参加意欲を高める方策も検討し、通報遅延船の安全を確認する措置等について、船舶の通信体制の状況を勘案して一層適確なものとする必要がある旨のとりまとめを行い、さらに、本調査研究終了後も、関係者の理解を深め、一層の協力が得られるよう官民による適当な連絡の場を設けることを確認した。
 本調査研究で得られた成果は、ジャスレップの発展のために、今後究めて有効な資料として活用されるものと思われる。
(2) 船積危険物の荷役及び輸送中における安全並びに事故対策に関する調査研究
 危険物の海上輸送量及びその種類の増加に伴って社会的に重要な課題となっている事故時の対応策の策定を目的として、荷役上安全対策の対象とすべき危険物の選定、危険物の流通実態、事故の実態及び事故船からの人命救助等について調査研究を行った。
 荷役上の安全対策の対象とすべき危険物のに関しては、包装等級と危険性評価の関係、広範な危険性を有する物質の選定、危険物の空容器及び危険物の固体・液体の判別について詳細な検討を行い、危険物の固体・液体の判別の問題では、一部今後更に検討の必要な問題点が残ったものの、他の3点は、解明し結論を得ることができた。
 また、新しく危険物船舶運送及び貯題規則に規定されたばら積液体危険物の港則法、海上交通安全法の関係についての検討も行い、両法との関係を明らかにした。
 危険物の運送実態の調査では、横浜港及び神戸港の輸出入危険物の記録を基に、輸送量の多い、あるいは、輸送頻度の高い危険物についての資料を作成した。
 船積危険物にかかわる事故実態の調査では、ロイド海難週報、海難審判庁裁決録及び危険物に関する専門家の調査記録から事故例を収集し、とりまとめを行った。
 これら危険物の運送実態及び事故実態の調査資料は、今後進める事故船からの人命救出の研究にとって極めて有用であると考えられる。
(3) 海難防止の国際的動向に関する調査研究
 1972年国際海上衝突予防規則の一部改正については、前年度に実施されたIMO第53回海上安全委員会(MSC)で第15回総会に提出される案文が合意されたが、引き続き航行安全小委員会(NAV)で検討されることとなった喫水制限船の問題及びRule 38(免除規定)等について提案、その他各国の対応を把あくすることができ、わが国の対処方針の検討に資すことができた。
 1979年海上捜索救助に関する国際条約(SAR条約)に関しては、アジア・太平洋SAR会議の結果を中心として関係資料に基づいて関係官庁から詳細な状況説明を受け、SAR条約に関する国際的な動きと対応して、わが国のSAR体制の検討に資することができた。またSAS条約に関連するFGMDSSについては、IMO無線通信小委員会(COM)での審議状況を中心に、今後の動向について関連資料を検討することにより、これらに関する国際情勢等について理解を深め、今後の円滑な検討に資することができた。
 木材運搬船の海難に伴う流出木材の処理については、海難の発生状況、原因等が明らかとなり、現状での問題点及び今後の対策についての検討に資することができた。
(4) 狭水道における船舶交通の特性に関する調査研究
 本年度は、備讃瀬戸東航路男木島東方海域及び友ケ島水道の2海域について調査研究した。
 又、本年度が本事業の最終年度にあるため、昭和57年度から昭和61年度までの過去5ケ年間の調査成果についての主要データをまとめた。
[1] 備讃瀬戸東航路男木島東方海域
 この海域は、備讃瀬戸東航路の東端部分に位置し、明石海峡方面や鳴門海峡方面への出入口となっているため、船舶交通量が多い。
 また、海域の西端には高松港を擁するため、小豆島や本州と四国とを結ぶフェリー等の航路が、備讃瀬戸東航路を横切って形成されている。さらにこの海域は3月から8月にかけて、こませ網漁業が実施され、船舶交通の様相をより複雑にしている。
 今回の観測は、従来からの調査目的である交通量、交通流及び船舶の挙動に関する特性の調査の他、特に航路及びその付近における操業漁船との関係を調査した。この観測を実施し、解析した結果、次の結果が判明した。
〇 総トン数(以下省略する。)100トン未満の船舶の航跡図をみると、直線性に乏しい操業漁船とみられるものがあり、この中には航路内を反航するものがあったり、航路の周辺近くで集団行動を行っているのも見られる。
 操業漁船以外の100トン未満の船舶は、航路を横切って高松港と本州や小豆島間を往来する船舶が殆んどであり、ほぼ、直角に航路を横切る形となっている。
 又、航路外から航路内に入る船舶及び対向航路を横切って航路外に出入りする船舶は概ね、小角度の航法をとっている。
○ 航路横切り船や漁船に対する避航動作は、大型船がむしろ、大きな動作をとっている。又、避航措置として減速よりも変針に頼る傾向が強い。
○ 昨年度の備讃瀬戸東航路東口の調査では平均速力11.2ノット標準偏差3.4ノットであったが、今回の調査では、平均速力12.3ノット標準偏差4.3ノットとなって平均速力標準偏差とも約1ノットの増加となっている。この海域は高松港との連絡のため高速船の占める割合が多いためと思われる。
○ 単純、L換算及びL2換算の密度分布をみた場合、それほど顕著ではないが、高い密度のメッシュは航路の屈曲部より東側では、航路の南端に寄り、西側では航路の北端に寄る傾向がみられる。
[2] 友ケ島水道
 友ケ島水道は3つの瀬戸に分れており、そのうち一般船舶の通航ルートになっているのは、可航幅が1.5海里程度の由良瀬戸で、阪神地区その他の瀬戸内海東部の諸港と外海と結ぶ船舶交通の大動脈となっている。1日平均船舶通航量は今年度の観測でも700隻で、又、同水道が好漁場であるため、そのうちの約400隻程度が漁船であることから船舶交通の様相をより複雑にしているという特徴がある。
○ 夜明け前から午前中にかけて5トン未満の漁船が相当多く、漁ろうするため、航跡の乱れが顕著である。
○ 100トンから500トン未満の船舶の航跡は、南航船は分離帯の中や左側を航行し、北航船についてはこの瀬戸を通過後、北東へ向うものが多いのでショートカットのためか右側航行が多くなっていることが見られる。
○ 500トン以上の船舶の航跡は、概ね海上保安庁の指導勧告が守られ、分離帯の右側航行を遵守している。ただし、南航船については、分離帯の北側部分をカットとして南航するものがかなり見受けられる。
○ 平均速力12.1ノットは瀬戸内海の他の狭水道の10ノット前後より、若干大きくなっているが、これは、この水道が開けた水域に近接していることによる相違であろうと思われる。
○ 単純密度の最大の所は、分離帯の南端から更に2,800メートル付近で0.64隻/km2、L換算になると最大の所は分離帯中央の東側で、沖ノ島西端から西北西1,200メートル付近で0.86隻/km2である。
 L2換算の最大は同じ値が2箇所あり、1ツはL換算と同じ場所であり、もう一ツは、そこから西1,000メートルの分離帯西側でともに3.65隻/km2である。
[3] 過去5か年間の調査成果について
a. 本調査研究は5か年間事業として昭和57年度に開始し、当61年度をもって完了したが、調査対象とした海域は次の10海域であった。
(a) 備讃瀬戸  4海域
(b) 関門海峡  3海域
(c) 来島海峡(東部)
(d) 下津井瀬戸
(e) 友ケ島水道
 これらの主要の狭水道は、港則法及び海上交通安全法の適用海域であって、交通事故が多く、又海上交通情報システムの運用が検討されている海域でもある。
 本調査は、これらの一般的な交通実態を把握し、海域の特性に応じた船舶の挙動をとらえることを目的として実施してきた。
 このため各地域におけるレーダー及び目視による48時間の連続観測の結果を整理解析して、それぞれの海域における。「航跡」、「ゲート通過隻数」、「速力分布」及び「密度分布」の四項目について、成果を得るとともに船舶交通の特性を求めた。
 これらの基礎的なデータ資料は、狭水道における航行安全対策を検討するに際しては、その海域の海難実態とともに交通実態の資料として、最初に活用される重要なものとなる。又、航行安全に関する実務や研究に欠くことの出来ない貴重な資料と位置づけられる。
b. 各年度において観測や手法についての情報交換や討論を行って業務向上に努めたが、これらの資料の散逸を避けるとともに、今後の研究に資するため、各年度の報告書にとりまとめた。
(5) 備讃瀬戸における航行安全対策手法に関する調査研究
 本年度は、電光表示板による信号及び情報の有効な表示方法を求めるに必要な室内実験、及び実際に備讃瀬戸海域を航行している現場の船長、内海水先人及び漁業に従事している漁船の船長に対して、航行安全に関するアンケート調査を実施した。
[1] 電光表示式内実験
 室内実験は、表示信文の連続表示と句読点入表示との判読性の比較、及び作業負荷による判読に係わる注意力の低下調査を目的に備讃海域に設置される情報信号板の約110分の1の模型を使い、東京商船大学の学生40名を実験観測者として、点滅、周期の変動、移動等を行って判読させ、アンケート式による集計結果を得た。
● 人間の最も単純な場合の反応速度は0.2〜0.3秒であるといわれており、本調査の結果もほぼこの程度であることが裏付けられたが、実際に操船しながら信文を読む場面を想定しながらの比較、解析の結果は、現段階では明確に結論づけられない。又、情報板の信文読み取り作業が操船にどの位影響するのかは正確に断定しにくいが、特に航行の妨げとなる程の影響は考えられない。
● 10数文字の読み取り作業は負担の軽い作業である。
● 点灯時間の比率を増した方が信文読み取りに有利である。
● 点滅周期は周期の長い程評価が良い。
● 文字を平面で表示する場合は可読方向に自ずと制限があり、これを湾曲面で表示すれば多少可読範囲を広げる事が出来ると考えられることから、将来の検討課題である。いずれにしても様々な状況下での信文読み取り作業をする場合に各要因から、検討解明しなければならない点が残されているが、これらの実験から得られた貴重なデータは海上交通に関する情報の提供に有効なものとして活用することができる。
[2] 操船者に対する航行安全に関するアンケート調査
 備讃瀬戸海域を通航又は操業している操船者に対する航行安全に関するアンケート調査は1,739通の回答を得、回収率38.6%の好成績であった。
 集計結果の主な点は次の如くである。
● 一般通航船舶の通航ルートと漁船の操業場所が重複し、それが輻輳、混雑の誘因ともなっている。特に、明石海峡の西口、備讃瀬戸航路の宇高連絡船航路との交差附近、備讃瀬戸の中央部に位置する水島航路との合流点になる鍋島灯台附近、備讃瀬戸航路と尾道・三原瀬戸航路との合流点になる高井神島/六島附近そして来島海峡の東側入口附近が顕著であると指摘されている。
● それらの理由として交通量の増大、航路の交差、漁船の操業があげられている。
● 運航基準として、一般船舶は、風速15〜20m/sec、波高3〜4m、視程0〜1,000mを目安にしているものが最も多い。
 一方、漁船は風速5〜10m/sec、波高0〜1m、視程0〜1,000mを操業基準としているものが最も多い。
● 備讃瀬戸海域を航行中、他船との交信、陸上関係局との交信の必要性を感じ、実際に1〜3回位は交信している実状が判った。
 又、一般船舶は殆んどが国際VHFを常時利用態勢にある。
● 航行中に欲しい情報として、一般船舶は航路の航行制限の状況、漁船の操業状況、気象・海象の現況等をあげているのに対し漁船は巨大船等の航路入航予定、海気象情報が主な項目である。
[3] 過去3ケ年間の調査成果として
 本調査研究は、次の三ツの項目を柱として行ったものである。
a. 海上交通情報機構の運用に関する調査
b. 電光表示方式による情報提供に関する調査
c. 航行安全に関するアンケート調査
 これらについては海上保安庁の構想による備讃海域における海上交通情報機構を前提としたものであり、前記(1)の同機構の運用に関しては、備讃海域の現状におけるさまざまな条件等をベースにした有効適切な管制及び情報提供について調査、解析した。同庁はこれらの資料の結集を参考として、昭和62年7月から運用開始が予定されている備讃海域海上情報機構の運用に役立てるものとされている。(2)の電光表示方式による情報提供についても、以前から調査研究を行ってきた成果として今回文章による表示が初めて海上に於いて実用されるに至ったという本調査研究の効用をもたらした。
 (3)の航行安全に関するアンケート調査の集計結果についても、瀬戸内海という広域・複雑な海を通航/操業している操船者の意見は海上交通情報機構のきめ細かい運用を行うにあたって貴重なデータとなり、また、それが航行/操業の安全を計っていくうえで意識高揚につながってくると考えられる。
 又、情報入手の手段として一般船舶は国際UHFを有効と答えているのに対し、漁船はラジオ放送や代理店/漁協等を情報源としている。
● 備讃瀬戸海域における将来の海上交通のあり方について287通の意見があった。一般船舶は航路内における漁船群の操業について何らかの規制を望むとするのに対し漁船側からは、通航船舶の速力過大の影響で航走波の為に漁ろう中に危険を感じる。あるいは中、小型船の自動操舵運搬は見張りが十分でなく、不安を感じる、とする意見が主なものであった。
 これら海上実務者からの生の意見は、今後の海上交通情報機構のきめ細い運用を行うにあたって大いに参考に供することが出来るものであり航行安全対策に関する問題点を解明するための資料として活用できる。





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