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■事業の内容

(1) 実施の項目
イ 清水揚地に関する調査
ロ 清水積地建設構想に関する調査(<2>)
(イ) 原油揚地と清水積地が異る場合(屋久島のケーススタディ)
(ロ) 原油揚地と清水積地が同じ場合
ハ 輸送システム実現のための方策
ニ 水質に関する調査
(2) 実施の内容
イ 清水揚地に関する調査
(イ) 中東諸国(アラブ首長国連邦及びオマーン国)の実態調査を実施し清水輸送構想の考え方について意見を聴取し、農業実態や石油積地を視察した。
(ロ) 清水揚荷用バースから陸上貯水設備に給水する揚地の設備と運営に関して、各種のケースについて、容量、規模、機能、価格等を調査した。
ロ 清水積地建設構想に関する調査(<2>)
(イ) 気象、海象、漁業実態等を調査検討の上、屋久島安房港沖のブイバースの設置予定個所を選定した。
(ロ) 通航船舶の輻陸状況、漁業実態、水深、障害物等を調査し、航路選定を行った。
(ハ) 気象、海象条件を考慮して、タンカーの入港可能日数を算出するとともに、取水可能量、入港船舶隻数による沖待ち日数等から稼動率を算出した。
(ニ) 屋久島における清水積込のための作業マニアル、入港操船マニアルSBM等の積込設備の保守管理マニアルを作成した。
ハ 輸送システム実現のための方策
 清水輸送システム実現のために解決しなければならない問題点と対応策について検討した。
ニ 水質に関する調査
(イ) 輸送後の飲料水としての利用の可能性に関連して、次の実験及び文献調査を行った。
a 重力式分離法による分離特性を、蒸留水に原油を混入して実験した。
b タンカーの貨物油タンクに清水を長期間保存した場合の変成について、屋久島の自然水を30日間保存して調査した。
c タンカーのバラストタンクと同一条件としたタンクをバラストタンク内に積込み、水道水を入れて30日間航海したあとの水質を調査した。
d 吸着式分離法について、文献、資料によって調査し、飲料水用の使用について検討した。
(ロ) 油分が混入した清水の農作物への影響等を調査するため、ほうれん草等4種類の作物を使用して植物育成実験を行ない、油分濃度毎の成育状況を調査した。
■事業の成果

昭和58年10月、MARPOL73/78条約が発効したが、同条約はタンカーからの油の排出を一層厳しく規制しようとするものである。
 タンカーによる清水輸送システムが実現すれば、油分を含むバラスト水の排出を必要としない運航が可能となり、同システムは前記課題に対する抜本的な解決策となりうると予想される。
 一方、水源を海水淡水化プラントに頼る中東諸国の水資源の不足を補うため、同システムの早期実現は、我が国と中東諸国との関係強化に役立ち国際的にも寄与するものと考えられる。
 このため本調査研究で、このシステムを早急に実現するために解決すべき諸問題と解決方策について検討を行ったことは、海洋汚染の防止と国際協力に寄与するものと確信する。





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