■事業の内容
1983年度(昭和58年度)事業
番 号: 97 事業名: 海難防止の周知宣伝 団体名: 社団法人 日本海難防止協会 事業種:
1.事業内容: (1) 海難防止講習会 [1] 海難防止講習会(管理者向け) 各地区ごとに船社運航管理者、海事、港湾関係会社幹部、漁協幹部、その他港湾管理者等、海事、港湾、水産関係の指導者層を対象に、次のとおり4個所(参加人員275名)において管理者向け海難防止講習会を開催した。 本講習会は4人の講師がそれぞれ当協会が実施した調査研究の成果の発表、船舶の安全運航に関する法令の周知と励行、地域の海難の特性とその防止策及び地域の気象・海象の特性と海難防止策等安全に関する事項を講演し、さらに海難防止に関するスライド映画の上映、質疑応答の実施など、受講者の技術向上に資した。 1) 川崎 開催場所:東亜燃料工業(株)川崎工場4階講堂 主な対象:危険物取扱い企業とその関連会社、並びに海運関係会社の管理者、安全担当者 参加人員:103名 2) 名古屋 開催場所:出光興産(株)愛知製油所会議室 主な対象:危険物取扱責任者及び内航タンカー乗組員 参加人員:50名 3) 神戸 開催場所:兵庫県農業会館会議室 主な対象:海上工事関係船社及び曳船いかだ運航管理者・船舶乗組員 参加人員:40名 4) 下関 開催場所:みどり汽船(株)第一会議室 主な対象:危険物積載船、タンカー及び小型貨物船関係者並びに漁協等関係者 参加人員:82名 [2] 海難防止講習会(運航実務者向け) 各地ごとに、旅客船、漁船、小型船、タンカー等の乗組員及びその船主、並びに海事関係者等の運航実務者層を対象に次のとおり4個所(参加人員374名)において運航実務者向け海難防止講習会を開催した。 講習会は4人の講師がそれぞれ救命具の正しい取扱いと保守整備、船舶の安全運航に関する法令の周知と励行、地域の海難の特性とその防止策及び地域の気象・海象の特性と海難防止策等安全に関する事項を講演し、さらに海難防止に関するスライド映画の上映、質疑応答の実施など、受講者の技術向上に資した。 1) 根室 開催場所:根室漁業協同組合会議室 主な対象:漁船乗組員及び関係者 参加人員:100名 2) 境港 開催場所:鳥取船員保険保養所さかいみなと荘会議室 主な対象:旅客船、漁船、小型船、タンカー等の乗組員及びその船主並びに海事関係者 参加人員:89名 3) 糸魚川 開催場所:姫川港海員厚生会館 主な対象:漁業者及び港湾工事関係者 参加人員:94名 4) 鹿児島 開催場所:鹿児島県住宅供給公社大会議室 主な対象:旅客船、内航船、小型船舶、漁業、県港湾、漁港建設、港運、海砂採取関係者 参加人員:91名
(2) 海難防止巡回講習会(1地区4個所で開催する。) この講習会は、海難防止講習会に参加できない交通不便な沿岸の辺地で働く人々及びその家族等の関係者を対象として巡回車を利用し、海難防止に関する映画、スライドによる視聴覚面からの指導を主体として、次のとおり沿岸24地区96個所(参加人員5,061名)において実施した。 1) 稚内 (a) 開催場所、実施月日及び参加人員 イ. 鬼脇 2月 7日 30名 ロ. 沓形 2月 8日 70名 ハ. 宗谷 2月20日 60名 ニ. 屯別 2月29日 31名 計191名 (b) 主な対象:漁船船主および乗組員 (c) 指導班 :稚内海上保安部 2) 紋別 (a) 開催場所、実施月日及び参加人員 イ. 紋別 5月23日 55名 ロ. 雄武 5月24日 47名 ハ. 沙留 5月25日 51名 ニ. 湧別 5月26日 89名 計242名 (b) 主な対象:船主兼船長 (c) 指導班 :紋別海上保安部 3) 宮古 (a) 開催場所、実施月日及び参加人員 イ. 太田名部 11月14日 156名 ロ. 羅賀 11月15日 119名 ハ. 小本 11月16日 84名 ニ. 田老 11月17日 265名 計624名 (b) 主な対象:小型漁船乗組員 (c) 指導班 :宮古海上保安署 4) 酒田 (a) 開催場所、実施月日及び参加人員 イ. 鼡ケ関 11月28日 50名 ロ. 温海 11月29日 32名 ハ. 由良 11月30日 50名 ニ. 吹浦 12月 1日 40名 計172名 (b) 主な対象:漁船員とその家族 (c) 指導班 :酒田海上保安部 5) 清水 (a) 開催場所、実施月日及び参加人員 イ. 沼津 2月2日 122名 ロ. 大井川 2月3日 99名 ハ. 焼津 2月4日 83名 ニ. 浜名 2月5日 135名 計439名 (b) 主な対象:小型漁船、プレジャーボート、遊漁船の乗組員とその家族、船主 (c) 指導班 :清水海上保安部 6) 銚子 (a) 開催場所、実施月日及び参加人員 イ. 九十九里町 1月12日 38名 ロ. 白子町 1月13日 21名 ハ. 成東町 1月18日 15名 ニ. 鈑岡町 1月19日 25名 計99名 (b) 主な対象:漁船乗組員等関係者 (c) 指導班 :銚子海上保安部 7) 尾鷲 (a) 開催場所、実施月日及び参加人員 イ. 甫母 11月25日 56名 ロ. 九鬼 11月26日 65名 ハ. 錦 11月27日 74名 ニ. 海野 11月28日 58名 計253名 (b) 主な対象:漁船員、家族、瀬渡船業者 (c) 指導班 :尾鷲海上保安部 8) 鳥羽 (a) 開催場所、実施月日及び参加人員 イ. 神前 11月 7日 60名 ロ. 神明 11月 8日 57名 ハ. 大淀 11月 9日 30名 ニ. 管鳥 11月10日 50名 計197名 (b) 主な対象:小型漁船乗組員等 (c) 指導班 :鳥羽海上保安部 9) 串本 (a) 開催場所、実施月日及び参加人員 イ. 新宮 11月16日 67名 ロ. 太地 11月17日 67名 ハ. すさみ 11月18日 39名 ニ.串本 11月19日 37名 計194名 (b) 主な対象:漁船、遊漁船、瀬渡船、プレジャーボート、乗組員 (c) 指導班 :串本海上保安署 10) 小松島 (a) 開催場所、実施月日及び参加人員 イ. 鳴門市 11月22日 38名 ロ. 松茂町 11月23日 53名 ハ. 徳島市 11月24日 74名 ニ. 由岐町 11月25日 41名 計206名 (b) 主な対象:小型漁船関係者 (c) 指導班 :小松島海上保安部 11) 水島 (a) 開催場所、実施月日及び参加人員 イ. 白石島 9月29日 56名 ロ. 神島外浦 9月30日 54名 ハ. 北木島 10月 1日 62名 ニ. 真鍋島 10月 8日 30名 計202名 (b) 主な対象:漁協組合員、プレジャー関係者 (c) 指導班 :水島海上保安部 12) 岩国 (a) 開催場所、実施月日及び参加人員 イ. 阿多田島 10月25日 52名 ロ. 端島 10月25日 50名 ハ. 大畠町 10月27日 42名 ニ. 黒島 10月27日 56名 計200名 (b) 主な対象:漁業関係者 (c) 指導班 :岩国海上保安署 13) 萩 (a) 開催場所、実施月日及び参加人員 イ. 江崎 7月26日 139名 ロ. 須佐 7月27日 130名 ハ. 宇津 8月 6日 56名 ニ. 本村 8月 7日 85名 計410名 (b) 主な対象:漁船乗組員及び漁業関係者 (c) 指導班 :萩海上保安署 14) 唐津 (a) 開催場所、実施月日及び参加人員 イ. 星賀 9月12日 32名 ロ. 阿翁浦 9月13日 75名 ハ. 塩浜 9月14日 72名 ニ. 波多津 9月15日 25名 計204名 (b) 主な対象:小型漁船、小型鋼船、プレジャーボート関係者 (c) 指導班 :唐津海上保安部 15) 境 (a) 開催場所、実施月日及び参加人員 イ. 加賀 11月24日 47名 ロ. 笠浦 11月25日 44名 ハ. 八束町 11月26日 41名 ニ. 中山町 11月27日 45名 計177名 (b) 主な対象:漁業関係者 (c) 指導班 :境海上保安部 16) 敦賀 (a) 開催場所、実施月日及び参加人員 イ. 菅浜 12月5日 30名 ロ. 美浜 12月6日 32名 ハ. 小川 12月7日 34名 ニ. 世久見 12月8日 24名 計120名 (b) 主な対象:小型船漁業者 (c) 指導班 :敦賀海上保安部 17) 新潟 (a) 開催場所、実施月日及び参加人員 イ. 山北町 11月28日 63名 ロ. 中条町 11月29日 47名 ハ. 新発田市 11月29日 42名 ニ. 村上市 11月30日 47名 計199名 (b) 主な対象:漁船乗組員及びプレジャーボート所有者 (c) 指導班 :新潟海上保安部 18) 七尾 (a) 開催場所、実施月日及び参加人員 イ. 輪島 2月22日 27名 ロ. 小木 2月23日 30名 ハ. 能都 2月24日 36名 ニ. 七尾 2月25日 32名 計125名 (b) 主な対象:漁船乗組員 (c) 指導班 :七尾海上保安部 19) 伏木 (a) 開催場所、実施月日及び参加人員 イ. 経田 2月26日 32名 ロ. 入善 2月27日 19名 ハ. 女良 2月28日 26名 ニ. 宇波 2月29日 14名 計91名 (b) 主な対象:漁業関係者 (c) 指導班 :伏木海上保安部 20) 名瀬 (a) 開催場所、実施月日及び参加人員 イ. 徳之島町 11月24日 38名 ロ. 天城町 11月24日 31名 ハ. 知名町 11月25日 36名 ニ. 和泊町 11月25日 67名 計172名 (b) 主な対象:漁業、プレジャーボート関係者 (c) 指導班 :名瀬海上保安部 21) 油津 (a) 開催場所、実施月日及び参加人員 イ. 小林 11月21日 14名 ロ. 都城 11月28日 13名 ハ. 宮崎 11月29日 71名 ニ. 串間 11月30日 28名 計126名 (b) 主な対象:漁業関係者及び家族・プレジャーボート関係者、磯釣者、釣具店経営者 (c) 指導班 :油津海上保安部 22) 鹿児島 (a) 開催場所、実施月日及び参加人員 イ. 志布志 6月22日 25名 ロ. 内之浦 6月23日 30名 ハ. 鹿屋 6月24日 40名 ニ. 加治木 6月25日 30名 計125名 (b) 主な対象:漁業・港湾関係、小型船乗組員 (c) 指導班 :鹿児島海上保安部 23) 石垣 (a) 開催場所、実施月日及び参加人員 イ. 波照間島 5月16日 38名 ロ. 小浜島 5月17日 20名 ハ. 与那国島 5月18日 30名 ニ. 石垣島川平 5月19日 30名 計118名 (b) 主な対象:漁業関係者を主体とした海事関係者とその家族 (c) 指導班 :石垣海上保安部 24) 中城 (a) 開催場所、実施月日及び参加人員 イ. 国頭村 10月18日 41名 ロ. 東村 10月19日 57名 ハ. 名護市 10月20日 15名 ニ. 宣野座付 10月21日 62名 計175名 (b) 主な対象:漁業関係者及びプレジャーボート関係者 (c) 指導班 :中城海上保安署
(3) カーフェリーの訪船指導 アドバイザーが直接フェリーに乗船し、運航及び運航管理の実態を把握して、その結果に基づき安全対策を推進するための指導、助言を行うため下記のとおり12社、12航路12隻について安全運航の調査確認を実施した。調査確認項目は次のとおりである。 [1] 運航管理規程及び運航基準、作業基準、事故処理基準の順守状況 [2] 海上衝突予防法等の航法諸規定の順守状況 [3] 船長の操船指導及び乗組員の執務状況 [4] 航海計器等の活用状況 [5] 旅客及び車輌の安全輸送に関する諸施設、機器の現状と保守、整備の状況(救命、脱出、消火、その他保守に関すること)
(4) 資料の作成配布 海難防止思想の普及啓発のための参考資料として、次の資料を作成し、関係者に広く配布した。 [1] SAR条約の周知パンフレット 8,000部×1種 SAR条約を解り易く解説したパンフレットを作成し、関係者に配布した。 [2] 小型内航船の海難防止のためのパンフレット 8,000部×4種 小型内航船が遭遇する海難のうち多発するものの発生を防止することを内容としたパンフレットを作成し、関係者に配布した。 [3] 海上衝突予防法灯火形象物図解 16,000部×1種 昭和58年6月1日海上衝突予防法が改正施行された。このため昭和52年6月に出版した「海上衝突予防法灯火形象物図解」の一部を変更し、関係者に配布した。
(5) スライド映画の制作、同プリントの配布 海難防止に関する技術を視聴覚面から啓発するため、スライドを制作配付して、海難防止思想の普及を図った。 また、スライド幻燈機の更新を5個所について行った。 [1] スライドの制作 2種 [2] プリントの配付 75本×2種=150本 [3] 幻燈機の整備 更新 5台 老朽化のため使用不能となったスライド幻燈機及び既製テープの更新(オープンリールテープをカセットテープに変換=1カ所10本)を次の5個所について行った。 小樽、佐世保、福岡、福江、伏木
■事業の成果
(1) 海難防止講習会及び巡回講習会 一般に小型船は、安全に対する各種の情報の入手が困難であり、気象海象をはじめ安全確保のための諸対策、処置に具体的な知識を得にくいというのが現実であり、さらに堪航性の判断の不十分、安全運航に関する技術や知識の低いこと、また一面、運航形態の特殊性などもあって海難事故も多く発生している。 各種の講習会では、映画、スライド等を活用する視聴覚面からの指導をはじめ安全運航に重点をおいた各種参考資料、海難事例の教訓等の活用により、海難防止に関する知識を反復啓発しているが、文書等による単なる注意喚起の呼びかけにくらべ、膝をまじえて行う講習会では、身近な海難の実例をもとに事故に対する反省とその対策を再確認させるうえで見るべきものがあり、質疑等に対してもその場において直接安全上のポイントを具体的に説明、指導することができて、船舶乗組員はもとより関係者の海難防止に対する自覚を高め、認識を深めて海難の減少が期待される。
(2) カーフェリーの訪船指導 カーフェリーは多数の乗客と自動車を同時に輸送するため、一旦事故を起こすと悲惨な災害に結びつくことになる。 安全運航を阻害する数々の問題点も指摘されている。すなわち、カーフェリーは同一航路の反復という特性からいわゆる“慣れ”による安全運航軽視の状況に陥りやすいこと、また特に瀬戸内海においては船舶が輻輳し航海環境がここ数年悪化の一途を辿っていること、漁船の不当な操業や小型鋼船の違法航行等がカーフェリーの安全運航を著しく阻害している。 本事業は、訪船アドバイザーが、乗組員に対しては安全運航の調査ならびに確認をし、必要ならば安全運航に関する改善の助言を行うことにより、また、運航管理者に対しては運航管理の改善を助言することにより、カーフェリーの安全運航に寄与するものと考えられる。
(3) 資料の作成配布 海難発生原因の大部分は、船舶乗組員その他関係者の海難防止に対する知識及び認識不足によるものであるから、海難防止に関する各種パンフレット等を作成配布し、また各種講習会においても活用し、末端への周知活動を図るうえで大きな役割を果した。 事故防止に対する自覚を高め、認識を深めることにより海難の減少が期待される。
(4) スライド映画の制作、同プリントの配布 海難発生原因の大部分は、船舶乗組員やその他関係者の知識及び認識の不足によるものであるから、本年度においても視聴覚教材としての海難防止に関するスライド映画を制作配付し、関係者に対する周知宣伝活動を行った。 本スライドは、事故防止のための今日的な問題点をテーマにとり上げて解決し、本事業の一つの柱である海難防止の各種講習会に活用し、海難防止思想、知識の周知啓発面で大きな成果を挙げている。
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