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■事業の内容

(1) 膨脹式救命いかだの試験方法の検討
[1] 委員会における検討
 耐用年数調査委員会において、次の試験項目について具体的な方法を検討、決定した。
a 製品試験
(a) 外観試験  (d) 投下膨脹試験
(b) 漏洩試験  (e) 床荷重試験
(c) 耐圧試験  (f) 床衝撃試験
b 材料試験
(a) 試験片の採取方法と前処理
(b) 気室布の引張試験   (f) 気室・床気室間のはく離試験
(c)  〃  引裂試験   (g) 天幕布の引張試験
(d)  〃  接着力試験  (h)  〃  引裂試験
(e) 気室間のはく離試験  (i)  〃  耐水圧試験
[2] 試験の実施
 試験は、船舶艤装品研究所において実施した。
(2) 供試品(膨脹式救命いかだ)の収集
[1] 供試品の事前調査
 当協会資料及び(社)日本船主協会を通じての調査により、供試品として適当な救命いかだをとう載している船舶の事前調査を実施した。
[2] 供試品の収集
 上記調査の結果、該当船舶より供試品いかだ36個(経年別、型式別一覧表……前掲)を収集し、船舶艤製品研究所へ輸送した。
(3) 膨脹式救命いかだの経年劣化に関する資料の収集
 全国の整備事業場よりの月別いかだ整備報告書を集計し、報告書のまとめの参考資料とした。
(4) 試験成績の調査研究
 船舶艤装品研究所よりの調査報告書によれば、供試品についての各種試験等の結果の概要は次のとおりである。
[1] 経過年数による具体的な影響
a 主気室の圧力漏洩度が規格度を上廻るものが多くなる。(8年経過25%、10年経過42%、12年経過58%)
b 充気装置とその取付部附近の故障が多くなる。
c 衝撃回数が多くなるに伴ない、接合部のはく離が成長する。
d 気室布の強度は段階的に低下する。
[2] 経過年数と接合部の強度
a 経過年数が12年になると、気室間の接合部やパッチのはく離などが多く認められるようになる。
b クロロプレンゴム系接着剤は長期使用において硬化する宿命がある。
c 長期保存による材料劣化のために、接着効果が損われ、接合部の強度が著るしく低下する。
[3] その他
 経過年数10年に達すると、天幕部の局部的変質が認められるものが多くなる。
■事業の成果

法定船用品の中には、使用されることが稀なものがあり、これらの船用品の殆んどのものは、日常の保守点検が十分に行えないため、本事業は、これら材料の経年劣化の状況を調査研究したもので、この調査結果を、検査制度上の耐用年数の設定資料として供するとともに、一定年を経過したものの整備点検要領を確立し、もって人命の安全に寄与するものである。





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