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■事業の内容

イ 飛行場障害物図の作成
(1) 鹿児島空港障害物図
[1] A型図  滑走路両端、進入区域の障害物図(縦断面及び平面からなる縮尺1万分の1。図は、無伸縮性で透明度70%以上の材料に陽画化したもの)
[2] B型図  飛行場標点を中心に半径6kmで囲まれた水平表面区域の障害物図(縮尺2万分の1。図は、無伸縮性で透明度70%以上の材料に陽画化したもの)
(2) 羽田空港障害物図
[1] A型図  2本の滑走路(B、C滑走路)について、それぞれ両端進入区域の障害物図(鹿児島と同様)
[2] B型図  上記鹿児島と同様のもの(鹿児島と同様)
ロ 管制のワークロードと交通分析
 航空路管制に関する業務分析及びワークロード調査
(イ) 管制により取扱う航空機の交通状況の記録
(ロ) 管制各席の対空通信の件数、内容等の記録
(ハ) 管制各席間の情報伝達の流れの調査記録
(ニ) 管制官の受持機数と管制官のワークロードとの関係分析
 以上の調査をペン書チャートレコーダー、データレコーダー、ビデオテープレコーダー等の機器を使用して調査記録を行い、そのデータにより、航空機の交通量及びその質と管制官の判断過程、通信を含む各作業との関係を調査分析を行った。
ハ 管制業務における運航票利用調査
 将来、如何に改善できるかを検討するため、現在の運航票の利用実態を次のとおり調査した。
[1] 東京管制部の管制席の運航票の使用回数、使用時間等。
[2] 東京国際空港の管制席の運航票の使用回数、使用時間等。
 [1]、[2]について、データレコーダー、ビデオレコーダー、電動カメラ等をセットして記録をとり、そのデータをもとに運航票の利用実態を調査した。
ニ 航空身体検査の標準化等調査
(1) 内科:身体検査時に得られる胸部所見、血液化学検査値、尿所見脈博、血圧、心電図を総合的に検討、判定ならびに検査法の標準化を計った。
(2) 眼科(1):遠距離視力と中距離視力の調節時間について、調節時間測定装置を改良した。
(3) 眼科(2):ボーイング767の計器盤(デジタル式)に合せ、その短期記憶時間と従来のアナログ情報との比較をした。CRT標示面の図版を作成、視覚実験を行った。
(4) 精神科:過去10年間の航空宇宙精神医学関係の文献検索を行い、主要文献の抄録をまとめ、分類した。
(5) 耳鼻科:イヤホーンを通じて乗員が聴守する通信音を記録し、聴力障害者のデータを集めた。一般の聴力障害のパターンは短時日(6ケ月〜2年)に進行し、それ以上の障害は僅かであった。
(6) 航空大学校生の身体検査記録の統計
 処理、入学時の検査成績と卒業後の成績を追跡、経年変化を検討するため、最近のデータを収集し、コンピューターに入力した。
ホ 危険物航空輸送容器の試験基準判定
(1) 危険物で航空輸送されている容器のうち、比較的使用度の高い容器を選定し、内容器、緩衝材及び吸収材を組合せたコンビネーションパッケージとしてICAO試験基準を適用した次の試験を行った。
[1] 落下試験
[2] 積み重ね試験
[3] 内容器の真空試験
(2) 試験結果をまとめ、考察を行い、基礎料を報告書にまとめた。
■事業の成果

イ 飛行場障害物図の作成
 鹿児島空港については昭和56年9月の、また、羽田空港については昭和57年3月の航空路誌に掲載され、航空機運航者ならびに内外航空会社に周知徹底、航空の安全に資した。
ロ 管制のワークロードと交通分析
 昭和56年度においては、航空路管制業務のワークロードと交通分析調査を実施し、人間工学的側面からの運用のための基礎資料の収集と分析に重点を置いたもので、今後の管制業務の安全化に資するものと思われる。
ハ 管制業務における運航票利用調査
 現在、運航票はレーダ管制以前の様式をそのまま踏襲して利用されているが、この調査により利用実態、特に有効に利用されているかを将来検討する資料が得られ、運航票の改善等により航空の安全運航に寄与するものと思われる。
ニ 航空身体検査の標準化等調査
 航空機乗員の航空身体検査証明は、航空法の定めるところにより実施されているが、身体検査基準による検査方法と判定は、細目について、なお不明確な分野を残しており、どの医師においても統一見解とならないので、これを基準化しようとするもので、航空技術の発展に対処するための基準改訂の必要に応ずることができる。
ホ 危険物航空輸送容器の試験基準制定
 危険物の航空輸送に関するICAO第18附属書の制定に対処し、わが国における危険物の航空輸送の安全を図るための試験基準作成の必要な基礎を得た。





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