■事業の内容
(1) 船型の開発 (開発対象船5トン〜20トン漁船) [1] 馬力推定式の利用範囲拡大のための追加試験 下記のとおり、抵抗試験を実施した。 実施内容 模型船を曳航させ、全抵抗を計測 実施隻数 1.8m模型3隻 実施場所 日本造船技術センター水槽 [2] 高速域の馬力推定式及び馬力推定図表の作成 下記のとおり、推定式、推定図表を作成した。 ○ 馬力推定式の作成 実施内容 抵抗試験結果(12隻分)を解析し全抵抗係数を求め、統計手法により作成。 ○ 馬力推定図表の作成 実施内容 実船の全抵抗係数を図表化 図表印刷 オフセットA4判216部 ((財)日本造船技術センターに依頼して実施。) (2) 諸基準の調査・研究 [1] 標準工作法原案作成のための調査・研究 A 工作法の確認 下記のとおり、積層板を作成のうえ、工作法の相違による比較検討を実施した。 ○ 積層板の作成 作成枚数 1m×1m 38枚 作成場所 日本硝子繊維(株) ○ 作成状況の立合 実施日程 8月20日及び9月16日〜17日 実施場所 三重県津市 調査員 丹羽誠一、磯貝元三、職員1名 ○ 工作法の比較評価 実施内容 空洞率判定及び曲げ試験 実施場所 東京大学工学部 B. 原案の作成 下記のとおり、標準工作法原案を作成した。 作成枚数 400字詰原稿用紙20枚 [2] 安全衛生・環境指導基準に関する調査・研究 A. 指導基準追加原案及び指導要領原案の作成 下記のとおり、原案を作成した。 作成枚数 400字詰原稿用紙121枚 B. 指導基準及び指導要領の作成 下記のとおり、指導基準及び指導要領を印刷した。 オフセットB5判 各300部 [3] 内外文献等の翻訳 下記の文献を翻訳し、印刷した。 ○ 翻訳文献 ・ HUNT級の機雷掃討艇(英国) 68枚 翻訳 竹鼻三雄 ・ HUNT級機雷掃討艇論文に対する討論(英国) 32枚 翻訳 竹鼻三雄 ・ 低価格のFRP製機雷掃討艇(英国) 7枚 翻訳 竹鼻三雄 ・ 経済的な37m掃討哨戒艇(英国) 4枚 翻訳 竹鼻三雄 ・ FRP製小型潜水艇の構造設計(英国) 33枚 翻訳 竹鼻三雄 ・ 知的生産性を伴なう前進と向上(米国) 16枚 翻訳 竹鼻三雄 ・ 無応力下及び応力下における炭素エポキシ複合材料に及ぼす海洋環境の影響(英国) 22枚 翻訳 竹鼻三雄 (合計182枚) ○ 翻訳文献の印刷 オフセットB5判 100部 委員会 運営委員会 2回 船型開発委員会 6回 諸標準研究委員会 4回 指導基準作成委員会 4回
■事業の成果
FRP製船舶は、小型船舶の分野でその建造割合いが高まるにつれFRPの材料特性を生かした建造法が要望されているが、急速なFRP船舶需要のため、充分な性能検討を行なわないまま、ただ材料を木材からFRPに置き替えて建造された船舶が殆んどであり、船型、構造、工作技術等に問題点も多く残されているが、また一方、最近の石油情勢不安要素とも関連し、緊急に対応策の究明が要求されている。 このため、本年度においては、船型開発のための高速域馬力推定法の確立、工作技術向上のための標準工作法の究明、造船工場における安全衛生・環境に関する指導基準の作成等を実施した。 これにより、一層馬力推定が容易になるとともに技術の向上が図られ、作業環境の改善、公害防止の指導が強化されることとなる。 この成果を講習会等において普及指導したことは、FRP船建造に活用することによって、FRP造船業の経営基盤の強化並びにFRP製船舶の性能・安全性・品質の向上に寄与するところ大なるものがある。
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