
■事業の内容
(1) 海洋状況の調査・観測 海上状況の調査・観測のため、下記のとおり機上実測を実施した。 [1] 小型航空機に搭載したレーザ波高計により、下記の調査内容及び地域についてデータ収集を行なった。 A 波浪計測 伊勢湾、伊良湖岬 B 流氷計測 北海道紋別沖 [2] 小型機に搭載したMSSにより、下記の海域及び調査内容で、データ収集を行なった。 A 北海道地方 ・ 苦小牧湾、石狩湾 水質、水温状況 B 東北地方 ・ 宮古湾 水質、河川水拡散、海水温分布、水塊の流動 ・ 気仙沼湾 水質、海水温分布 ・ 津軽海峡 油流出状況 C 関東地方 ・ 伊豆大島 湧昇流、潮流 ・ 東京湾 海上交通流、湾内流、水質 ・ 伊豆諸島(式根、神津、三宅島)間潮流、渦潮 (2) データ処理・解析 航空機によるデータ(MSS、レーザ波高計、光学カメラ等)及び衛星により得られたデータについての処理・解析及びそのためのソフトウェアの開発・作成について、下記のとおり実施した。 <1> データの処理・解析 [1] レーザ波高計・MSSデータ光学カメラ等によるデータの処理・解析 A アナログプロセッサ/プリンタによるアナログ画像の処理・作成 ・ 5インチフィルム:61. 4m ・ 5インチペーパー:42.89m B CCTの作成 ・ 15ファイル C FMクイックルック装置によるデータ処理・解析 ・ 苦小牧港観測データチェック ・ 大島沖水塊分類 ・ 三陸沿岸海域水温分布解析 ・ 東京湾観測データチェック D 高能力画像処理・解析システムによるデータの処理・解析 ・ レーザ波高計により観測した波浪及び流氷データの解析 ・ 波浪の航空写真の読取と周波数解析 ・ 航走波の周波数解析 E 委託計算によるデータ処理・解析 ・ 苫小牧港汚染拡散シミュレーション ・ MSS画像と地図情報の重ね合せ ・ 海洋波の航空写真の周波数解析 [2] ランドサット他の衛星データの処理・解析 A 高能力画像処理システムによるデータの処理・解析 ・ ランドサットデータを用いて東京湾及び大阪湾の水質及び潮流の解析 ・ NOAAデータによる日本近海海面温度分布解析 B 委託計算によるデータの処理・解析を行なった。 ・ NOAA-6 AVHRRデータのJAFSAフォーマットヘの変換 ・ LANDSAT-1号データのJAFSAフォーマットヘの変換 <2> データ処理・解析のためのソフトウェアの開発 [1] 高能力画像処理・解析システムによるデータ処理・解析のためのソフトウェアの開発 ・ 類似度解析 ・ ディジタイザ・サブルーチン ・ バイナリ・ディシジョン・ツリーによる分類 ・ レベルマッチングによるマスク処理 ・ CCTクイックルック装置への文字列入出力 ・ 射影変換 [2] 中型又は大型コンピュータによる解析ソフトウェアの作成 ・ MTFによる前処理プログラムの作成 ・ 2次元シミュレーション・プログラムの作成 ・ 地図情報とのオーバーレイ ・ 解析結果のモザイク (3) データの管理及び提供 データ管理・検索システムの整備及びデータ提供を、下記のとおり実施した。 [1] データ管理・検索システムの整理 A データのマイクロ化 a FMクイックルック装置によるマイクロ画像の作成 ・ 苦小牧 ・ 三陸 ・ 津軽 ・ 東京 ・ 伊豆 b 委託による各種画像・記録書類のマイクロ化 ・ 画像のカラーマイクロ作成127コマ ・ 記録書類の白黒マイクロ作成608コマ [2] データ提供 A 各種記録書類のコピー B 海洋状況データ画像及びCCT複製 (4) 機器・器材の整理 観測及びデータ処理・解析のための機器・機材の整備を下記のとおり行なった。 [1] 機器購入 A マルチスペクトルスキャナ校正用機器 ・ 標準ランプ:ウシオ電機社製 ハロゲン標準電球2コ 日本電気計器検定所検定書付 ・ 電源 :日本スタビライザー社製 直流安定化電源1台 ・ オシロスコープ:ソニーテクトロニクス社製 電源チェック用1台 B マイクロ波計測装置:日本無線(株)に委託し製作、構成は下記のとおり ・ アンテナ架台 回転台脚付 1台 ・ Lバンドパラボラアンテナ 1基 ・ Lバンド受信機 1台 ・ 記録機(ペンレコーダ)及びインターフェース 一式 発動発電機 (給電系副材含む) 一式 ・ 運搬用ケース 一式 C データレコーダ再生用ヘッド ・ サンガモ社製(SABRE<3>型)、14トラック用、2台 D ディジタイザをコンピュータに接続するためのインターフェース:武藤工業(株)に委託し製作 [2] 機械補修及び校正 A 機械補修 ・ アナログプロセッサ/プリンタ ・ マルチスペクトルスキャナー ・ 動揺測定装置(VG-23) ・ CCTコンバータ ・ データレコーダ(SABRE<3>) 2台 ・ データレコーダ(Model 101) ・ ソニーテクトロ4010ターミナル ・ 小型計算機及び周辺装置 ・ 磁気テープ装置 B 機械校正 ・ MSSの校正 ハロゲン標準電球を用いて、標準反射白色板の反射エネルギーをMSSに入力し、MSSアンプをとおり出力される、エネルギーの検査を行なった。 [3] 什器備品購入 A 地図箱 1台 (5) 会議の開催 会議を下記のとおり開催した。 [1] 測定解析部会 4回 [2] 分科会 A 第1分科会 2回 B 第2分科会 2回 C 第3分科会 4回 [3] 観測・解析打合せ A 観測打合せ 3回 [4] リモートセンシング研究成果発表・講演会 1回
■事業の成果
1. 航空機搭載型レーザー波高計を用いた、オホーツク海の流氷表面状況の観測に好結果を得たことである。もともと波高計測用に製作した計器であり厳寒用でないため調整が困難であったが、流氷研究者との共同研究成果であり、今後要望されるであろう水砕船の運航や氷海の構造物建設時に有効な流氷データが提供できると予想される。 2. レーザー波高計を用いた航空機による波高データの収集が可能となったことである。波高データの精度を上げるためには今後も研究を続ける必要があるが、大いに期待される成果である。また人工衛星による観測体制を確立するまで、その検証実験などにも要望が多い。 3. マイクロ波放射計の開発製作を完了し、これからのリモートセンシングとして重要視されているマイクロ波による計測系の基礎研究が可能となり、わが国のリモートセンシング技術の向上に期待されている。 4. マルチスペクトルスキャナ(MSS)による海洋の水質環境調査技術の向上をはじめ、海流・潮流の観測技術向上、熱赤外船跡データを利用した船舶交通流(混雑度、混雑地域、船舶進行方向、衝突危険性)調査方法を明らかにすることができたことである。 5. マルチスペクトルスキャナ(MSS)の校正実験をまとめたことである。 この結果、データの精度、質が上がり定量的解析が進むことが期待できる。 以上のとおり本年度は多くの実績を上げることができ、今後、造船業界やリモートセンシング界に寄与するところ大なるものがある。
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